著者
小出 治都子 熊谷 伸子 佐藤 真理子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.68, 2016

<b>目的 </b>我々はこれまで,日本発の有力なソフトパワー&ldquo;マンガ&rdquo;における,袴着装キャラクターに注目し,袴が,クールジャパンを発信する際に有効な民族衣装の一つであると主張してきた.本研究では,若年層が影響を受けると考えられるマンガにおいての,袴のイメージ形成について考察する.<br><br><b>方法</b> 2015年11月,関西圏在住の大学生76名を対象に,集合法による自記式質問紙でのアンケート調査を実施した.袴のイメージ形成に影響を与えたマンガの抽出を行い,それらのマンガに描かれた袴着装場面の内容分析を行った. <br><br><b>結果</b> 袴のイメージ形成に対し,マンガ等の影響があったと答えた割合は52.0%であった.回答されたマンガタイトルの総数は17であった.その中で回答数の多かったマンガは,『ちはやふる』,『信長協奏曲』,『るろうに剣心』,『ハイカラさんが通る』であった.本研究では『ちはやふる』と『信長協奏曲』に着目した.袴に対して「着るのが面倒」「高価な」と敬遠していた登場人物が,ストーリー展開と共に「貫禄がつく」「きれいに見える」「姿勢が良い」と,その認識を変え実用性の高さを理解する様子が読みとれた.マンガ作品における袴着装キャラクターの登場が,若い世代の袴イメージの一端を形成していると考えられる.<br> なお本研究は,科研費26350082(基盤C:袴の機能性研究-世界に発信する&rdquo;Hakama is cool&rdquo;-)の助成を受けて行った.
著者
荒木 裕子 山本 直子 上浦 沙友里 江本 彩乃 丸井 正樹
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.197, 2015 (Released:2015-07-15)

【目的】ネームはタイ北部で生産される伝統的な発酵ソーセージである。その製法は、新鮮な豚肉に食塩、にんにく、唐辛子、糯米飯を入れ常温で数日間発酵させて製造する。ネームは乳酸発酵により、pHが低下し、微生物の増殖が抑制され、完成したネームは適度に酸味があり、生食する人もいる。近年、日本でも製造され、市販品も見られるが、我が国ではネームに関する研究が少なく、安全性の検討もされていない。本研究ではネームを作製し、細菌叢の変化やpHの変化を経時的に調査した。【方法】試験試料として1)ネームパウダー添加区2)ネームパウダー無添加区 3)ネームパウダー、にんにく、唐辛子無添加区の3種のネームを調製した。調製開始から完成までの4日間、24時間毎に採取して実験試料とした。細菌の測定では、一般生菌数、大腸菌群の測定、乳酸菌の測定をおこない、pHの測定も実施した。【結果】ネームパウダー添加区では、ネームパウダーの主成分である無水グルコン酸により、調製後即時にpHの低下が見られ、細菌の増殖も抑制されていた。2)、3)の製法では、発酵1日目では大腸菌群が確認された。しかし、発酵の進行に伴い乳酸菌数が増加し、pHも低下した。それに伴い大腸菌群数が極めて減少した。ネームは製造手法により、発酵中の細菌叢や細菌数に差が見られたが、発酵完了時では全試料でpH低下がみられた。発酵により、ネーム本来の酸味と旨みが生じ、安全性も付加されることが示唆された。
著者
畑江 敬子 香西 みどり 古川 英 熊谷 美智世 伊藤 純子 十河 桜子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.250, 2003

【目的】近年、家庭用調理機器においては従来のガスコンロに代わり、電気の誘導加熱を利用した電磁調理器(IH)の普及が進んでいる。そこで本研究では、現状の調理内容に即したエネルギー使用データを収集し、ガスコンロとIHの違いを把握することを目的としている。【方法】 春夏秋冬それぞれ1日の朝食、昼食、夕食の献立を、女子栄養大出版部「栄養と料理」献立カレンダーより選定し、さらに一部をアンケート結果による人気メニューに置きかえることにより、季節、栄養、カロリー、調理方法、人気を考慮した現代版メニューを作成した。年代と調理経験の異なる3人の調理者により、作成メニューについてガスコンロ、IHそれぞれに対し同じ調理を行い、熱量および使用時間を測定した。実験では大きさを揃えた両調理器で適した鍋を用い、同一メニュー内では食材および量を統一した。【結果】IHの方が多くの一次エネルギーを消費した。四季別において冬メニューでは夏の2倍以上のエネルギーを消費し、調理別においては湯沸かし茹で、煮るでエネルギー消費量全体の6割以上を占め、これらはガスコンロ、IHで同じ傾向を示した。火力別の効率と使用割合から一次エネルギーでの総合効率を求めると、ガスコンロで50.0%、IHで27.7%となった。ランニングコストは四季別、調理別のどちらにおいても電気代の方がガス代に比べ高くなった。両調理器の10年間の使用を含めた製造から廃棄までの総エネルギー消費量は、IHではガスコンロの約1.3倍となった。
著者
野村 希代子 戸松 美紀子 杉山 寿美
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.68, 2016

