著者
岡崎 貴世
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.66, 2014

<b>目的</b> マスクには感染症対策、アレルギー対策、ホコリや粉塵などから喉や気管支を保護する効果がある。また、給食施設においては調理従事者の衛生管理対策として使用される。しかし長時間の着用によって内部が蒸れてきて不快感を生じたり臭いを発してくることもある。さらにマスクが微生物の汚染源となり、マスクを介して細菌が食品に伝播されることも考えられる。そこで、マスクの使用状況の調査と使用済みマスクの微生物汚染度を測定した。<br><b>方法</b> 大学生148人を対象にマスクの使用状況に関するアンケートを実施した。マスクの汚染状況は微生物検査とATP検査で評価した。微生物検査は、生理食塩水中で使用済みマスクを一定時間揉み洗いして検査液を調製し、一般細菌(標準寒天培地)、ブドウ球菌(卵黄加マンニット食塩培地)、真菌(PDA培地)の測定を行なった。また検査液のATP検査を行なった。<br><b>結果</b> 学生のマスクの使用頻度は高く、中には一度使用したマスクを翌日に再使用する人がいた。また着用時にマスクを手で触れる人が多いことがわかった。使用済みマスクの細菌汚染状況には個人差があり、汚染度の高いマスクで10<sup>5</sup>cfuを超える一般細菌が検出された。またその大部分はブドウ球菌だった。マスクの一般細菌数とATP発光量に関連は認められず、マスクには今回の測定で検出されない口腔細菌等が多数付着しているため、ATP発光量に影響したと考えられた。<br>
著者
岡崎 貴世
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.80, 2014 (Released:2014-07-10)

目的 マスクには感染症対策、アレルギー対策、ホコリや粉塵などから喉や気管支を保護する効果がある。また、給食施設においては調理従事者の衛生管理対策として使用される。しかし長時間の着用によって内部が蒸れてきて不快感を生じたり臭いを発してくることもある。さらにマスクが微生物の汚染源となり、マスクを介して細菌が食品に伝播されることも考えられる。そこで、マスクの使用状況の調査と使用済みマスクの微生物汚染度を測定した。方法 大学生148人を対象にマスクの使用状況に関するアンケートを実施した。マスクの汚染状況は微生物検査とATP検査で評価した。微生物検査は、生理食塩水中で使用済みマスクを一定時間揉み洗いして検査液を調製し、一般細菌(標準寒天培地)、ブドウ球菌(卵黄加マンニット食塩培地)、真菌(PDA培地)の測定を行なった。また検査液のATP検査を行なった。結果 学生のマスクの使用頻度は高く、中には一度使用したマスクを翌日に再使用する人がいた。また着用時にマスクを手で触れる人が多いことがわかった。使用済みマスクの細菌汚染状況には個人差があり、汚染度の高いマスクで105cfuを超える一般細菌が検出された。またその大部分はブドウ球菌だった。マスクの一般細菌数とATP発光量に関連は認められず、マスクには今回の測定で検出されない口腔細菌等が多数付着しているため、ATP発光量に影響したと考えられた。
著者
荒木 裕子 山本 直子 上浦 沙友里 江本 彩乃 丸井 正樹
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.197, 2015 (Released:2015-07-15)

