- 著者
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西澤 千惠子
- 出版者
- 日本調理科学会
- 雑誌
- 日本調理科学会大会研究発表要旨集
- 巻号頁・発行日
- vol.27, 2015
【目的】大分県直入郡入田村(現大分県竹田市)で大正3(1914)年8月の5日間、岡山県小田郡在住の講師を招き料理講習会が開催された。一般の人々の食の変遷に関する研究の一環として、このとき使用された冊子「和洋料理の枝折」に注目し、料理の再現を試みた。<br>【方法】冊子「和洋料理の枝折」の原文はカタカナ表記なのでひらがな表記に改め、分量も尺貫法表記からメートル法表記に換算した。記載されている全91項目のうち調理法が81項目と最も多かった。この中から材料が入手可能な料理を再現し、さらに一食献立を作成して栄養価を評価した。<br>【結果】調理法は日本調理78項目、西洋調理12項目、中国調理1項目である。日本調理が多いが、西洋調理の中には「赤ソース」、「ジャム」、「カツレツ」、「コロッケ」という記述があり、一般の人々の中にこれらの言葉が浸透しつつあることが推察された。「茄子のみそ和え」、「南瓜の丸蒸料理」、「泡雪まんじゅう」、「甘藷ようかん」、「ゼリー(砂糖と食塩で和えたポテトサラダ)」「巻きコロッケ(ロールキャベツ)」は、現在、食されている料理とよく似ていた。「豆腐にて鰻の蒲焼き」、「豆腐のかまぼこ」は模造食品がこの時代に作られていたことを示唆している。「折衷花カツレツ」は初めての料理であった。これらの料理を試食したところ、現在の若者にも受け入れられるものであった。さらに油の使用量が少ないために熱量を低く抑えられることが判明した。今後は、このような講習会の時代背景や、現在食されている料理との関係などを調べていく予定である。