<b>目的 </b>生活習慣病の増加により塩分量の減少が求められ,具体的な方法として薬味の利用等が挙げられている.我々は,これまでに,薬味(吸い口)として,レモン外皮を含む汁物の塩味の嗜好性について検討し,低濃度の汁が許容されることなどを明らかにしている<sup>1</sup><sup>)</sup>.本研究では,ねぎを含む汁物の塩味の嗜好性について,飯を組み合わせた条件で検討した. <br> <b>方法 </b>官能評価は,塩分濃度0.4-0.9%のねぎを含むみそ汁あるいはすまし汁(各6種類,提供温度60℃)を試料とし,0.4%から順に高濃度へ評価させた.さらに,みそ汁に白飯,すまし汁に桜飯(0.6%塩分)を組み合わせ,汁物として最も好ましい塩分濃度と,汁物として許容できる塩分濃度(複数回答)を選択させた.なお,飯と汁の食べる順序に汁の評価が影響されることから「飯の次に汁」の評価と「汁の次に飯」の評価を行った. <br> <b>結果 </b>みそ汁では,各塩分濃度のねぎを含む汁を許容できるとした者は,ねぎを含まない汁と比較して,高濃度の汁で多く,白飯と組み合わせた「汁の次に飯」の評価でも,同様の傾向であった.すまし汁では,各塩分濃度のねぎを含む汁を許容できるとした者は,ねぎを含まない汁と比較して,ねぎを含むことによる影響は小さかった.一方,桜飯と組み合わせた「汁の次に飯」の評価では,低濃度の汁で許容できる者が多かった.ねぎを含むみそ汁に白飯,ねぎを含むすまし汁に桜飯を組み合わせた「飯の次に汁」の評価では,ねぎを含むことによる影響は小さかった.このことから,吸い口の種類により,汁物の塩味の嗜好性への影響が異なることが示された.<br> &nbsp;1)角田他;日本調理科学会平成26年度大会研究発表要旨集p.32(2014)
著者
武藤 祐子 小出 治都子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.68, 2016

<b>目的</b> 髪型が人物の印象に与える影響は少なくない。このことは、マンガの世界においても例外ではなく、登場人物の髪の長さや色が、キャラクターの個性を表すものとして重要な意味を持つことがある。本研究では、特徴的な髪型をしたマンガキャラクターの例として「美少女戦士 セーラームーン」に着目し、美容の技巧・文化的な視点から髪型とキャラクター設定との関係性を考察した。<br><br><b>方法</b> 1992年に連載が始まったマンガ『美少女戦士 セーラームーン』の文献資料を基に、主人公セーラームーン(=月野うさぎ)の頭部を5セクション(フロント、サイド、トップ、バック、ネープ)に分類し、各セクションのスタイル構成の分析を行った。<br><br><b>結果</b> 髪型の構成を分析した結果、各セクションに、戦士を連想させるアクティブ要素やプリンセスを連想させるエレガント要素などの、キャラクター設定と共通する印象を与える要素がスタイルとして採用されていることが分かった。また、セーラームーンのベースの髪型である「ツインテール」は、主人公の「少女」表象に附与し、更に、このベースの髪型の長さ、色、形状の変容により、物語の中の時代、その時々のキャラクターの役割、心情を表現していることが分かった。これらのことから、キャラクター設定時の髪型がその後の物語の展開に影響する可能性が示唆された。
著者
大竹 美登利 中山 節子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.63, pp.148, 2011

