著者
川田 菜穂子 平山 洋介
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住総研研究論文集 (ISSN:21878188)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.215-225, 2016 (Released:2017-08-10)

『全国消費実態調査』(1989・1994・1999・2004年)の匿名データを用いて家計における住居費負担の動向を把握し,所得格差と相対的貧困の拡大における住居費負担の影響を検討した。住居費負担率は経年に従って増加しており,とくに『公団・公社の借家』や『民営借家』に居住する世帯の負担増が顕著であった。また,住居費控除後所得を基準に貧困率を算出すると,住居費控除前所得を基準にした場合と比較して上昇した。さらに,低所得世帯を対象としたヒアリング調査の事例分析から,狭小・老朽で低廉な借家に居住せざるを得ない世帯や住宅を選好できず住居費負担が過重になる世帯の具体的な生活状況を把握した。
著者
伊藤 瑞恵 藤井 恵介 藤原 重雄
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住宅総合研究財団研究論文集 (ISSN:18802702)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.207-216, 2005 (Released:2018-01-31)

南北朝期に編纂された,青蓮院流の記録集である『門葉記』は,中世建築指図を多数含む,中世建築史上重要な史料である。青蓮院に尊円親王自筆本を主とする原本州伝来しているが,流布している図版は写本によるものであるため,原本図版による指図集を作成し,指図研究の基礎史料とする。『門葉記』修法記録のデータベースを作成し,図版整理に活用する。同じく代々青蓬院門主に伝領されてきた『吉水蔵聖教』についても,指図を抽出し,図集を作成する。『吉水蔵聖教』指図と『門葉記』指図とを比較し,両者の書写関係を明らかにすることによって,『門葉書割の指図作成過程を考察し,『門葉記』の指図の特徴を多角的に論じる。
著者
綾木 雅彦 森田 健 坪田 一男
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住総研研究論文集 (ISSN:21878188)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.85-95, 2016 (Released:2017-08-10)

生活環境内の自然光と人工照明中のブルーライト成分を試作した光センサーを使用して測定した。ブルーライトを発する光源を使用して眼の角膜上皮細胞への光毒性の培養実験を行って,眼障害の可能性と対策について考察した。ブルーライトならびにブルーライトの覚醒度への影響を検証した。新たに作成した網膜電位図記録装置により,ブルーライトに反応する内因性光感受性網膜神経節細胞の電気活性をヒトで記録することに成功し,住環境で曝露するブルーライトの生体反応の新たな検査法を開発することができた。以上の結果から,通常の視力や視野の確保以外にも眼と全身の健康に配慮した照明,遮光が使用されるべきであると結論した。
著者
滝口 良 坂本 剛 井潤 裕
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住総研研究論文集 (ISSN:21878188)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.173-184, 2017 (Released:2017-08-10)

都市定住のなかで遊牧の住文化が継承されているウランバートルの周辺居住区(ゲル地区)において住居と住民の生活史の調査を実施し,当該地区固有の住文化について検討した。ゲル地区の住文化として(1)ハシャーという居住ユニット,(2)移動式ゲルとセルフビルド住宅,(3)割り込み居住といった要素が明らかになり,家庭環境の変化に応じた家屋の増改築や共同居住,移動を行う柔軟な住文化が浮かび上がった。さらにアンケート調査の結果,上記の住文化の要素がゲル地区の近隣関係や地域改善に向けた住民の意図に影響を与えることが明らかとなり,現行のゲル地区のコミュニティ開発にあたり地域固有の住文化を考慮する必要性が示唆された。
著者
花里 俊廣 佐々木 誠 温井 達也
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住総研研究論文集 (ISSN:21878188)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.89-100, 2012 (Released:2017-08-10)

本稿は,別荘地「普賢山落」の人間関係の豊かなコミュニティの形成に関して,1)別荘の所有者に「ものづくり」志向を持った人が多くおりコミュニティとして成立しやすかったこと,2)コミュニティの運営方法のルールやイベント等に特徴がみられたこと,3)別荘地特有の現象として滞在の時期が重なっていること,4)いくつかの出来事や事件などが偶然にコミュニティ形成にプラスに働いたこと,5)最小限で開放的な別荘建築がコミュニティ形成に好影響を与えたこと,という5点に基づき議論し,また,写真等で別荘建築について紹介するものである。
著者
池上 重康 木方 十根 砂本 文彦 鈴木 貴仁
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住総研研究論文集 (ISSN:21878188)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.53-64, 2012 (Released:2017-08-10)