【目的】ネームはタイ北部で生産される伝統的な発酵ソーセージである。その製法は、新鮮な豚肉に食塩、にんにく、唐辛子、糯米飯を入れ常温で数日間発酵させて製造する。ネームは乳酸発酵により、pHが低下し、微生物の増殖が抑制され、完成したネームは適度に酸味があり、生食する人もいる。近年、日本でも製造され、市販品も見られるが、我が国ではネームに関する研究が少なく、安全性の検討もされていない。本研究ではネームを作製し、細菌叢の変化やpHの変化を経時的に調査した。【方法】試験試料として1)ネームパウダー添加区2)ネームパウダー無添加区 3)ネームパウダー、にんにく、唐辛子無添加区の3種のネームを調製した。調製開始から完成までの4日間、24時間毎に採取して実験試料とした。細菌の測定では、一般生菌数、大腸菌群の測定、乳酸菌の測定をおこない、pHの測定も実施した。【結果】ネームパウダー添加区では、ネームパウダーの主成分である無水グルコン酸により、調製後即時にpHの低下が見られ、細菌の増殖も抑制されていた。2)、3)の製法では、発酵1日目では大腸菌群が確認された。しかし、発酵の進行に伴い乳酸菌数が増加し、pHも低下した。それに伴い大腸菌群数が極めて減少した。ネームは製造手法により、発酵中の細菌叢や細菌数に差が見られたが、発酵完了時では全試料でpH低下がみられた。発酵により、ネーム本来の酸味と旨みが生じ、安全性も付加されることが示唆された。
著者
水谷 令子 富田 寿代
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.108, 2005 (Released:2005-12-08)

[目的]コーカサスは旧ソ連のヨーロッパ部分の最南端に位置し、西は黒海、東はカスピ海に挟まれた地域であり、紀元前に遡る歴史をもち、古くから文化が栄えた。本研究では、グルジアの水道水および地下水の水質を調べ、この地域の生活用水の現状と将来について検討する。[試料採取および実験]トビリシからバツーミまでの各都市の水道水および住民が飲用している湧水や地下水を採取し、上水道試験方法に従って水質を調べた。[結果及び考察]首都トビリシはグルジア東部、内陸部の山に囲まれた平野にあり、大陸性気候である。ここで使われている水道水は、pH8付近、電気伝導度(EC)30~40ms/m、硬度120~160mg/Lの中硬水であった。黒海沿岸地方は湿潤温暖気候で、この地方の代表的な都市バツーミの水道水は、ECが低く、硬度35~45mg/Lの軟水であった。黒海の水は溶存酸素がやや低く、アニオン、カチオンの量を反映してECの値が著しく高くなっている。今回調査したほとんどの試料は硬度と総アルカリ度の値がよく関連しており、ミネラル分は炭酸塩由来であることを示している。グルジアの主な都市には上水道が布設されており、街角には水飲み場があり、人々は頻繁に飲用していた。水道水源は湧水や地下水で、水質は良好で、水量は豊富といえる。また、ミネラルウォーターの採水地も多い。これは、国土は山がちで、比較的降水量が多く、たくさんの河川に恵まれていることに加え、産業や観光目的の開発があまり進められていないことも水質保全に役立っていると思われる。
著者
小出 治都子 熊谷 伸子 佐藤 真理子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.68, 2016

<b>目的 </b>我々はこれまで,日本発の有力なソフトパワー&ldquo;マンガ&rdquo;における,袴着装キャラクターに注目し,袴が,クールジャパンを発信する際に有効な民族衣装の一つであると主張してきた.本研究では,若年層が影響を受けると考えられるマンガにおいての,袴のイメージ形成について考察する.<br><br><b>方法</b> 2015年11月,関西圏在住の大学生76名を対象に,集合法による自記式質問紙でのアンケート調査を実施した.袴のイメージ形成に影響を与えたマンガの抽出を行い,それらのマンガに描かれた袴着装場面の内容分析を行った. <br><br><b>結果</b> 袴のイメージ形成に対し,マンガ等の影響があったと答えた割合は52.0%であった.回答されたマンガタイトルの総数は17であった.その中で回答数の多かったマンガは,『ちはやふる』,『信長協奏曲』,『るろうに剣心』,『ハイカラさんが通る』であった.本研究では『ちはやふる』と『信長協奏曲』に着目した.袴に対して「着るのが面倒」「高価な」と敬遠していた登場人物が,ストーリー展開と共に「貫禄がつく」「きれいに見える」「姿勢が良い」と,その認識を変え実用性の高さを理解する様子が読みとれた.マンガ作品における袴着装キャラクターの登場が,若い世代の袴イメージの一端を形成していると考えられる.<br> なお本研究は,科研費26350082(基盤C:袴の機能性研究-世界に発信する&rdquo;Hakama is cool&rdquo;-)の助成を受けて行った.
著者
清水 祐美 岡田 実紀 片桐 孝夫
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.180, 2012 (Released:2013-09-18)