目的:世界経済の急速な悪化によって、日本では、派遣、パートなどの低賃金で不安定な労働市場が拡大し、生活費の最低限を確保するために、長時間労働や複数の仕事を掛け持ちするダブルワークが増えているといわれている。そこで、2010年の家政学会では、収入階層が時間配分に与える影響について分析した。その結果、収入階層と時間量には一定の関係があったが、必ずしも収入が高いほど労働時間が長くならず、土日では収入階層が高いほど労働時間が短く家事時間や自由時間が長くなる傾向にあった。そこで今回は同様のデータを使用し、生活の質を規定すると考えられる余暇活動の内容が収入階層によって相違するかどうかを明らかにすることを本研究の目的とした。<BR>方法:一橋大学経済研究所附属社会科学統計情報研究センターでは、学術研究目的使用する研究者に、秘匿処理を施したミクロデータを試行的に提供している。この募集に応募し承認を受けた(2007年12月官報4969号)、1991、1996、2001年の社会生活基本調査のミクロデータを使用し、収入階層による相違を分析した。<BR>結果:収入階層による時間量の相違が明らかになった夫妻と子どもの世帯で、収入階層別に、夫妻のインターネットの利用、学習研究活動、スポーツ、趣味、ボランティア、旅行の余暇活動の頻度を分析したところ、どの活動においても、収入階層が高いほど頻度が高くなる傾向にあり、特に妻パート世帯ではその傾向が明らかとなった。そこで、夫婦と子どもの妻パート世帯の高校生を同様に分析した結果、親と同様に、収入階層が高いほど様々な余暇活動が活発に行われていた。逆に言えば、親世代の社会的文化的貧困さが、子ども世代にも再生産されていることが明らかとなった。
著者
柳井 妙子 中山 徹
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.64, 2012

(目的)若者から高齢者までが住みやすいと感じる地域は誰もが願うものである。上手くいく時期があっても時間の経過と共に変化してくることは自然なことである。これは、ボールを投げ上げたときの放物線のごとく必ず上がればピークを境に落ちてくるのと類似している。まちづくりの仕掛けをある間隔ごとに実施し続けることが持続可能な地域づくりには欠かせないものと考える。今回研究対象である岐阜市芥見東地区は高経年化した郊外型団地であり、現在コミュニティバス(コミバス)を本格運行している。3年半前試行運行時に誕生したコミバス運営協議会は自治会連合会の一環の取組でもある。乗車率を高め、継続的にそれを維持する手法をみつけることが、芥見東地区を持続可能なまちにすることの一助と考え、その手法を知見することを目的とする。(方法)コミバスへの取り組みと、そこから派生している自治会連合会の活動が地域住民へ浸透していっていることを、月刊紙の自治会だよりと2012年1月に芥見東自治会連合会会長、副会長の5名への聞き取り調査からみていく。(結果)住民の足であるコミバスを継続運行するための仕掛けづくりは、格安回数券の販売とボランティアであるヘルパー制以外にも日々の住民同士の繋がりから生まれてきている。高齢化が進んでいる芥見東地区では、ほとんどの連合会役員たちは第一線を退いた方たちで構成されている。退職後に地域活動をすることで遣り甲斐を感じ、汗を流して人と人との輪が広がることを日常の楽しみとしている人が増えてきている。また里山づくりや歌声喫茶など活動は広がっている。これは毎月発行している自治会便りを通して連合会活動を住民に情報公開し透明性を図っていることからと考える。
著者
城田 直子 島村 綾 峯木 眞知子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.67, 2015

<b>目的 </b>慢性腎不全患者の食事管理では,低たんぱく米が利用されている.長期に食べるには,飯のにおいや味が重要である.市販の炊飯用低たんぱく米は,加熱方法や保存条件,喫食までの時間などを推奨している.本研究では,この低たんぱく米の保存条件をにおいの面より検討した.<br><b>方法 </b>冷凍保存を推奨している炊飯用低たんぱく米4種を用いた.開封直後または冷凍保存後,推奨されていない冷蔵で2週間保存した米を炊飯した.それを電気炊飯器で炊飯し,炊き上がり直後および室温放置30分した飯のにおいについて,ポータブル型ニオイセンサ(新コスモス電機株式会社)でにおいの強さを,におい識別装置(株式会社島津製作所FF-2A)でにおい成分を測定した.<br><b>結果 </b>一般の炊飯米のにおいでは,炊き上がり後のにおいが弱く,室温放置30分後のにおいが強くなった.これに対し,低たんぱく炊飯米では,室温放置でにおいは弱くなった.それらを冷蔵保存した炊飯米のにおいのピークレベル値は,1試料を除きさらに低い値を示した.保存条件によって,低たんぱく米のにおいは変化した.<br><b>考察 </b>低たんぱく米では,有機酸以外にトリメチルアミンや酢酸ブチルが検出された<sup>1)</sup>.冷蔵保存により,これらが変化した可能性がある.有機酸の臭気寄与が減少したのなら,飯臭が消えたことになり,別なにおいが増加した可能性がある.<br>1)城田ら:日本臨床栄養学会・協会総会第12回連合大会発表,10月(2014年).
著者
角田 由美子 吉村 圭司 中島 健 岡村 浩
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.213, 2003

