- 著者
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澤田 学
- 出版者
- 公益社団法人 日本地理学会
- 雑誌
- 日本地理学会発表要旨集
- 巻号頁・発行日
- vol.2012, 2012
<b>1.研究目的</b> <br> 2010年7月、成田スカイアクセスの開業に伴う京成スカイライナーの高速化によって、東京都心と成田空港間は30分台で結ばれるようになった。その効果でスカイライナーの旅客は増加した。一方で、国内線中心の羽田空港と国際線中心の成田空港の間の距離が離れているために国内線/国際線相互の乗り継ぎが不便になっている。そのため、羽田空港/成田空港での乗り継ぎを避けて、乗り継ぎに便利な仁川国際空港(ソウル)に切り替える地方旅客の増加しており、両空港を取り巻く環境は決して安泰とはいえない。よって、成田スカイアクセスもそれに対応した路線となることが求められる。そこで、筆者は成田スカイアクセスをさらに活性化した路線とするための新たな案の検討を行い、それについて予想される効果について考察し、東京都心部のさらなる活性化のあり方について考えることが本研究の目的である。<br> <br><b>2.空港アクセス鉄道の現状<br><i> </i></b>東京都心と成田空港との間の空港アクセス鉄道は、JRと京成電鉄(京成本線経由、成田スカイアクセス経由)が競合している。「平成22年度成田国際空港アクセス交通実態調査(カウント調査集計表)」によると、成田スカイアクセスの開業する前後で鉄道利用比が増加している。そのうち、スカイライナーは7.7%から10.2%へと増加している。京成電鉄全体の増加数は1,886人のうちスカイライナーが1,460人の増加なので、成田スカイアクセスの開業によるスカイライナーの高速化効果が利用客の増加につながった。<br><br><b>3.筆者が提唱した案と予想される効果<br> </b>羽田空港と成田空港はアクセス時間距離が長く、国内線と国際線の乗り継ぎが不便である。地方からの乗り継ぎが仁川国際空港に流れている状況を考えると両空港の置かれている状況は厳しいと言える。そのことを踏まえて筆者は、現状で京成上野に乗り入れているスカイライナーを都営浅草線および京急線を介して羽田空港まで乗り入れる案を提唱する。提唱した理由は2点ある、1点目は、外国人に人気の観光スポットやビジネス拠点が都営浅草線沿線に集積しており、利用客増が期待できるから。2点目は、羽田空港乗り入れにより両空港間のアクセス時間距離が短縮され、両空港の需要増に期待できるから。筆者の提唱した案によって東京都心部にヒト・モノ・カネを呼び込むことができると考える。<br>