目的:天ぷらは高温の油で揚げることにより衣の脱水と吸油が起こり、サクサクとした食感が生じる。一般的にサクサクとしたおいしい天ぷらを作成する際、冷水を使用すること、衣を攪拌しすぎないことなどが知られているが、非常に難しい。そこで、本研究では、衣を調製する際にレモン果汁を添加することで衣の物性に与える影響について評価し、おいしい天ぷらの調理方法の可能性について検討した。 方法:天ぷらの衣は、小麦粉:調味液を1:1.5の割合で調製し、180℃で揚げた。調味液は、13%レモン果汁、もしくはコントロールとして水を使用し、両者の物性等に与える影響の比較を行なった。衣の状態を比較するため、生衣での衣の付着量と、揚げ衣での水分量、吸油量、物性の測定、官能評価を行った。付着量はシリコンゴムに付着した衣の量を測定した。水分量は常圧乾燥法により、吸油量はクロロホルム・メタノール混液抽出法により測定した。物性は、テクスチャーアナライザーを用い、揚げ衣が破断されるまでの間のピーク回数を測定し、食感(サクサク感)の評価を行った。 結果及び考察:天ぷら衣の付着量の結果より、レモン群はコントロール群より少なく生衣の粘りが少なかった。揚げ衣においては、レモン群はコントロール群に比べ、水分が少なく、油量が多い傾向にあった。テクスチャーアナライザー、および官能評価の結果より、レモン群は、衣のサクサク感も高かった。以上の結果から、天ぷら衣を調製する際にレモン果汁を添加することで、含まれるクエン酸により、小麦粉のグルテン形成が阻害され、揚げた際にサクサクとした食感の天ぷらを作成することができると考えられる。
著者
水野 時子 山田 幸二
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.153, 2003 (Released:2004-05-25)

【目的】近年、食品成分の機能性について関心が高まっており、生理活性物質とその作用についてよく知られている。また、機能性を持つ成分を富化する研究も多く行われている。大豆は、調理加工の前処理として水浸漬を行うことが多いが、演者らは先に大豆を水浸漬することにより、血圧上昇抑制作用などを有するγ-アミノ酪酸(GABA)が特異的に増加することを報告した。そこで、大豆加工製品の第三次機能を検討することを目的とし、市販大豆製品のGABA含量を測定した。【方法】郡山市内の大手スーパーで購入した枝豆、大豆もやし、豆腐、おから、きな粉(黄大豆・青大豆・黒大豆)、豆乳(豆乳飲料)、納豆、煮豆(袋詰・缶詰)、大豆の発酵食品(テンペ・乳腐・豆腐よう)および自家製味噌を、各数点ずつ分析した。GABAは日立L-8500形高速アミノ酸自動分析計を用い、生体液分析法で分析した。【結果】市販大豆製品のGABAを分析した結果、枝豆は204.2mg/100g dryであったが、茹でる事により44.6mg/100g dryと顕著に減少した。きな粉は6.5mg/100g dryであったが、黒大豆を用いたきな粉は黄大豆、青大豆を用いたきな粉より高い値を示した。煮豆は缶詰(ドライパック)30.4mg/100g dry、袋詰9.0mg/100g dryで、袋詰に対して缶詰で高い値を示した。大豆もやしは400.1mg/100g dry、豆腐は26.2mg/100g dry、おからは18.7mg/100g dry、豆乳(豆乳飲料)は0.8mg/100ml、納豆は11.8mg/100g、 自家製味噌は26.3mg/100gであった。大豆の発酵食品である乳腐はテンペ、豆腐ように比べて顕著に高い値を示した。以上の結果、大豆もやしはGABA高含有食品であることが示唆された。
著者
武藤 祐子 小出 治都子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.68, 2016