<b>目的</b> 市場には様々なデザインの婦人靴が出回っており、ヒールの形状も多種多様である。これらの中にはファッション性を重視するあまりにヒールの強度を考慮せずに設計されているものも認められる。ヒールの破損による事故は数多く報告されているものの、ヒールの強度と形状との関係について検討したものは見当たらない。したがって、現在流行しているスティレットヒールの強度についてヒールの高さ、太さ、補強芯の有無等から検討を行った。<b>方法</b> 実験には高さ約8cmで形状の異なる3種類のヒールを試料とした。ヒールの高さの影響を検討するために各ヒールの高さを1cmおよび2cm短くして試験を行った。ヒールの補強芯は鋼製パイプを用い、焼入れをしたパイプと焼入れをしていないものを用いた。また補強芯の入っていないヒールも試料とした。ヒールの素材はABS樹脂を用い、射出成型の条件は一定とした。これらのヒールについて、歩行で受ける強い衝撃に対する耐久性や柔軟性を評価する、婦人靴ヒールの衝撃試験を行った。また小さな衝撃を繰り返し加え、疲労破壊を評価する婦人靴ヒールの疲労試験を行なった。<b>結果</b> 1)ヒールの高さが低いほど衝撃を受ける位置がヒールのシート部近くになるため強度は強く、たわみや変形も少なかった。2)補強芯が入っているヒールは入っていないものよりも強度は強く、補強材としての効果が認められた。3)焼入れをした補強芯は焼入れをしていないものよりも強度は強く、たわみや変形も少なかった。4)ヒールが太いほど強度は強く、ヒール中央部のカーブが小さいものほど強い傾向が認められた。以上の結果から同一素材におけるヒールの強度はヒールの高さ、太さ、ヒール中央部の形状、補強芯の有無および焼入れの有無等が影響していることが認められた。
著者
工藤 美奈子 佐々木 麻有 嶋崎 日奈子 後藤 美奈子 桜井 毬衣 一場 理那 小泉 昌子 峯木 眞知子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.70, pp.34, 2018

<b>目的</b> 消費者の食の簡便化ニーズの上昇や野菜価格の高騰を受け、カット野菜の需要が増加している。カット野菜が多く消費されると、芯や皮の未利用部分の量も増加する。カット野菜の原料としてはキャベツが最も多く用いられており、その歩留まりは約70%といわれている。そこで本研究では未利用部分であるキャベツの芯に焦点を当て、その特性を把握して活用方法を検討した。<br><b>方法</b> キャベツの芯を3部位(芯中心部、維管束、芯周辺葉)に分け、部位別重量割合、成分分析、官能評価を行った。芯の利用には独特のにおいが問題になる為、芯を部位別にして各部位のにおいをにおい識別装置(㈱島津製作所、FF-2A)で測った。これらの結果、芯を利用した「やわらかシャキシャキの鶏つくね」を調製し、未利用資源であるキャベツの芯が有効利用できるかを検討した。<br><b>結果</b> キャベツ全体に対する芯の重量割合は約10%で、芯の部位別重量割合は芯中心部16%、維管束16%、芯周辺葉68%であった。官能評価の結果、維管束部のにおいが有意に強かった。このにおいは芳香族系のにおいであると考えられた。調製した鶏つくねは、キャベツの芯を肉の重量の50%まで刻むかすり卸した状態で添加することができた。これにより、芯の約70%を活用することに成功した。食品ロスが削減でき、未利用部分の価値を高めることで食料資源が可能となった。そして、持続可能な社会環境の継続への一助となると考える。
著者
前田 亜紀子 山崎 和彦 栃原 裕
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.59, pp.6, 2007

