著者
前田 幸男 平野 浩
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.5-18, 2015

選挙制度改革の目的の一つは,政党・政策・首相候補を三位一体として選択する体制の構築にあった。その意味で,有権者が抱く首相イメージが,政党や政策との関係を軸として形成されるのか,首相個人のリーダーシップや人柄に左右されるのかは,重要な論点である。本研究では, JES - IV の自由回答を利用して,有権者が抱く首相イメージの形成およびそのイメージが内閣支持に与える影響について分析した。有権者の多くは政治報道を通じて内閣の好きな点および嫌いな点について明瞭なイメー ジを持っており,そのイメージが内閣支持・不支持を左右している。しかし,その内閣についての好きな点,嫌いな点の影響は対称ではなく,好きな点の影響が嫌いな点の影響を上回っている。さらに,好きなイメージの影響が直接的であるのに対して,嫌いなイメージの影響は政治的関心の媒介を必要とすることが明らかになった。

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