<b>目的</b> 髪型が人物の印象に与える影響は少なくない。このことは、マンガの世界においても例外ではなく、登場人物の髪の長さや色が、キャラクターの個性を表すものとして重要な意味を持つことがある。本研究では、特徴的な髪型をしたマンガキャラクターの例として「美少女戦士 セーラームーン」に着目し、美容の技巧・文化的な視点から髪型とキャラクター設定との関係性を考察した。<br><br><b>方法</b> 1992年に連載が始まったマンガ『美少女戦士 セーラームーン』の文献資料を基に、主人公セーラームーン(=月野うさぎ)の頭部を5セクション(フロント、サイド、トップ、バック、ネープ)に分類し、各セクションのスタイル構成の分析を行った。<br><br><b>結果</b> 髪型の構成を分析した結果、各セクションに、戦士を連想させるアクティブ要素やプリンセスを連想させるエレガント要素などの、キャラクター設定と共通する印象を与える要素がスタイルとして採用されていることが分かった。また、セーラームーンのベースの髪型である「ツインテール」は、主人公の「少女」表象に附与し、更に、このベースの髪型の長さ、色、形状の変容により、物語の中の時代、その時々のキャラクターの役割、心情を表現していることが分かった。これらのことから、キャラクター設定時の髪型がその後の物語の展開に影響する可能性が示唆された。
著者
前田 亜紀子 山崎 和彦 栃原 裕
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.59, pp.6, 2007

【目的】本研究の目的は、濡れた衣服の影響について、気温、衣服様式、水分率、作業強度の各条件を組合せ、生理・心理的観点から観察することであった。【方法】被験者は健康な成人女子11名であった。人工気候室は、気温30、25、20℃(相対湿度は80%一定)に制御された。衣服様式はスウェット上下(様式S)とTシャツ短パン(様式T)とした。以上より5種条件(30S, 30T, 25S, 25T, 20S)を設定した。衣服の濡れ条件は、D(乾燥)、W1(湿った)、W2(びしょ濡れ)の3種とし、全衣服重量の平均は、様式Sでは各々819, 1,238, 2,596g、様式Tでは各々356, 501, 759gであった。各濡れ条件において、安静期と作業期を設けた。作業期における踏み台昇降作業のエネルギ代謝率は2.7であった。測定項目は、酸素摂取量、直腸温(Tr)、平均皮膚温(Tsk)、および主観申告値とした。【結果】酸素摂取量は、衣服重量および寒冷ストレスの影響を受けて変化した。Trの値は、条件25Tと20Sでは漸減した。Tskは環境温に依存して漸減し、特に条件20Sにおいては著しく低下した。本研究の要点は次の通りである。1) 濡れた衣服を着用した場合、気温30℃では着衣の工夫により温熱ストレスは最小に止めることができる。2) 気温25℃以下では、軽装の場合、寒冷ストレスが生じ得る。3) 衣類が乾燥状態であれ濡れた状態であれ、全身温冷感が中立であるとき、Tskは約33℃であった。4)濡れた衣服条件における特色は、全身温冷感が「冷たい」側へシフトするとき、平均皮膚温が著しく低下することである。
著者
橋本 恵美子 山崎 久生 宮坂 広夫 向山 恒治
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.86, 2003 (Released:2004-05-25)

[目的]一般的な柔軟仕上げ剤で処理した繊維の水分および熱の移動特性については種々研究されている1)が、カチオン界面活性剤(以下、カチオン)にシリコーンを併用した柔軟仕上げ剤に関してはほとんど検討例がない。本報ではカチオン/シリコーン併用柔軟仕上げ剤で処理した各種繊維の水分移動特性を詳細に検討し、更に処理衣類着用時の快適性について評価した。[方法]評価には、予め前処理した綿、ポリエステルの試験布または衣類を用いた。カチオンのみの柔軟仕上げ剤を対照として、カチオン/シリコーン併用柔軟仕上げ剤の濃度を変化させて処理した各種繊維の、吸水性および蒸散性を接触吸水法により測定した。また、処理衣類着用時の快適性は、発汗時の衣服内温湿度を測定することにより評価した。[結果]一般に、綿繊維の吸水性能は柔軟剤の使用により低下するが、主基材であるカチオンの種類やシリコーンと併用することでこの低下が軽減するとの報告がある2)。カチオン/シリコーン併用柔軟仕上げ剤に関して、シリコーンの量を増加させると吸水性が向上し、綿については柔軟剤非使用と同程度になることが明らかとなった。一方、ポリエステルに関しては、柔軟仕上げ剤を使用すると非使用と比較して吸水性が向上し、シリコーンの併用によりこの効果は更に増大した。また、これら水分移動特性が良好な衣類を着用した場合、発汗時においても衣服内の湿度を低く保つなど、着用時の快適度が高いことが明らかになった。1)井上ら,繊維学会誌,53,p.226(1997)他2)橋山ら,日本家政学会第54回大会要旨集,p.179(2002)他
著者
城田 直子 島村 綾 峯木 眞知子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.67, 2015

