著者
河村 和徳
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.43-56, 2013

未曾有の大災害である東日本大震災によって,被災地自治体は深刻なマンパワー不足に陥った。選挙管理も例外ではなく,2011年4月に被災地で予定されていた統一地方選挙は延期を余儀なくされ,福島県知事選・県議選は2011年9月に,宮城県及び福島県の県議選は同年11月に延期された。本稿では,これまであまり関心を向けられなかった選挙管理者に着目し,2011年秋の地方選挙及び2012年の年末に行われた衆議院選挙を,「マンパワー不足」をキーワードに論じていく。そして,被災地における2011秋の地方選挙は多くの被災地外からの応援によって乗り切れたこと,2012年の年末に行われた衆議院選挙では被災だけではなく労働者派遣法の改正もマンパワー不足の要因となったこと等を指摘する。なお,本稿は,被災地で起こっている状況について幅広く情報を共有することを目的としており,仮説検証型のスタイルは採らない。

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