著者
西尾 和人 冨樫 庸介 坂井 和子
出版者
特定非営利活動法人 日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.733-738, 2017
被引用文献数
1

<p>血中循環腫瘍細胞,血中遊離DNA,エクソソームなどの,主に血液由来の液性検体はリキッドバイオプシーと総称される.これらを用いた,腫瘍由来DNAの分子異常の検出は,低侵襲であり複数回の実施が可能であるため,治療選択,モニタリング,proof of conceptのために期待される.デジタルPCR,次世代シーケンサーの登場により,高感度,マルチ解析が可能となり,実用化が近づいた.また低頻度変異アレル検出のための技術革新が進行中である.血中遊離DNAは,遺伝子導入,免疫への作用などの生物学的な働きも明らかになりつつあり,これらの知見は癌治療への応用へとつながる.肺癌領域では,血漿サンプルによる<i>EGFR</i>遺伝子変異検査が追加承認され,実用化された.リキッドバイオプシーは,腫瘍不均一性によるバイアスを克服する手段として期待される.今後はリキッドバイオプシーを用いたモニタリングにより,adaptive treatmentへのパラダイムシフトが訪れる.</p>

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