<b>目的 </b>慢性腎不全患者の食事管理では,低たんぱく米が利用されている.長期に食べるには,飯のにおいや味が重要である.市販の炊飯用低たんぱく米は,加熱方法や保存条件,喫食までの時間などを推奨している.本研究では,この低たんぱく米の保存条件をにおいの面より検討した.<br><b>方法 </b>冷凍保存を推奨している炊飯用低たんぱく米4種を用いた.開封直後または冷凍保存後,推奨されていない冷蔵で2週間保存した米を炊飯した.それを電気炊飯器で炊飯し,炊き上がり直後および室温放置30分した飯のにおいについて,ポータブル型ニオイセンサ(新コスモス電機株式会社)でにおいの強さを,におい識別装置(株式会社島津製作所FF-2A)でにおい成分を測定した.<br><b>結果 </b>一般の炊飯米のにおいでは,炊き上がり後のにおいが弱く,室温放置30分後のにおいが強くなった.これに対し,低たんぱく炊飯米では,室温放置でにおいは弱くなった.それらを冷蔵保存した炊飯米のにおいのピークレベル値は,1試料を除きさらに低い値を示した.保存条件によって,低たんぱく米のにおいは変化した.<br><b>考察 </b>低たんぱく米では,有機酸以外にトリメチルアミンや酢酸ブチルが検出された<sup>1)</sup>.冷蔵保存により,これらが変化した可能性がある.有機酸の臭気寄与が減少したのなら,飯臭が消えたことになり,別なにおいが増加した可能性がある.<br>1)城田ら:日本臨床栄養学会・協会総会第12回連合大会発表,10月(2014年).
著者
岡崎 貴世
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.7, 2015 (Released:2015-07-15)

【目的】ウェットティシュは、携帯性にすぐれ水を使えない場所で簡単に使用できるため、外出時や食事の前後の手指の消毒、台所や食卓等において汚れのふき取りや除菌に広く使用されている。多くの使用者は、ティシュの除菌効果を期待して食中毒や感染症予防対策として利用している。そこで、ティシュによる除菌効果がどの程度なのか、水を用いた手洗いによる効果と比較した。【方法】実験には17種類のウェットティシュを用いた。除菌効果は、ティシュの使用前後で被験者の手のひらの細菌検査を行い、その増減で判定した。細菌数の測定にはフードスタンプ(標準寒天、日水製薬株式会社)を用いた。比較として、両手を1回洗浄後タオルで拭きとる方法(手洗いA)と、両手を2回洗浄後タオルでふき取り70%エタノールを擦り込む方法(手洗いB)を用いた。 【結果・考察】ティシュ使用後の除菌率は、多くのものが50%以下だった。また同じメーカーで比較するとアルコールタイプの方がノンアルコールよりも除菌効果が高い傾向があった。しかし残菌率は個人差が大きく、拭き取り方や使用前の手指の汚染状況に影響されると考えられた。手洗いと比較するとティシュの残菌率が低く、特に手洗いBは洗浄後の細菌数が著しく増加(208%)しており洗浄効果は認められなかった。そこで手洗い熟練者と初心者で比較すると、熟練者の残菌率は低くなり、手洗いの熟練度が洗浄効果に影響することがわかった。
著者
宇都宮 由佳
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.62, pp.193, 2010