路面電車郊外とは,19世紀末に米国で展開した路面電車沿線に開発された郊外住宅地のことを指す。日本の地方都市における路面電車郊外像を探るべく,10の事例報告を通して類型化し,郊外住宅地の概念にどう位置づけられるか考察した。人口変動に伴う宅地化圧力と都市計画の実施状況を軸に以下の類型を見出した。人ロポテンシャルの高い都市では典型的な路面電車郊外が形成されたが,それ以外の都市では土地区画整理を計画したが連続的な宅地形成には至らず,都市計画事業を実現できず宅地化の萌芽に留まる例もあった。日本の路面電車郊外は自発性を含み,理念先行ではなく都市のポテンシャルに即して形成された郊外住宅地であると位置づけられる。
著者
湯川 利和 瀬渡 章子 塘 なお美 糸賀 万記
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住宅建築研究所報 (ISSN:02865947)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.219-230, 1986

本研究の目的は,主に高層住宅の環境が子どもの発達と活動を阻害しないための空間的条件を明らかにすることである。今回は,子どもの生活時間,子ども部屋の実態を明らかにするとともに,高層住宅環境が心身に及ぼす影響についても分析を行った。そのためのアンケート調査を,幼児母親・小学生とその母親を対象に,大阪・南港ポートタウン内の高層住宅団地で実施した(1985年8~9月,サンプル総数525)。生活時間の中でとくに注目されたのは,テレビ視聴時間が幼児から小学校高学年までほとんど変化がないことであった。階別の生活時間分析では,幼児では上層階の方が屋内での活動時間が長く,屋外遊びは少ない-すなわち住環境の影響を受けていることが明らかとなったが,小学生では一貫した傾向はつかめなかった。NHK調査との生活時間比較を行ったが,高層住宅であるために活動が阻害されている傾向は見出せなかった。子ども部屋の保有率は高い。共用室が多いものの,学年上昇にともない個室率も上がる。また子ども自身,母親ともに個室要求が強い。しかし母親は,最初から個室というのではなく,年齢に応じた与え方が必要と考えていることがわかった。高層住宅環境が子どもの心身に与える影響については,不定愁訴と性格特性を分析する方法をとった。小学生でも不定愁訴を訴える割合は高い。不定愁訴を多く訴えるのは,屋外遊びが少なく,母親によく叱られる子どもであった。これらの要因は居住階の影響も受けており,不定愁訴が少なからず住環境の影響を受けていることが明らかとなった。性格特性の分析でも,情緒安定性・社会的適応性・活動性・外向性の4因子について,住環境の直接的,間接的影響を見出すことができた。
著者
多治見 左近 三浦 要一
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住宅総合研究財団研究年報 (ISSN:09161864)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.219-230, 2001

本研究は大阪都市圏を対象とし,明治期以降の住宅地形成過程を巨視的・構造的に明らかにすることを目的としている。都市発展の指標として1905~1930年の人口統計を用い,大阪市,東大阪,阪神間臨海・内陸が住宅地形成上典型的地域であることを確認し,これら地域が職業や職住関係の独特の性質をもつことを明らかにした。また宅地開発が活発な地域で農業事情を背景として地主が開発に果たした役割を明らかにした。さらに明治末期大阪近郊の土地所有を記録する『大阪地籍地図』の分析から宅地化の方面別相違を把握し,土地所有形態について江戸期新田開発の系譜をひく地主の存在や耕地整理,スプロールなどの開発への影響を明らかにした。
著者
葛西 リサ 上野 勝代
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住総研研究論文集 (ISSN:21878188)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.35-46, 2014 (Released:2017-08-10)

本調査では,地域生活移行後のDV 被害者の生活課題を明らかにし,被害者向けアフターケアの先駆事例を取り上げ,その内容,運営課題やその可能性について整理した。具体的には,1)被害者の多くは貧困問題,暴力の後遺症による精神問題を抱えながらも,人的ネットワークを喪失し,地域から孤立する傾向が高いこと,2)多くの民間団体が経済的な保障がない中で被害者のアフターケアを実施している実態があること,3)被害者へのアフターケア構築の可能性として,県独自で被害者のアフターケアを展開する長崎県の事例及び障害者総合支援法の枠組みを使った被害者のアフターフォローの実践について提示した。
著者
奈良岡 聰智 小川原 正道 川田 敬一 土田 宏成 梶原 克彦 水野 京子
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住総研研究論文集 (ISSN:21878188)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.189-200, 2013

