著者
山本 正治
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.795-803, 1996-03-30 (Released:2011-08-11)
参考文献数
15

Geographical distribution of standardized mortality ratio (SMR) for biliary tract cancer (BTC) showed a characteristic clustering pattern; high in the northeastern regions and low in the southwestern regions of Japan. Among the 47 prefectures (corresponding to counties in the U. S.) with high SMRs, Niigata Prefecture has been the highest in both sexes for the last two decades. It was found that the cities, towns and villages in Niigata where the mortalities from BTC were high were correspondent with rice producing areas.In addition, it was revealed that the sources of tap water in the cities with high SMRs in Niigata were commonly big rivers, whereas in those with low SMRs they were either reservoirs located in the mountains, underground water or small river originating from the mountains. Based on these findings, the contamination of tap water by agricultural chemicals form paddy fields was suspected as a cause of the high mortality from BTC. Among several chemicals examined, diphenylether herbicide, chlornitrofen (CNP) and its derivative (CNP-amino) were detected high in tap water in the cities with higher SMRs and they seem to be related to the occurrence of BTC, particularly of female gallbladder cancer.
著者
小泉 雄一郎
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.74-79, 1995-07-30 (Released:2011-08-11)
参考文献数
8

膀胱異物のうち, 自慰目的のもののみを取り上げると, それは20代に多く, かつ青年, 子女に関する限りそれは農村部居住者に多いと考えていた。1994年の第43回日本農村医学会総会にその実態を発表しようと資料を纏めていた所, その裏付けがとれたので日本農村医学会総会に発表し, かつ本誌に記述した。期間は1978年よりの16年間で, 年齢は自験最少の13歳より一応25歳までとした。この間の膀胱異物総数は56例。うち自慰目的と考えられたものが34例。さらにこの年代に該当するものが14例であった。このうち都市部居住者が4例, 残り10例が農家在住を主とした農村部居住者であった。年齢を25歳までに区切ったのは独身者として観察したいと考えたからである。男子6, 女子4であるが, セクハラや, いじめ的なもの, 更には正確には膀胱尿道異物例も含んでいる。物品は模型用リード線, 体温計, スピン及びピストル弾丸, ビニールチューブ, 結石のついたヘアピン, クリップ, ポリエチレン管, 台所用サランラップ, 部品としてのポリエチレン管, 鉛筆であり, 異物膀胱鏡を中心とした治療で別出した。農村部の負の生活部分の一層の陽性化が必要と考えたが最近本症はややへり気味である。なおポリエチレン管の男子例ではオリーブ油と水を膀胱へ計300cc, 注入した所, 自然排出をみたのでおりがあったら, 追試して頂きたい。文献的にも考察して述べた。
著者
永美 大志
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.683-692, 2014 (Released:2015-03-10)
参考文献数
31

近年, 遺伝子に関する検査技術の発達は目を見張るものがあり, 農薬の人体への慢性影響についても, 化学物質の代謝と細胞膜の通過を司る遺伝子の多型性との関係を研究した報告が増加している。このあたりを中心に文献的考察を行なった。 発癌に関する研究では, 様々な農薬曝露指標と遺伝子多型との間に交互作用を認めていた。胆嚢癌, 前立腺癌, 腎癌, 乳癌, 膀胱癌, 小児白血病, 小児脳腫瘍などの多様な発癌が対象となっていた。農薬曝露指標としては, 血清DDTレベル, マラチオン, DDVPなどの農業使用, 職業歴, 小児期の殺虫剤曝露, 出生前殺虫剤曝露などについて関係が認められていた。遺伝子多型としては, シトクロムP450, グルタチオン-S-転移酵素, P糖タンパク質, フラビン含有モノオキシゲナーゼ, キノンオキシドレダクターゼなどについて関係が認められていた。 パーキンソン病についても, 農薬曝露と, パラオキソナーゼ, ドーパミントランスポーター多型との交互作用を認める報告があった。 出生障害と小児発達についても, ①有機塩素農薬曝露とシトクロムP450の多型と早産, ②有機リン曝露とパラオキソナーゼ多型と出生頭囲の低下または小児発達の遅延, など関係を認める報告があった。 化学物質過敏症についても, いくつかの遺伝子多型との関係を認める報告があった。農薬曝露との交互作用を含めて, 疫学的に検討が進められることが望まれる。

10 0 0 0 OA 農村の母子衛生

著者
飯島 貞司
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.985-1004, 1982-03-20 (Released:2011-08-11)
参考文献数
39

The purpose of this paper is to investigate the situation of maternal and child health for thirty years from 1952 to 1981.I have reported the changes of natural features, communities, living conditions, labor technology, and structure of population in farming villages, and the twelve subjects such as 1) superstition, 2) artificial abortion, 3) birth control, 4) labor in menstrual period, 5) signs of physical fatigue of pregnant women, 6) birth and child nursing, 7) pesticide poisoning, 8) abortion due to use of small type cultivators, 9) unbalanced diets, 10) lumbosacral pain, 11) influence of rural environments and 12) decrease of farm population.Mechanization in agriculture, urbanization of rural life, and stagflation have been proceeding, therefore farmers' wives have to work with might and main to earn agricultural and non-agricultural income.By my opinion the socioeconomic policies are essential in the rural areas to ensure an early and strong recovery, to increase of farmhouseholds income, and to secure an ample national budget for the development of health services.
著者
大谷 清孝 松本 典子 藤本 まゆ 稲垣 瞳 横関 祐一郎 橘田 一輝 開田 美保 狐﨑 雅子 中村 信也 横田 行史
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.798-807, 2016-01-30 (Released:2016-03-16)
参考文献数
18

