著者
能登谷 拓 小林 健一郎 奥 勇一郎 木村 圭佑
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集
巻号頁・発行日
vol.27, 2014

2013年9月,台風第18号が日本に上陸し,近畿地方においては,淀川水系の桂川や宇治川などが氾濫し,京都府,滋賀県を中心に大規模な浸水被害が生じた.日本は地形的に洪水災害が発生しやすくなっており,突発的な豪雨に備えた防災体制が必要であると考えられる.本研究は,淀川流域における将来的な大雨の影響評価を行うことを目的とし,最新のメソ気象モデルであるWRFを用いて,平成25年台風第18号による大雨の再現実験と温暖化差分を加算した海面水温を境界値とする海面水温温暖化実験を行う.本来温暖化の影響を厳密にシミュレーションするためには,気温,水蒸気量,気圧などのあらゆる諸物理量の気候変動の影響を考慮した擬似温暖化実験の手法が用いられるべきという報告がある.しかし,今回は海面水温の上昇だけを考えた海面水温温暖化実験を行うことにより,海面水温の変動がもたらす影響を定量的に評価することとした.本研究で行った実験では,海面水温を上昇させると時間降水量,積算降水量ともに大きく増加した.このことから,将来的な台風第18号を超える大雨の発生を想定し,河川計画の策定なども含めた防災体制を整える必要があると考える.

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