<b>目的:</b>ポルトガルは,16世紀の大航海時代に香辛料を求めアジアへ進出してきた.その際にもたらされたポルトガルの菓子が今日でも各地域に残っている.筆者は,これまで日本,タイ,マカオ,マラッカ等で,どのようなポルトガル菓子が伝来し,現地の菓子にどのような影響を与えたのか,また,現在ポルトガル由来菓子は各地域でどのような発展を,あるいは消失したのかについて調査研究をしてきた.本研究では,16世紀から20世紀半ばまでポルトガル領であったインドのゴアに着目し,他の地域と比較しつつ分析をする.<br> <b>方法:</b>2005年~2009年12月,継続的に各地域の国立図書館,博物館,教会等で資料・文献調査をおこない,現地の菓子工房,ポルトガル系の家庭でヒヤリング調査を実施した.<br><b>結果と考察:</b> ゴアは,インド南西部に位置した米食が主体の地域である.交易のみならずアジアへのキリスト教布教の拠点でもあり,フランシスコ・ザビエルもゴアから日本へ出航した.現在でもポルトガル系の子孫が居住しており,3割がキリスト教信者である.ポルトガル菓子は,教会で発達し布教手段の一つとして伝えられている.そのためゴアは,東アジア地域とは異なり,ポルトガル由来の菓子の種類も多く,名称も本国と同一のものもあった.特に,これまで着目してきた「Fios de ovos(鶏卵素麺)」は,Letriaとも呼ばれているが,ポルトガルと作り方,用いられ方がほぼ同じであった.ただし,ポルトガルのように小麦で作った菓子の上にのせるではなく,ライスの上にのせるという違いがある.ポルトガル系キリスト教徒の家庭でクリスマスや結婚式の際に作られ,母から娘へ受け継がれていた.
著者
畑江 敬子 香西 みどり 古川 英 熊谷 美智世 伊藤 純子 十河 桜子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.250, 2003

【目的】近年、家庭用調理機器においては従来のガスコンロに代わり、電気の誘導加熱を利用した電磁調理器(IH)の普及が進んでいる。そこで本研究では、現状の調理内容に即したエネルギー使用データを収集し、ガスコンロとIHの違いを把握することを目的としている。【方法】 春夏秋冬それぞれ1日の朝食、昼食、夕食の献立を、女子栄養大出版部「栄養と料理」献立カレンダーより選定し、さらに一部をアンケート結果による人気メニューに置きかえることにより、季節、栄養、カロリー、調理方法、人気を考慮した現代版メニューを作成した。年代と調理経験の異なる3人の調理者により、作成メニューについてガスコンロ、IHそれぞれに対し同じ調理を行い、熱量および使用時間を測定した。実験では大きさを揃えた両調理器で適した鍋を用い、同一メニュー内では食材および量を統一した。【結果】IHの方が多くの一次エネルギーを消費した。四季別において冬メニューでは夏の2倍以上のエネルギーを消費し、調理別においては湯沸かし茹で、煮るでエネルギー消費量全体の6割以上を占め、これらはガスコンロ、IHで同じ傾向を示した。火力別の効率と使用割合から一次エネルギーでの総合効率を求めると、ガスコンロで50.0%、IHで27.7%となった。ランニングコストは四季別、調理別のどちらにおいても電気代の方がガス代に比べ高くなった。両調理器の10年間の使用を含めた製造から廃棄までの総エネルギー消費量は、IHではガスコンロの約1.3倍となった。
著者
野村 希代子 戸松 美紀子 杉山 寿美
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.68, 2016

