- 著者
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坂本 久子
- 出版者
- 一般社団法人 日本家政学会
- 雑誌
- 一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
- 巻号頁・発行日
- vol.55, pp.229, 2003
[目的]「福岡県福祉のまちづくり条例」(平成10年3月公布)にもとづいて、高齢化が進んでいる飯塚市の市街地2km<sup>2</sup>圏内での歩道、立体横断歩道施設、公園の実態について調査し、前回までの研究発表でこれらを報告してきた。本報では更に、障害をもつ人々がこれらの住環境をどのように感じているのかを調査し、その結果を報告するものである。[方法]障害者手帳所有者12名に対する聞き取り調査。回答者は調査対象地に居住しているか、またはその周辺に居住して仕事、通院、買物などで調査対象地と何らかの形でかかわりをもっ人を選定した。調査時期:平成15年1月[結果]回答者の性別は男性6名、女性6名で、男性は4名が職業を持っている。女性の有職者は1名である。年齢は40代が1名、50代が2名、60代が3名、70代が6名であり、そのうち65歳以上が7名と高齢者の回答が半数以上である。日常生活では、自立しているか家族の協力、福祉用具やヘルパーの手を借りて自立している。障害の部位については、肢体不自由者が7名、視覚障害者が4名、聴覚障害者が1名となっている。障害の部位により住環境に対する要求の箇所も異なっており、車いす使用者にとっては街の中の段差が切実な問題となり、視覚障害者にとっては音声の出る建物表示への希望が出されている。更に車を運転できる人は駐車場の問題や運転マナーの問題を挙げている。一般的に歩道に対しては、歩道まであふれた商品や看板、車の乗り上げなど使用者のマナーについて指摘が多かった。近所の公園に行く人は少なく、地区公園の勝盛公園には花見など目的がないと行かない人が多い。*本調査にあたり飯塚市身体障害福祉協会連合会会長藤延啓治氏のご協力を得ましたことを記して厚く感謝申し上げます。