著者
島田 美紀代 山田 舞子 岩野 ミカ
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集
巻号頁・発行日
vol.60, pp.380, 2011

〈はじめに〉当院では、併設する訪問看護ステーションにおいて、理学・作業療法士による在宅リハを実施している。今回、脳血管障害者に対するアプローチを作業療法士の視点から紹介し、訪問看護ステーションにおける作業療法士の役割について若干の考察を交え報告する。〈対象〉脳血管障害(小脳レベル)。女性。発症後、当院リハで訓練・指導を経て約4ヵ月後に退院。退院1週間後訪問リハ開始。開始当初、主婦業がやりたい気持ちはあるが、失調症状によりふらつきや頭の重さの訴えが強く、横になることが多かった。〈経過〉まず、機能的評価やADL評価を行いつつ本人の不満や不安を傾聴したところ、生活動線が健常時のままである事・過度な緊張が入る事がADLの狭小につながっていた。環境設定を中心にアプローチし、横になることは少なくなったが、外に出る機会が激減していたせいもあり、体重が増加傾向をたどった。内から外への足がかりとして日課表を作成し、1日の生活パターンを図式化した。また、訪問看護師の助言より、定期的に体重測定を行った。このように客観的なデータを表示することで、自ら生活を見つめ直すきっかけになった。その後、家庭での役割や活動を意識した評価を行い、機能面ばかりではなく、その人らしく主体的に活動ができるよう援助を行った。〈考察〉作業療法は「活動」を扱う。「活動」とは人間が生きる上で必要な「作業」のことで、手芸等の「作業」ばかりではない。障害と共生しながらその人らしい生活を営むために、心身の時系的変化をくみ取りつつ「活動」を行える身体・環境づくりを行う必要がある。退院し「在宅復帰」という目標を達成した利用者が次に何を目標にし、どう人生を再構築していけばよいのか、「活動」を扱う者として「導き」の必要を感じた。又、訪問看護は特に他職種との連携が必須である。問題を共有しつつ、それぞれの立場の意見交換する重要性も感じた。

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