- 著者
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嘉名 光市
- 出版者
- 公益社団法人 日本都市計画学会
- 雑誌
- 都市計画論文集 (ISSN:09160647)
- 巻号頁・発行日
- vol.40, pp.637-642, 2005
- 被引用文献数
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本研究では、我が国における駅前景観形成の草創期である戦前期大阪における大阪駅付近都市計画事業およびそれに関連する都市計画の立案の変遷から、駅前の整備にあたって目指した都市美観形成の方向性を明らかにすることを目的とする。戦前期大阪駅前周辺の美観形成の方向性は、当初は関係者の協議・調整によって大阪駅前整理計画協議会成案が検討され、大阪駅前や御堂筋などの大阪の玄関口をなす場所の美観形成には、街路整備に加え周辺の建築敷地造成が重要であるとの考え方が示された。さらに、大阪駅前整理工事に関する建議案などのように、美観形成の観点から大規模かつ整形の建築敷地造成が重要で、その実現手法として超過収用が期待されていた。一方、大阪市のシビックセンター計畫理想案懸賞により、欧米都市の美観形成に倣った一団街区の形成やビスタ、アイストップなどの街並美観が提案された。その後、大阪駅前付近都市計画事業変更、大阪駅前第2土地区画整理追加により、それまでの大阪駅頭、御堂筋沿道の美観形成と一団の街区の美観形成という考え方がみられ、美観地区追加指定では、詳細に区分した地区として位置づけ発展していった。