著者
坂井 和子 西尾 和人 西尾 誠人 Sakai Kazuko Nishio Kazuto Nishio Makoto
出版者
近畿大学
雑誌
科学研究費助成事業研究成果報告書 (2018)
巻号頁・発行日
pp.1-4, 2019

研究成果の概要(和文):本研究では血中からの融合遺伝子検出としてエキソソームを用いたALK融合遺伝子検出を試みた。ヒト由来肺癌細胞株をヌードマウス皮下移植したモデルを用い、次世代シークエンサーによる融合遺伝子検出の条件検討を行った。その後肺癌患者血漿からエキソソーム単離およびRNA抽出を行ない、PCR増幅によるEML4-ALK検出を試みたが検出が困難であった。そこで、遺伝子変異が既知である患者の血中循環無細胞DNA(cfDNA)を用いて検出可能性を検討した。6例のALK融合遺伝子陽性肺がん患者血漿からcfDNAを抽出し、キャプチャー法を用いて検出を試みた結果、1例でEML4-ALK融合遺伝子の検出が認められた。研究成果の概要(英文):We tried to detect EML4-ALK fusion gene in plasma-derived exosomal RNA derived from non-small cell lung cancer patients. We established a PCR-based assay to detect ALK fusion transcripts and tried to detect ALK fusion transcripts in exosomal RNA of the xenograft model bearing human lung cancer cell lines. However we failed to detect the fusion transcripts in exosomal RNA. Next, we tried to detect ALK fusion genes in circulating free DNA (cfDNA) obtained from plasma of non-small cell lung cancer patients. EML4-ALK fusion genes could be detected in one of 6 cases using CAPP-seq technology.
著者
篠崎 昌子 川崎 葉子 猪野 民子 坂井 和子 高橋 摩理 向井 美惠
出版者
一般社団法人 日本摂食嚥下リハビリテーション学会
雑誌
日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌 (ISSN:13438441)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.52-59, 2007-04-30 (Released:2021-01-16)
参考文献数
9

3歳から6歳の自閉症スペクトラム幼児(ASD児)123名と保育園に在籍する定型発達幼児(一般児)131名の保護者に対し,食材(品)8種類46品目の摂食状況についてのアンケート調査を実施し,比較検討し以下の結果を得た.(1)ASD児では「絶対食べない」食材(品)がある人数およびその食材(品)の数は一般児に比べ有意に多かった.21個以上と多数の品目を絶対食べない児が,いずれの年齢でも10%前後存在した.ASD児が絶対食べない理由として,外観を挙げることが多かったが,一般児では食べない理由は様々であった.ASD児の知能障害の有無と,絶対食べない食材(品)数との間には統計的な有意差はなかった.(2)ASD児ではしばしばそれまで食べていた食材(品)を食べなくなることや,食べなかったが食べるようになると言ったエピソードがあり,食べなくなるエピソードは60%,食べるようになるエピソードは53%といずれも半数以上に見られた.一般児ではそれぞれ14%,11%で,両者には有意差があった.知能障害の有無との関係では,食べなくなるエピソードが,有意差をもって遅滞群で多く見られた.(3)いわゆる偏食があっても,時期を待つことで自然軽快する可能性が大きいという結果は,療育上重要である.
著者
篠崎 昌子 川崎 葉子 猪野 民子 坂井 和子 高橋 摩理 向井 美惠
出版者
一般社団法人 日本摂食嚥下リハビリテーション学会
雑誌
日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌 (ISSN:13438441)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.42-51, 2007-04-30 (Released:2021-01-16)
参考文献数
10

3歳から6歳の自閉症スペクトラム幼児(以下ASD児)123名と,保育園に在籍する定型発達幼児(以下一般児)131名の保護者に対し,食べ方の問題を「食事環境に関するもの」と,「食物処理に関するもの」に大別しアンケート調査を実施,年齢ごとに比較検討し,以下の結果を得た.(1)食事環境に関して6項目について調査した.3歳で60%近くのASD児に何らかの問題があり,4,5歳でやや増加し,6歳でも半数以上に問題がみられた.「じっと座っていられない」は年齢に関係なく半数以上にみられた.「いつもと違う場所だと食べない」,「いつもと違う人がいると食べない」,「食器が違うと食べない」3項目は療育により軽快する可能性があると考えられた.しかし「自宅あるいは通園でしか食べない」,「決まった時間に食べられない」ことは短期間では軽快しないと考えられた.(2)食物処理に関して7項目について調査した.年齢を問わず70から80%のASD児に問題がみられた.「スプーンやフォークがうまく使えない」がもっとも多く,一般児では皆無となる5,6歳以降も存続した.「口にいっぱい詰め込んでしまう」は年齢による減少はなく,「噛まずに飲み込む」,「口にためて飲み込まない」は年齢があがると却って増加しており,短期間では軽快しないと考えられた.「水分ばかり摂る」,「一度飲み込んだものを口に戻す」については,さらに検討が必要と考えられた.(3)知的能力との関連について知能障害がASD児の問題の発現に関係している可能性が考えられたのは,現段階では「食具がうまく使えない」の1項目であった.
著者
白石 直樹 木村 竜一朗 森 樹史 澤田 貴宏 清水 重喜 坂井 和子 西尾 和人 伊藤 彰彦
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.551-559, 2021-07-25 (Released:2021-07-28)
参考文献数
15

