- 著者
-
鈴木 啓央
- 出版者
- 一般社団法人 日本体育学会
- 雑誌
- 日本体育学会大会予稿集
- 巻号頁・発行日
- vol.68, pp.111_3, 2017
<p> 本研究では、熟達化の機序を検討するため、スノーボードにおける学習過程を事例的に分析した。スノーボードを初めて経験する学習者が指導のもとターンができるようになるまでの全過程をビデオにより撮影した。具体的には、全日本スキー連盟が認定するスノーボード指導員を指導者とし、2名の学習者に対して1名の指導者が指導にあたり、計4名の学習者について3日間のレッスンの様子が全て撮影された。これらの映像について、指導者による各学習段階における言語的な課題の説明と身体的なデモンストレーションを入力とし、また、学習者による発話と各課題に対する試行を出力とし、これらの入出力関係を定性的に記述することにより分析した。結果、各学習段階の入力に対して、出力には、課題を達成するために学習者が多様に動きを探索する局面と、その探索により獲得された動きが安定する局面が観察された。加えて、各学習段階に応じてこれらの2つの局面が繰り返される傾向がみられた。この結果から、熟達化は直線的に進行するのではなく、動きの探索に応じて運動がゆらぐ局面を経て突然に技能が上達するという階段状に熟達化が進行することが示唆された。</p>