著者
小池 拓矢
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2014, 2014

<b>1.</b><b> </b><b>はじめに<br></b> これまで、観光回遊行動に関する研究においては、観光地を訪れている観光者に対するアンケート調査やGPSロガーを用いた調査により、観光者がどのようなルートをたどってどこを訪れたのかについて、分析が行われてきた。これらの分析においては、主に観光施設内や観光地間での観光者の典型的な移動パターンや、距離や時間などの回遊行動を規定する要因などについて明らかにされてきた。一方、実際に観光者を誘引している個々の観光対象のもつ属性や観光対象間の関係性について、議論の対象となることは少なかった。しかし、情報入手手段や観光者の旅行形態が多様化した現代における観光行動を把握するためには、観光対象の本質的な特徴を捉えることが必要となるだろう。そこで、本研究では観光対象の特徴が観光行動にどのような影響を与えるのかを明らかにする。<br><b>2.</b><b> </b><b>研究方法<br></b> 本研究では、観光者の回遊行動を把握するための第一段階として、定期観光バスなどによるパッケージツアーにおいて、それぞれのツアーの訪問地について分析する。具体的には、「はとバス」ホームページ上のツアー検索を用いて、日帰り・宿泊のツアーがともに存在する東京発長野行きのバスツアーについて整理した。<br><b>3. </b><b>結果<br></b> 検索の結果得られた16ケースのツアーを対象に、訪問地の整理をした。まず、特徴的であったのが、観光入込客数の多い観光地である善光寺(2位)や上田城跡(8位)がすべてのツアーで訪問地になっていなかったことである(括弧内は長野県主要観光地の平成24年度観光入込客数の順位)。必ずしも観光入込客数の多い観光地を訪問地として選択しているわけではなかった。また、図1はすべての訪問地の位置を特定できた8ケースのツアーについて、最初の訪問地から最後の訪問地までの行程を直線でつないだものである。図1からは、多くのツアーが県の外縁部で行われていること、上高地にツアーの訪問地が集中していることなどがわかる。 今後は、他の地域や他の旅行会社のツアーの分析、マイカーによる個人での旅行における訪問地の分析を通して、観光行動においてそれぞれの観光対象がもつポテンシャルを明らかにする。

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