<b>目的 </b>生活習慣病の増加により塩分量の減少が求められ,具体的な方法として薬味の利用等が挙げられている.我々は,これまでに,薬味(吸い口)として,レモン外皮を含む汁物の塩味の嗜好性について検討し,低濃度の汁が許容されることなどを明らかにしている<sup>1</sup><sup>)</sup>.本研究では,ねぎを含む汁物の塩味の嗜好性について,飯を組み合わせた条件で検討した. <br> <b>方法 </b>官能評価は,塩分濃度0.4-0.9%のねぎを含むみそ汁あるいはすまし汁(各6種類,提供温度60℃)を試料とし,0.4%から順に高濃度へ評価させた.さらに,みそ汁に白飯,すまし汁に桜飯(0.6%塩分)を組み合わせ,汁物として最も好ましい塩分濃度と,汁物として許容できる塩分濃度(複数回答)を選択させた.なお,飯と汁の食べる順序に汁の評価が影響されることから「飯の次に汁」の評価と「汁の次に飯」の評価を行った. <br> <b>結果 </b>みそ汁では,各塩分濃度のねぎを含む汁を許容できるとした者は,ねぎを含まない汁と比較して,高濃度の汁で多く,白飯と組み合わせた「汁の次に飯」の評価でも,同様の傾向であった.すまし汁では,各塩分濃度のねぎを含む汁を許容できるとした者は,ねぎを含まない汁と比較して,ねぎを含むことによる影響は小さかった.一方,桜飯と組み合わせた「汁の次に飯」の評価では,低濃度の汁で許容できる者が多かった.ねぎを含むみそ汁に白飯,ねぎを含むすまし汁に桜飯を組み合わせた「飯の次に汁」の評価では,ねぎを含むことによる影響は小さかった.このことから,吸い口の種類により,汁物の塩味の嗜好性への影響が異なることが示された.<br> &nbsp;1)角田他;日本調理科学会平成26年度大会研究発表要旨集p.32(2014)
著者
藤野 淳子 北浦 かほる
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.61, pp.251, 2009

<B>研究の目的</B> 絵本には、作者が幼いころから慣れ親しんだ国の住文化が表現の根底にある。本研究では、住まいの絵本に表れた欧米の個室空間の扱われ方の特徴を捉える。<BR><B>分析の対象</B> 分析対象とした絵本は、前研究で用いた160冊に新たに収集した159冊を加えた合計319冊である。新たに収集した絵本は専門家によって書かれた絵本紹介の雑誌に掲載されていた中から、住まいについての何らかの思潮が読み取れるものを選んだ。<BR><B>結果</B> 欧米では子どもを幼いころから個室で一人で寝かせる就寝形態をとっているため、親が読み聞かせをするために、寝るときの様子を表現した絵本が多くみられる。ベッドタイムストーリーと呼ばれるもので、寝るまでの室内空間や街の様子の変化を描き、安らかな眠りを誘おうとするものが比較的古い絵本にみられる。また、寝る時間における親子の関係や就寝前の支度を通じた躾を描いたもの、ベッドに入ってから寝入るまでの時間を子どもの視点で表現したものがある。二つ目の特徴として、欧米では個室が定着しているため、個室が発想を想起する拠点として位置づけられている。日本の絵本では子どもを空想の世界に導く場所がお風呂やトイレ、おじいちゃんの家など日常の生活の中で親と離れてひとりになれる場所が多くみられる。それに対して欧米の絵本では自分の部屋からイメージの世界を広げており、親子関係の確認や物事を考える場所として扱われている。最後に、欧米の絵本には断面表現が多くみられ、部屋の機能の違いや他人の家どうしでの住まい方の違いを表現する手段にされている。個人が尊重される欧米では他人の暮らしは違うものだという考えが根本にあることがわかる。
著者
山村 明子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.60, pp.242, 2008