【目的】本研究の目的は、濡れた衣服の影響について、気温、衣服様式、水分率、作業強度の各条件を組合せ、生理・心理的観点から観察することであった。【方法】被験者は健康な成人女子11名であった。人工気候室は、気温30、25、20℃(相対湿度は80%一定)に制御された。衣服様式はスウェット上下(様式S)とTシャツ短パン(様式T)とした。以上より5種条件(30S, 30T, 25S, 25T, 20S)を設定した。衣服の濡れ条件は、D(乾燥)、W1(湿った)、W2(びしょ濡れ)の3種とし、全衣服重量の平均は、様式Sでは各々819, 1,238, 2,596g、様式Tでは各々356, 501, 759gであった。各濡れ条件において、安静期と作業期を設けた。作業期における踏み台昇降作業のエネルギ代謝率は2.7であった。測定項目は、酸素摂取量、直腸温(Tr)、平均皮膚温(Tsk)、および主観申告値とした。【結果】酸素摂取量は、衣服重量および寒冷ストレスの影響を受けて変化した。Trの値は、条件25Tと20Sでは漸減した。Tskは環境温に依存して漸減し、特に条件20Sにおいては著しく低下した。本研究の要点は次の通りである。1) 濡れた衣服を着用した場合、気温30℃では着衣の工夫により温熱ストレスは最小に止めることができる。2) 気温25℃以下では、軽装の場合、寒冷ストレスが生じ得る。3) 衣類が乾燥状態であれ濡れた状態であれ、全身温冷感が中立であるとき、Tskは約33℃であった。4)濡れた衣服条件における特色は、全身温冷感が「冷たい」側へシフトするとき、平均皮膚温が著しく低下することである。
著者
佐藤 了子 佐藤 恵
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.59, pp.39, 2007

<B>目的</B> 通学時及び学内で制服着用を義務付けられていた女子短大生が、制服の廃止により旧制服に持つイメージをどのように捉えていたかを中心に、ファッションスタイルの嗜好、およびファッションスタイルの受容についても明らかにすることを目的とした。<BR><B>方法</B> 質問紙法によるアンケート調査。調査対象者は女子短期大学生1年生99名。有効回答数は96であった。調査期間は平成15年11月。調査内容は出身高校、旧制服の所有状況、旧制服に持つイメージ(SD法、5段階評価)、ファッションスタイルの嗜好(20項、5段階評価)、及び着装の受容(20項、4段階評価)についてである。<BR><B>結果</B> 旧制服の着用状況は、着用しないが52%、いつも着用する17%、着用することが多い21%、時々着用する10%であった。着用する理由として私服を選ぶ面倒がないから61%が最も多く、毎日の通学に私服を選ぶ必要がないという理由から旧制服を着用しているようであった。旧制服に持つイメージで平均点の高かった項目は、清潔な、清純な、上品な、知的なイメージであり、低かった項目は、個性的な、派手な、活発な、人目を引くなどの項目であった。ファッションスタイルで好まれているものは、気軽で自由なスタイル、シンプルなスタイル、若々しいスタイルで、好まれないものは、ロマンティックなスタイル、アダルトなスタイルであった。着装の受容については、抵抗感が少ないものは、ミニスカート、パンツとスカートの重ね着、破れたジーパンなどであり、抵抗感のあるものはへそ出しルック、シースルーの服、胸の大きくい開いた服を着るなどであった。現在流行の着装は受容されているが、体がでる着装には抵抗感があることが示唆された。
著者
渡辺 澄子 片瀬 眞由美 平林 由果
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.87, 2005 (Released:2005-12-08)

