著者
森本 拓也
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.68, pp.80_3, 2017

<p> 広島カープにおける事例研究として、近畿カープ後援会は後援会設立当初、会員にとって同郷集団的機能を果たしたが、カープ黄金期を経て同郷人的結合に拠らない結節が混在していることを高橋(2005)は明らかにしている。こうした結合には、少なからず「アンチ(巨人)」という志向も含まれていると考えられる。</p><p> 「アンチ巨人」と呼ばれる人は読売ジャイアンツを嫌い、批判するという点で結節している。そのつながりは巨人が嫌いというものであり、作田啓一が「我々体験」と呼んだ「拡大体験」をもとにした人のつながりと捉えることができる。しかし、アンチ巨人は単純な拡大体験と呼べるのであろうか。他球団のファンが巨人の強さや財力、巨人に在籍したスター選手のプレイなどの魅力に没入した時に、他方で同じく作田が述べた「自我の壁」が喪失する体験=「溶解体験」が「アンチ巨人」現象には同時にみられるのではないか。それは、溶解体験を可能とした巨人の「共視」(北山,2005)でもありうる。</p><p> 本研究では、このようなスポーツファンに現れる「アンチ」現象がもたらす社会的結合の二面性について、いくつかの事例をもとに検討することを試みてみたい。</p>

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