本研究は,各国の駐日大使館の立地,建築様式,およびその機能について解明することを目的としたものである,駐日大使館については研究の蓄積が浅いため,まずは建築史料,外交文書など,一次的史料やデータを収集することを通して,今後の大使館研究の基盤を構築することを目指した。また,それらの史料情報を得るにあたって,旧華族への聞き取り調査を行った。特に研究対象としたのは,重要な外交上のパートナーであったアメリカ,フランス,およびベルギーの3国である。本研究を通じて,大使館が両国の外交関係を「象徴」する存在として,重要な機能と特徴的な建築を有していたことが確認された。
著者
寺内 信 西島 芳子 佐藤 圭二 鈴木 浩 安田 孝 和田 康由 馬場 昌子 バージェス グレイム
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住宅総合研究財団研究年報
巻号頁・発行日
vol.25, pp.37-48, 1999

近代産業都市の発展は,19世紀イギリスにおいても20世紀の日本においても,商業業務を主とする都心部の成立と,その周辺における工業地域と高密度居住地域の形成をもたらした。イギリスでは19世紀の初めからの都市への人口集中は都心周辺部での高密度テラスハウス(バックツウバックあるいはバイロウハウス)によって吸収され,日本の大阪では20世紀初期からの人口集中は長屋や町屋によって吸収されたのである。その結果としての都市形成と都心周辺部の居住様式には,約100年の時期的差異があるにもかかわらず,共通するところが多いことが明らかになった。このような高密度居住による衛生問題を主とする住宅問題・都市計画問題に対して,イギリスではリバプールをはじめとする条例制定や,それを支援する中央政府の公衆衛生法の制定によって改善が進められた。しかし,日本では1900年頃までの上水道普及の進展もあって,建築・都市計画法制からは衛生問題が抜け落ちている。 大阪,リパプール,バーミンガムを主とする本研究では日英比較による都心住宅地形成と更新・保存の制度化の差異の要因として,1)都市自治体の主体性の強弱,2)防火建築材料などの社会的合意形成の時期,3)建築産業の近代化,4)地域住宅産業の育成,5)住宅改善・居住地更新の総合性,6)近隣関係重視の居住地更新政策,などにあることを仮説として明らかにした。この結果を背景に,これからの都心周辺部居住地更新においては,居住者の近隣関係を重視した参加と支援による計画・事業制度の整備と推進が重要と考えている。
著者
平井 ゆか 内田 祥哉
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住総研研究論文集 (ISSN:09161864)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.263-274, 2001

本研究は,日本の伝統的な床材である畳と,畳を支える各種のシステムの開発と普及について,文献資料を広く収集し全貌を明らかにする事を目的としている。古代における畳の開発について,現存する最古の畳を区切りとして日本の独自性を記録から検証し,中世以後については形状の変化や床材としての成立を絵巻を中心に探り,畳の普及を日光社参史料をもとに検証している。畳職人の出現を記録から,畳屋の地方への広まりを地名から検証し,メンテナンスシステムの開発と普及を明らかにしている。一方,畳職人の育成システムについては職業訓練校の歴史等を探り,畳の生産・供給システムについては産地や問屋等の現地調査・資料収集を行っている。
著者
田中 淡 周 達生 宮本 長二郎 上野 邦一 浅川 滋男 郭 湖生 楊 昌鳴
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住宅総合研究財団研究年報 (ISSN:09161864)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.223-239, 1990 (Released:2018-05-01)

東アジアから東南アジアにかけて集中的に分布する高床住居は,主として近年の発掘成果により,新石器時代の華南にその起源を求められつつある。そして,最近の研究によれば,先奏時代の華南に蟠踞した百越という1群の南方系諸民族が,初期における高床住居の担い手であった。本研究の対象となる貴州のトン族は,この百越の一地方集団であった駱越の末裔と考えられている。たしかにトン族は,雲南のタイ族や海南島のリー族とともに,高床住居を保有する代表的な民族であるが,これまでその高床住居に関する研究はほとんどされていない。したがって,百越の末裔たるトン族の高床住居を研究対象にすること自体に大きな意味があるといえるだろう。しかし,問題はそれだけではない。調査対象地である黔東南苗族とう族自治州には,トン族以外にもミャオ族,プイ族,スイ族,漢族など多数の民族が居住しているからだ。われわれの研究がめざすもう1つの目標は,このような多民族地域における文化の重層性と固有性を,住居という物質文化を媒介にして解明することである。これは,文化人類学における「文化の受容とエスニシティの維持」というテーマに直結する,重要な問題といえるだろう。今年度の調査は,次年度以降,継続的になされるであろう集中的な調査の予備的役割を担うものであり,自治州を広域的に踏査し,できうるかぎり多くの家屋を観察・実測することに主眼をおいた。その結果,トン族,ミヤオ族,プイ族,漢族の家屋を,合わせて50棟実測することができた。本稿では,以上の諸例を民族別・類型別に報告するとともに,民族相互の比較から,平面と架構について,トン族本来の形式と漢文化受容以後の形式の差異を論じ,また住居に現れた「漢化」の諸側面についても指摘している。来年度以隆は,調査対象を1か所に限定し,住み込みによる集中的な調査を行なう予想である。
著者
田中 淡 周 達生 宮本 長二郎 上野 邦一 浅川 滋男 島田 敏男 羅 徳啓 黄 才貴 郭 湖生 楊 昌鳴
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住宅総合研究財団研究年報 (ISSN:09161864)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.405-420, 1992 (Released:2018-05-01)