目的 わが国では、足の症状で悩む人が非常に多くなってきた。それらの症状は急に現れるのではなく、幼少期からの靴の選び方や履き方に原因があるのではないかと考えられる。我々は既にわが国の幼児を対象に実態調査を行い多くの問題点を明らかにした。ここではさらに、靴文化の長い歴史をもつドイツにおける子供靴の実態を、ドイツの小学校の保護者へのアンケート調査をもとに分析し、いくつかの知見を得たので報告する。方法 調査対象者はドイツ3地域(ベルリン、フランクフルト、フライブルク各1校)計小学校3校の保護者338名である。調査時期は2004年5月_から_6月、配票留置法による自記式調査を行った。調査内容は、普段履く靴のタイプ、靴購入時の重視点、購入店、足のサイズ測定、価格、子供靴に対する不満、子供および保護者の足の健康状態、足の症状に対する対処法、子供が最初に履いた靴に対する記憶や保存等である。結果 普段履く靴のタイプは紐靴がほとんどである。留め具のない靴はほとんど履かれていない。靴購入時の重視点はフィット性と子供の足の健康であり、シューフィッターなどのいる靴専門店で足のサイズを測って購入している。普段の靴一足の平均購入価格は6570円(円換算)であり、わが国の平均価格よりかなり高い。靴購入時の不満では価格の高さを不満と答えているものが多いが、しかしながら中古靴に対して経済的だから履かせるというものはほとんどいない。子供の足の健康には非常に関心があると答えており、足のトラブル症状に対しては、専門家のいる靴店で靴を選ぶ、病院で受診していると答えていた。子供が最初に履いた靴を6割近くのものが大事に残しているのも靴文化の違いであろう。
著者
清水 祐美 岡田 実紀 片桐 孝夫
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.180, 2012 (Released:2013-09-18)

目的:天ぷらは高温の油で揚げることにより衣の脱水と吸油が起こり、サクサクとした食感が生じる。一般的にサクサクとしたおいしい天ぷらを作成する際、冷水を使用すること、衣を攪拌しすぎないことなどが知られているが、非常に難しい。そこで、本研究では、衣を調製する際にレモン果汁を添加することで衣の物性に与える影響について評価し、おいしい天ぷらの調理方法の可能性について検討した。 方法:天ぷらの衣は、小麦粉:調味液を1:1.5の割合で調製し、180℃で揚げた。調味液は、13%レモン果汁、もしくはコントロールとして水を使用し、両者の物性等に与える影響の比較を行なった。衣の状態を比較するため、生衣での衣の付着量と、揚げ衣での水分量、吸油量、物性の測定、官能評価を行った。付着量はシリコンゴムに付着した衣の量を測定した。水分量は常圧乾燥法により、吸油量はクロロホルム・メタノール混液抽出法により測定した。物性は、テクスチャーアナライザーを用い、揚げ衣が破断されるまでの間のピーク回数を測定し、食感(サクサク感)の評価を行った。 結果及び考察:天ぷら衣の付着量の結果より、レモン群はコントロール群より少なく生衣の粘りが少なかった。揚げ衣においては、レモン群はコントロール群に比べ、水分が少なく、油量が多い傾向にあった。テクスチャーアナライザー、および官能評価の結果より、レモン群は、衣のサクサク感も高かった。以上の結果から、天ぷら衣を調製する際にレモン果汁を添加することで、含まれるクエン酸により、小麦粉のグルテン形成が阻害され、揚げた際にサクサクとした食感の天ぷらを作成することができると考えられる。
著者
亀井 文 弓座 成美
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.64, 2012

[目的] 胃や小腸で消化吸収されることなく大腸にまで到達するデンプン、レジスタントスターチ(RS)は食物繊維同様に腸内細菌の発酵基質として利用され、そこで産生された短鎖脂肪酸は大腸の健康に重要な役割を果たしている。しかし、でんぷん性食品のRS量が、調理によってどのように変化するのかを調べた研究はあまり多くない。前回は米の炊飯時の加水量の増減に対してRS量には変化がなく、加水量の異なる炊き立て飯とRS量との間に関係性は見られなかったことを報告した。今回は炊飯時の加熱温度上昇の違いによる炊き立て飯とRS量について実験を行った。<br>[方法] 本実験は平成23年新潟県魚沼産コシヒカリを用いた。加熱条件は鍋を用いて100℃まですぐに上昇させて高温を維持する標準的な炊飯(A)、100℃まで一定に近い温度上昇変化での炊飯(B)、低温を長時間維持する炊飯(C)、炊飯器炊飯(日立RZ-DM3)(D)、電子レンジ炊飯(E)の5条件で行った。炊き上がり後、飯を均一化し、バットに広げて荒熱を取った後脱水操作を行い、炊き立て飯としてRS量を測定した。RS量測定はRS測定キット(メガザイム社)を用いて行った。<br>[結果] 条件CのRS量は0.34%であり他の条件と比べて有意に低い値であった。条件DのRS量は0.57%であり、条件A(0.45%)、B(0.45%)と比べて有意に高い値であった。この結果より、温度上昇変化およびそれに伴う炊飯時間の違いがRS量増加に関与していることが示唆された。
著者
小出 あつみ 間宮 貴代子 山内 知子 阪野 朋子 松本 貴志子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.66, 2014

