- 著者
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橋立 亜矢子
- 出版者
- 日本文学協会
- 雑誌
- 日本文学 (ISSN:03869903)
- 巻号頁・発行日
- vol.61, no.9, pp.23-32, 2012
<p>本稿では能舞台で他者になりかわることを可能にしている物着や移り舞といった演技形式に着目し、分身が見られる「二人静」、両性を具有する「杜若」、松を行平に見立てる「松風」、男女の性が交錯する「井筒」の四作品を取り上げながら、男女の性の越境と虚構の性の表れ方について考察する。そして「井筒」の作者である世阿弥自身の能芸論についても併せて考えることで、虚構によって表現された「幽玄」とはいかなるものであったのか考察する。</p>