<B>目的</B> ファッション雑誌によるトレンド提案と、それらを支持する消費者像を分析し、現代ファッションの背景を探る。<B>方法</B> 雑誌モデル蛯原友里が提案するOLスタイルに着目し、そのファッションテイスト、モデル像、及び消費者の生活スタイルを検討する。主な資料にはファッション雑誌CanCamを利用する。<B>結果</B> CanCam誌上のファッションスタイルの変遷を追うと、2004年3月にロマンチックスタイルが提案され、翌月にはその提案は蛯原友里をメインにエビちゃんOLと名付けられた。そのスタイルは白、ピンクといった淡い色彩とフリルやリボンを取り入れたソフトでキュートなファッションイメージで、上司にも好印象を与える「愛され系スタイル」として位置づけられている。このような提案は多くの読者に支持され、「蛯原友里が着た服は店頭で即日完売」というエビちゃん現象を巻き起こす。この背景には「恋も仕事も頑張る」というモデル像の設定と、現代女性の価値観が合致し、ファッションイメージをモデル像によって増幅させた効果が反映されていると考える。
著者
渡辺 澄子 村田 温子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.193, 2003

【目的】中学・高校生の衣生活に対する意識や実態は、彼らのライフスタイルの中の一要因であり、服装単独で存在するものではない。本研究は、昨年報告した三重県下の中学・高校生の生活構造の結果をもとに、衣生活の実態が他の生活領域とどのように関連しているかを明らかにするものである。【方法】調査は第1報と同様である。調査内容は、制服に対する賛否とその理由、服装に対する興味関心(服装のセンス、ブランド服の好き嫌い、服の好み他)と他の生活領域項目(生活時間、生活空間、生活意識、人間関係、食生活、住生活、学校生活、経済状態、生活習慣・規範・態度)である。分析方法は、単純集計、クロス集計、重回帰分析、共分散構造分析による解析を行った。【結果】服装への興味関心は、中学生・高校生のライフスタイル全般からみたところ、その影響を強く受ける順に、友人関係、自分の将来への関心度、校則に対する態度、世界の動きや政治への関心度、お小遣いの額、生き方に対する態度、生活全般に対する満足度などとの関わりが強いことが明らかとなった。 一方、あまり影響がみられない項目として明らかになったものは、テレビ視聴時間の長さ、先生と会話をするかどうか、制服への賛否、勉強の目的、アルバイトの有無、タバコを吸っているか否か、ボランティア意識があるか否かなどであった。また衣生活の中でも、自分の衣服を洗濯するかどうかという基準では、お年よりのためのボランティア志向があるか否か等との関連がみられた。中高生の衣生活の有り様を考える場合は、個別のファッションを指摘することよりも、彼らのライフスタイルとの関わりで考える必要があることが明らかとなった。
著者
森島 美佳 荻須 麻希 宮本 教雄
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.146, 2005 (Released:2005-12-08)

本研究では、マスクの性能と装着感との改善策を提案することを長期的な目的とする。市販されているマスクは、実験的には多量の粉塵、花粉、ウィルスを吸着することができる。しかしながら、実際の装着時におけるその効果は明確ではない。その理由として、マスクと顔との隙間から粉塵、花粉、ウィルスを吸い込んでしまうという点が挙げられる。また、本研究の一環として行ったマスクに関するWeb上でのアンケートでは、現在市販されているマスクに対して、70%の回答者が満足しておらず、その理由として、息苦しい(20%)、蒸れる(16%)、サイズ不一致(10%)、フィット感(6%)、ずれ感(6%)等の装着感の悪さが、防護効果に影響を及ぼすことが予測される。本報告では、装着感に関する問題点とその要因を把握するために、市販マスクに対する息苦しさに着目し、市販マスクのデザインの観点から検討していく。実験では、様々なデザインを有する市販マスクを採用し、官能検査と一般性能を計測した。試験試料は、ガーゼマスク、ガーゼ立体型マスク、不織布マスク、不織布立体型マスク、不織布紐マスクの計5種類である。官能検査では、(1)息苦しさとそれに関連すると予測される(2)吸い難さ、(3)吐き難さおよびアンケート結果から抽出した(4)蒸れ感、(5)ずれ感、(6)フィット感、(7)重量感、(8)圧迫感の計8項目について5段階評価で行った。被験者は18_から_20歳の女性20名である。また、一般性能については、通気性計測、厚さ計測、質量計測、形態観測を行った。本発表では、官能検査で得られた息苦しさとそれに関連する装着感およびマスクの一般性能について、そのデザインの観点から報告する。