- 著者
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平田 未来
- 出版者
- 一般社団法人 日本家政学会
- 雑誌
- 一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
- 巻号頁・発行日
- vol.64, 2012
【目的】20世紀初頭、イギリスで婦人参政権運動が盛んとなった。1903年にマンチェスターでエメリン・パンクハーストによって結成された女性政治社会連合(Women’s Political Social Union:略称WPSU)では、1908年頃より衣服問題が生じた。これまでの研究では、女性史や教育史の中で婦人参政権運動の政治的な動きが注目されており、近年では消費社会と関連していたとの見解もある。本発表では、20世紀初頭のイギリスで起きた婦人参政権運動で着用された衣服の社会的文化的役割と意義を明らかにする。 <br><br>【方法】分析の中心となるのは、1907年10月にローレンス夫妻によって刊行されたWPSUの機関紙『婦人に参政権を!』(<i>Votes for Women</i>)である。また女性参政権協会全国連合の『コモン・コーズ』(<i>Common Cause</i>)と比較検討する。さらに、同時代の新聞、雑誌、自伝や現存する衣服を用い、衣服の機能や役割を検証する。研究の対象期間は、1908年から第一次世界大戦がはじまる1914年である。 <br> <br>【結果】婦人参政権論者たちは、エドワード朝時代の白いブラウスに裾の長いスカート、それにつばの広いピクチャー・ハットを取り入れ、女性らしさを保持しつつ、活動に参加していた。さらに「紫、白、緑」という「純潔、希望、それに威厳」を意味するカラーズのついたバッジ、ブローチそれにバナーズが運動の団結心を高める機能を果たしていた。これらの衣服やアイテムは、彼女たちの自立心を育て、団結心を与えると共に、婦人参政権運動への実現を果たす役割を担っていた。