- 出版者
- 公益社団法人 日本薬学会
- 雑誌
- ファルマシア
- 巻号頁・発行日
- vol.54, no.2, pp.102-103, 2018
ミニ特集:ゲノム編集360度<br>ミニ特集にあたって:科学者でなくとも,世界中でゲノム編集がホットなことは知っているに違いない.何しろ,今までの成功確率の低かった遺伝子操作から格段に進化し,タイプライターで遺伝子配列を打ち生むように簡単になったと言われている.米国では2人のグループが特許争いを繰り広げている.かたや,映画ジュラシックパークに感動したフェン・ジャン,かたや,モデル張りの美人コンビのジェニファー・ダウドナとエマニュエル・シャルパンティエ.また,世界に負けまいとする日本の科学者の奮闘も見逃せない.ゲノム編集を活用した細胞,食物,動物の作製にとどまらず,治療への可能性も見え始めた.一方で社会的な影響は考える必要がある.本特集号では,ゲノム編集を360度楽しみ,考えていただきたい.<br>表紙の説明:『薬種抄』の人参図 人参は『神農本草経』の上品収載薬で,古来,霊薬として貴ばれた.表紙の図は,『薬種抄』の冒頭に掲載された人参の図と解説の一部.掲示品は平安時代の成蓮房兼意が撰し,保元元年(1156)に書写され,京都の醍醐寺遍智院に伝来したもの.人参の部分は中国宋代の『重広補注神農本草幷図』(1092)からの引用とされ,同書は既に失われたため,『薬種抄』の図は現存最古の人参図として貴重である.武田科学振興財団杏雨書屋所蔵.重要文化財.