著者
西村 一朗 今井 範子 久保 妙子
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住宅総合研究財団研究年報
巻号頁・発行日
vol.16, pp.163-171, 1990

日本人が未だ住みこなしていない都市集合住宅地において生活騒音,ペット飼育等の近所迷惑の実態を明らかにし,気持ちよく住むための「住み方ルール」を明らかにするのが本研究の目的である。過去5か年(1983~87)の新聞記事を分析した結果,騒音問題が迷惑の第一位であり,次に特に最近の傾向としてペット問題が大きくなってきていることがわかった。そのためアンケート調査では,それらに1つの焦点をあてて調査し検討している。調査対象地は,大阪市の南港ポートタウンである。調査により得られた知見のいくつかは以下の通りである。(1)住み始めに挨拶まわりをする習慣はほぼ維持されており,範囲は3割ほどが「両隣と上下の住戸」,2割はどが「両隣だけ」となっている。(2)生活騒音にかかわる生活時間では,起床・就寝,楽器演奏,洗濯,入浴等の生活時間に,ばらつきがみられ特に夜更しの生活も増えている。互いに迷惑にならないよう一定の生活コントロールが必要になろう。(3)生活騒音に対する「住み方ルール化」では,特に早朝深夜の楽器演奏は「厳しく禁止」の意向が強い。(4)生活騒音を減らす重点として「居住者の自主性が肝心」との見解が過半を占める。(5)ぺット飼育は5%未満だが,実態はより多いと推定しうる。(6)ペット飼育について3割弱は禁止すべきでないとしている。(7)「住まいのしおり」は,7割ほどがもらっていて一応は目を通している人が多い。(8)「住み方ルール」のあり方として「個人個人の自主性に任せるしかない」とする意見が圧倒的に多い。 以上をもとに,項目ごとに多くの人々に受け入れ可能な「標準住み方ルール」をつくり,「住まいのしおり」の改善等を通じて普及,定着してゆくことが緊急の課題といえる。

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