88年度に行なった貴州省黔東南苗族トン族自治州での広域的な調査をふまえ,90年度には対象村落を1か所に限定して,トン族の集落に関する集中的調査を行なった。(天安門事件の影響で調査・研究のプログラムが丸1年延期された)。調査地は,第2次調査で最も斬新な知見をもたらした巨洞と同じ都柳江沿岸に位置する蘇洞上寨(住居散35・世帯数44・人口218)である。蘇洞は,従江県下江区の中心地である下江鎮に近接するため,巨洞などの僻地集落に比べるといくぶん漢化の様相が著しい。しかし,漢化もまた,トン族の文化を理解するうえでの重要なキーワードである。調査は建築班2班と民族学班1班に分かれ,建築班は集落内の主要家屋全戸の平面・断面の実測,民族学班は全世帯の家族構成・血縁および婚姻関係の把握を最低のノルマとし,余裕ができた段階で,村大工からの聞き取り,部材呼称の音声表記,通過儀礼・祭祀・禁忌に関する聞き取り,スケッチ・マップ調査などを相互協力のもとに進めた。本稿では,とくに龍脈に統制された集落の空間構造と,住居の平面・構造に映し出された漢化の様相に焦点をしぼって,蘇洞の住空間を素描してみた。
著者
冨井 正憲 鈴木 信弘 渋谷 猛 川端 貢
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住宅総合研究財団研究年報 (ISSN:09161864)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.125-134, 1989 (Released:2018-05-01)

本研究は,かつて日本の統治下にあった朝鮮半島に建てられた朝鮮住宅営団の住宅がどのようなものであったのか,またそれらの住宅がその後韓国人の住み手によってどのような変容を遂げたかを,史的文献調査と実測調査によって明らかにし,①朝鮮住宅営団の慨要,②朝鮮半島と日本内地の旧営団住宅の比較考察,③旧営団住宅の変容過程の分析,の3つの枠組みをもって住まいの持つ特性を明らかにすることを目的としている。第1章では朝鮮住宅営団の概要を,第2章では現在の旧営団住宅の現存状況,上道洞営団住宅地及び住宅の現況を,文献・現地調査・実測・写真撮影等により明らかにし,伴せて旧営団住宅地の復元を試み住宅の現在の平面図を図化するなど,分析・考察の資料を調えている。また,文献資料より朝鮮住宅営団が建設した住宅には甲・乙・丙・丁・茂の5種の標準設計があったことをつきとめている。そしてソウル上道洞に現存する営団住宅の実態調査の分析とあわせて,その建設当時の営団標準住宅を復元している。第3章では,日本住宅営団・同潤会の標準設計と,朝鮮住宅営団の住宅を比較考察し,オンドルや二重窓その他の気候風土に対する改良が試みられている部分と,外観や平面構成などの日本内地の住様式が踏襲されている部分があり,日本人の気候風土に対する対応のしかたを明らかにしている。そして,それが戦後韓国人によって住まわれてどのような部分が変容し,どのような部分が存続しているかを明らかにし,日本時代に建てた住宅が韓国人の住み手によって韓国の居間中心型の伝統様式に改められてゆく傾向があることを指摘している。
著者
中島 伸 田中 暁子 初田 香成
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住総研研究論文集 (ISSN:21878188)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.181-192, 2015 (Released:2017-08-10)

本研究は,城南住宅組合を対象に組合活動を通時的に分析し,住環境を下支えしてきた土地所有の状況など明らかにすることで,住環境の形成・維持へとつながる住民主体のまちづくりへの知見を得ることである。組合の活動記録の一次史料と土地所有形態の変遷を調べることで,理想的田園生活を目指した城南住宅組合は当初こそ別荘利用の形態で住宅地化が進まなかったものの,戦中,戦後より住宅地として居住実態が伴ってくると,当初より定めた規約による各住宅地での環境整備が進んだ。共同借地経営の住宅組合という組織ではあるが,土地所有など前提となる経営基盤が大きく変化する中で,住環境維持を目標にしつつも,居住者のコミュニティ活動を相互補完的に行う中で,組織活動を継続してきていることがわかった。