著者
北田 晃司
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理要旨集
巻号頁・発行日
vol.2012, 2012

長崎県は、1990年代まではわが国を訪問する外国人の訪問率で上位10位以内に入っていた。2000年以降も同県を訪問する外国人観光客は数的には増加しているものの、わが国を訪問する外国人観光客の目的地としての重要性はむしろ低下傾向にある。その理由としては同県への訪問数が外国人観光客の中で最も多い韓国人観光客が近年の円高傾向によりわが国への訪問数が低下していることに加えて、他の国籍の外国人観光客についても台湾は北海道、中国はいわゆるゴールデンルート、ヨーロッパは東京、京都に加えて中部地方という具合により自らの好みに合った都道府県を訪問する傾向が強まっていることが挙げられる。特に長崎県や沖縄県などは、異国情緒を感じさせるという点では日本人観光客の高い評価を受けているものの、いわゆる日本情緒や雪景色などを求める外国人観光客からの評価はあまり高いとは言えない。しかし、その一方では近年、東アジアからの観光客を中心に、いわゆる買い物ツアーよりも、自国と日本との文化交流や日常的な食事などに対してより高い関心をもった外国人観光客も増加が見られることから、今後は長崎県に限らず、わが国の都道府県あるいは市町村は、自らの観光資源、特にその歴史的および文化的価値をあるがままに受け止め、外国人観光客に対してもより強くアピールすることが国際観光の振興に有効と言える。

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