<b>目的</b> 愛知県岡崎市名産の八丁味噌は赤褐色で発酵臭があり,濃厚なうま味と渋みを持つ個性的な味噌である.本研究は八丁味噌を使用した新たな菓子とパンの商品開発を試み,その特性と嗜好性について検討した. <b>方法</b> 味噌は無添加豆味噌を使用した.菓子とパンは洋菓子類,和菓子類およびパン類に分類して,栄養価と原価を求めた.官能評価はパネリスト16人を対象に8項目ついて「八丁味噌の特性を生かせているか」を5点尺度の評点法で評価した.嗜好評価として好きな順番に1位~3位までを選んだ.データはTukey法による多重比較検定を行い,統計的有意水準を5%で示した.<b>結果</b> 官能評価の結果から,加熱しない味噌は酸味が強く,塩辛く感じることが示され,味噌を入れた生地では味噌の味と香りが減少した.調製時に砂糖との味のバランスに配慮する必要性を認めた.評点法(総合)と嗜好評価の上位5位の中に共通して芋プリン味噌カラメルかけ・味噌ダックワーズ・味噌シフォンケーキ・味噌鬼まんじゅうが入ったので,これらの菓子は味噌の特性を活かした好まれる菓子だと考えられた.以上の結果から,総体的に八丁味噌の使用は洋菓子類で評価が高く,薄力小麦粉,乳製品,砂糖,卵を使用することで味噌の塩辛さをまろやかにして八丁味噌の特性を活かした好まれる菓子となることが示され,今後の商品開発に向けて有用な資料を得た.<u></u>
著者
榎本 ヒカル
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.67, 2015

<b></b><b>目的 </b>近年の夏場の暑熱気象に対応するため学校環境への冷房用エアコンの導入が急速に進んでいる。平成26年度の調査では小中学校普通教室のエアコン設置率は全国平均で32.8%、東京都では99.9%であり、夏期の教室温熱環境が改善していると推測される。本研究では東京都市部における現状の把握を目的として、教員と児童生徒の温熱環境の実態調査を行った。<br> <b>方法 </b>調査は東京都の某区立小学校にて行われた。調査は南向きの校舎3階にある第6学年の学級で行い、教室とその学級の担任教諭(20代男性)、児童30名(男子16名、女子14名)を調査対象とした。測定項目は教室の温熱環境(温度、湿度、気流速度、黒球温度)、教諭の皮膚温(胸、上腕、下腿)、教諭及び児童の温冷感とした。調査はH26年9月上旬および10月下旬に行った。<br> <b>結果 </b>1)教室の温熱環境は9月上旬は25℃~29℃の範囲内にあり、エアコンにより高温高湿度になることが抑えられていた。10月下旬には外気温は20℃以下であったが、教室は24~28℃であり夏とあまり変わらない状態であった。2)教員の皮膚温は9月、10月とも34℃程度であり、比較的暑い環境で働いていた。3)児童の温冷感は個人差が大きく、平均値に男女差はみられなかった。<br> 文献 公立学校施設の空調(冷房)設備設置状況調査の結果について、H26年5月23日、文部科学省
著者
福岡 恩 柴田 充代 小田 麻未
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.68, 2016

