著者
山本 太郎
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集
巻号頁・発行日
vol.28, 2015

日本近海で発生する多くの台風は,北海道に接近するまでに勢力が衰えたり進路がそれたりするため北海道では本州ほど台風被害は多くないが,近年H15年日高豪雨やH18年豪雨など台風による大雨被害が発生し,さらに道東方面の河川で台風が主要因の洪水が増加している状況もある.これらを踏まえこれまで北海道に接近または到達した台風の特徴として経路と降雨分布の傾向を調べた. 1961年以降2014年までの54年間に発生した台風について,北海道に接近した台風を抽出し接近するまでのルートと中心気圧の変化の傾向を整理した.北海道の接近した台風のうちほぼ6割の台風が日本海ルートで接近し,残りが本州縦断ルート,太平洋ルートから接近している.北海道に接近した台風のうち中心が北緯30度を気圧980hPa以下で越えた台風の北緯40度を越えたときの中心気圧を整理すると,1961年以降54年間の平均でみれば,北緯40度を越えた時の中心気圧は日本海ルートでは986hPaに対して太平洋ルートでは981hPaと低く,太平洋ルートで北海道に接近する台風は接近する台風の割合は少ないが中心気圧が低いままで接近することが多いことが示された. 北海道に接近した台風について北海道の通過コースを区分し,そのうち1991年以降に北海道に接近した台風から北緯40度を中心気圧980hPa以下で越えた台風を抽出し,アメダス降雨量を整理した.日本海寄りのコースを通過した台風では,函館や苫小牧,稚内など道南・道央・道北で降雨量が多いが,雨量としては80mm程度でそれほど多くなく50mmにも達しない程度の場合も多い.これに対して主に太平洋寄りのコースを通過した台風では帯広や釧路,北見など道東で総雨量100mmを超えることも複数回発生しており,近年北海道を通過した台風では道東が主に影響を受けていることがわかった.

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