近年,分子標的薬の開発が急速に進み,特に原発性肺癌においてはコンパニオン診断として保険収載が多くの分子標的薬で行われている。近畿大学では2017年6月に肺癌に特化したコンパニオン検査を行うゲノムセンターを近畿大学医学部内に設置し,PD-L1(22C3),ALK(IHC),ALK(FISH),EGFR検査の受注を開始した。ゲノムセンターは2年の稼働期間に517件の検体を受け付け,検査を行った。充分量の悪性腫瘍が検出され,検査が実施できた割合は365件/517件(70.6%)であった。検査種ごとの検査数はEGFR検査が81件(稼働期間7カ月),PD-L1(22C3)は350件(稼働期間2年),ALK(IHC)は278件,ALK(FISH)は237件であった。病理部にてホルマリン固定検体を受け付けてから,検査結果を臨床に返却した日数の平均は11.8日(土日祝日を含む)であった。EGFR検査に限っては7.73日(土日祝日を含む)であった。外注検査と比較して十分に短いturnaround timeが得られた。今回,病院内で次世代シーケンサーを用いた遺伝子検査を行う新部署を新設したため,ゲノムセンターは2年間の上記検査の受注業務を終了した。自施設での検査を導入する際に起こり得る問題を提示しながら,これらの取り組みによりわかった自施設で検査を行うメリット,デメリットを報告する。
著者
西尾 和人 冨樫 庸介 坂井 和子
出版者
特定非営利活動法人 日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.733-738, 2017-10-20 (Released:2017-11-03)
参考文献数
28
被引用文献数
1

血中循環腫瘍細胞,血中遊離DNA,エクソソームなどの,主に血液由来の液性検体はリキッドバイオプシーと総称される.これらを用いた,腫瘍由来DNAの分子異常の検出は,低侵襲であり複数回の実施が可能であるため,治療選択,モニタリング,proof of conceptのために期待される.デジタルPCR,次世代シーケンサーの登場により,高感度,マルチ解析が可能となり,実用化が近づいた.また低頻度変異アレル検出のための技術革新が進行中である.血中遊離DNAは,遺伝子導入,免疫への作用などの生物学的な働きも明らかになりつつあり,これらの知見は癌治療への応用へとつながる.肺癌領域では,血漿サンプルによるEGFR遺伝子変異検査が追加承認され,実用化された.リキッドバイオプシーは,腫瘍不均一性によるバイアスを克服する手段として期待される.今後はリキッドバイオプシーを用いたモニタリングにより,adaptive treatmentへのパラダイムシフトが訪れる.
著者
西尾 和人 冨樫 庸介 坂井 和子
出版者
特定非営利活動法人 日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.733-738, 2017
被引用文献数
1

<p>血中循環腫瘍細胞,血中遊離DNA,エクソソームなどの,主に血液由来の液性検体はリキッドバイオプシーと総称される.これらを用いた,腫瘍由来DNAの分子異常の検出は,低侵襲であり複数回の実施が可能であるため,治療選択,モニタリング,proof of conceptのために期待される.デジタルPCR,次世代シーケンサーの登場により,高感度,マルチ解析が可能となり,実用化が近づいた.また低頻度変異アレル検出のための技術革新が進行中である.血中遊離DNAは,遺伝子導入,免疫への作用などの生物学的な働きも明らかになりつつあり,これらの知見は癌治療への応用へとつながる.肺癌領域では,血漿サンプルによる<i>EGFR</i>遺伝子変異検査が追加承認され,実用化された.リキッドバイオプシーは,腫瘍不均一性によるバイアスを克服する手段として期待される.今後はリキッドバイオプシーを用いたモニタリングにより,adaptive treatmentへのパラダイムシフトが訪れる.</p>