<b>目的 </b>平成17年度乳幼児栄養調査の結果では、1歳以上の子どもを持つ親の食に関する悩みとして「偏食する」「よく噛まない」という項目を選択したものが平成7年~17年の10年で増加した。また、第2次食育推進基本計画に「よく噛んで味わって食べるなどの食べ方に関心のある国民の割合の増加」を現状値70.2%に対し目標値を80%以上としている。本研究は、自身で調理し食べることにより様々な食品を積極的に食べるきっかけに、また、献立の工夫で「噛む」ことを意識できるよう、地域の未就学の子どもを持つ親子を対象に料理教室を開催し、終了後アンケート調査を実施した。<br><br><b>方法 </b>対象は平成25年11月より平成28年3月まで「楽しい親子クッキング」へ参加したのべ220組の地域の親子。献立に咀嚼を意識できるようなものを組み込み、調理・試食してもらった。また、実習後、アンケートを実施した。作った料理の味、硬さ、こどもの日頃の咀嚼に関してどのように感じているかなどについて質問した。データ解析はクロス集計(Microsoft excel)等で行った。<br><br><b>結果</b> 日頃の咀嚼は「できている」23%、「どちらかといえばできている」23%、「ふつう」35%、「どちらかといえばできていない」15%、「できていない」0%だった。また、日頃の咀嚼の有無と実習で作った料理の硬さについての評価の相関を検定したところ、有意差はみられなかったが、日頃の咀嚼が「できていない」群には実習の料理の硬さを硬いと感じる傾向がみられた。
著者
藤本 この美 草野 篤子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.108, 2003

【目的】日清・日露戦争期から日本内外の軍隊買春は拡大し、日中戦争の頃には軍そのものが戦場に「慰安所」を設置し、「慰安婦」を従軍させるといった「軍隊慰安婦」政策が実行された。政府はこれまで慰安所への関与は認めているものの、あくまで業者の経営によるものと主体性を否定している。そこで本研究では、公文書から当時の政府や軍の主体的関与を明らかにし、同時にこの問題を日本軍隊の特殊性や植民地支配のあり方、様々な人権差別が交錯した問題として捉え、慰安婦制度を生んだ社会的背景を考察する。【方法】朱徳蘭編『台湾慰安婦関係資料集』(不二出版、2001年)を用いて、公文書から軍や政府の主体的関与を探し出す。また、藤目ゆき氏の研究を参考に「性」・「階級」・「民族」という視点から、基本的人権をキーワードに論述する。【結果】台湾における慰安婦徴集・送出には「軍→内務省→台湾総督府→州知事・庁長→郡守・警察署長→業者」、海南島における慰安所の建設・経営には「軍→台湾総督府→台湾拓殖株式会社→福大公司→業者」といった組織の存在が明らかとなった。軍や政府の主体的関与が認められ、同時に半官半民の台湾拓殖株式会社の関与、さらにそれを隠蔽するため福大公司という子会社をトンネルとして融資をした事実も判明した。また社会的背景としては、天皇制国家・家父長制社会・差別社会の存在があったと考察される。女性は男によって「モノ」化され、天皇には侵略戦争のための「コマ」として扱われ、差別によって意思を遮断されたのである。今後女性の性の蹂躙をなくすためには、女性が自分の生き方と性のあり方を自分で決定できるような社会の土壌をつくっていくことが重要である。
著者
荒木 裕子 山本 直子 上浦 沙友里 江本 彩乃 丸井 正樹
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.67, 2015

<br><br>【目的】ネームはタイ北部で生産される伝統的な発酵ソーセージである。その製法は、新鮮な豚肉に食塩、にんにく、唐辛子、糯米飯を入れ常温で数日間発酵させて製造する。ネームは乳酸発酵により、pHが低下し、微生物の増殖が抑制され、完成したネームは適度に酸味があり、生食する人もいる。近年、日本でも製造され、市販品も見られるが、我が国ではネームに関する研究が少なく、安全性の検討もされていない。本研究ではネームを作製し、細菌叢の変化やpHの変化を経時的に調査した。<br>【方法】試験試料として1)ネームパウダー添加区2)ネームパウダー無添加区 3)ネームパウダー、にんにく、唐辛子無添加区の3種のネームを調製した。調製開始から完成までの4日間、24時間毎に採取して実験試料とした。細菌の測定では、一般生菌数、大腸菌群の測定、乳酸菌の測定をおこない、pHの測定も実施した。<br>【結果】ネームパウダー添加区では、ネームパウダーの主成分である無水グルコン酸により、調製後即時にpHの低下が見られ、細菌の増殖も抑制されていた。2)、3)の製法では、発酵1日目では大腸菌群が確認された。しかし、発酵の進行に伴い乳酸菌数が増加し、pHも低下した。それに伴い大腸菌群数が極めて減少した。ネームは製造手法により、発酵中の細菌叢や細菌数に差が見られたが、発酵完了時では全試料でpH低下がみられた。発酵により、ネーム本来の酸味と旨みが生じ、安全性も付加されることが示唆された。