- 著者
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関口 貴裕
加藤 駿
- 出版者
- 日本認知心理学会
- 雑誌
- 日本認知心理学会発表論文集
- 巻号頁・発行日
- vol.2016, 2016
スマートフォンを見ながら歩く際(歩きスマホ)に注意が前方の地面のどの範囲(奥行き距離)まで及ぶかに関する人々の認識の正確さを検討した。そのためにまず50名の参加者に,歩きスマホをしながら床面のLED光に気づくと思う最短の距離を,その場に立つことで報告させた。そして,20 mの直線歩行を歩きスマホをしながら繰り返す中で,途中7カ所設置されたLEDの1つをランダムに点灯し,それへの気づきが得られた距離を実際の空間的注意範囲を示す値として測定した。注意範囲の自己評価の広さにより参加者を狭群,中群,広群に分け,実際の注意範囲とのズレを群間で比較したところ,狭群,中群のズレがそれぞれ平均3.0 cm,5.1 cmと小さかったのに対し,広群では自己評価値の方が実際より平均61.1 cm広くなっていた。この結果は,歩きスマホ中の注意範囲を過大評価する傾向の人が3分の1程度いることを示唆している。