本邦では同時接種の有害事象および安全性に関する報告が散見されるが, 乳児期のみの検討は不十分である。そこで, 乳児に対する不活化ワクチンの同時接種の有害事象を解明するために検討した。2012年7月から2013年6月の期間において, 不活化ワクチンの皮下接種を施行した生後2か月以上の乳児を対象とした。その対象の保護者に対して, 調査票を配布し, 接種後1週間の有害事象の有無を調査した。対象を接種本数から単独接種群と同時接種群に群分けした。主要検討項目として, 入院を要する重篤な有害事象の有無とし, その他の検討項目として接種児背景, 全身症状と局所症状の有害事象の有無を比較検討した。対象は合計66名, のべ162回であった。調査票の有効回答率は91% (88/97) であり, うち単独接種群は46名で, 同時接種群は42名であった。同時接種の内訳はインフルエンザ菌b型ワクチン (Hib) +7価肺炎球菌結合型ワクチン (PCV7) が14名 (32%) で最も多く, 次いでHib+PCV7+三種混合ワクチンが12名 (27%) であった。全例で入院を要する重篤な全身症状の有害事象は認めなかった。熱型推移では, 単独接種群と比較して同時接種群の方が接種後2日目の体温が有意に高かった (p=0.049)。その他の全身症状および局所症状では, 両群間において有意な差を認めなかった。乳児への不活化ワクチンの同時接種において, 接種2日目に発熱を認めることが有意に多いが, 入院を要する重篤な全身症状の有害事象を認めなかった。
著者
荻原 毅 上原 信吾 佐々木 宏子 菊池 重忠 佐藤 アイコ 高見沢 将 井出 晴子 中田 未和子 畠山 敏雄
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.73-78, 2009-07-30 (Released:2009-09-18)
参考文献数
16

当院脳ドックでは検査項目のひとつである頸動脈超音波検査のときに,同時に甲状腺の超音波スクリーニングを実施してきた。今回我々は,この甲状腺超音波スクリーニングの有用性について検討した。対象は1992年12月から2007年3月までの当院脳ドック受診者で複数回受診者を除く,実質受診者4,338名である。腫瘤性病変では100例の要精検者のうち79例が精検を受診し (精検受診率79%),このなかから17例 (発見率0.39%) の乳頭癌が発見された。このうち当院で治療 (切除術) が行なわれた13例につき検討すると,平均腫瘤径11mmと小さなものが多く,病期分類のn分類でもn0が8例,n1が5例と早期のものが多かった。び慢性疾患では101例の要精検者のうち45例 (精検受診率44.6%) が精検を受診し,バセドー病5例,慢性甲状腺炎15例 (0.35%) が発見された。バセドー病の5例は全例に機能亢進を認め,慢性甲状腺炎15例のうち9例には機能低下を認めた。また,甲状腺外の腫瘤として副甲状腺腺腫1例,中咽頭癌の転移性リンパ節1例,悪性リンパ腫1例が発見された。甲状腺超音波スクリーニングは癌の早期発見だけでなく,甲状腺機能異常のスクリーニングとしても有用な検査と考えられた。
著者
森本 直樹 倉田 秀一 沖津 恒一郎 砂田 富美子 赤池 康
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.146-150, 2013 (Released:2013-10-09)
参考文献数
22

Collagenous colitis (CC) は,従来比較的まれな疾患と考えられてきたが,疾患概念の浸透とともに報告例が増加している。本邦では特にランソプラゾール (LPZ) に関連した症例の報告が多く,当院でも直近の1年間で3例を経験した。代表的な1例を提示する。症例は84歳,女性。他院処方のLPZを内服中。3か月間持続する水様性下痢の精査のために全大腸内視鏡検査を施行した。大腸粘膜は下行結腸近位部にわずかな毛細血管増生を認める以外に異常所見は認められなかったが,大腸各部位から生検を施行しCCと診断した。LPZを中止したところ2週間後には下痢は改善した。他の2例も慢性下痢症で受診され,内視鏡を施行して組織学的にCCと診断,内服中のLPZを中止することで比較的速やかに症状の改善が得られた。慢性下痢症の鑑別診断においては,本疾患も念頭にいれて,薬剤服用歴など詳細な病歴の聴取や,生検検査を含めた内視鏡精査を行なうことが重要と考えられた。
著者
平川 仁尚
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.679-682, 2014 (Released:2015-03-10)
参考文献数
1

最近増加傾向にある医療的背景を持たないケアマネジャーは訪問看護師など医療者とのコミュニケーションを苦手としているといわれる。そこで, 訪問看護師とケアマネジャーのコミュニケーションを円滑にするための教材作成の基礎資料とするため,「ケアマネジャーを悩ませる訪問看護師の行動傾向」をテーマに参加者に約1時間グループ討論してもらった。参加者は8人で, その内訳は職種別に医師1人, 看護師1人, 医療系 (看護系) ケアマネジャー2人, 非医療系ケアマネジャー3人, 福祉職1人であった。出された意見をKJ法の技法の一部分を用いてグループ化した結果,「病院と同等の医療管理レベルをチームに要求する」,「必要最低限の業務しかしたくない」,「在宅経験が少なく, 知識が医療的なものに偏っている」,「権威勾配を背景にチームを上から管理しようとする」,「クライアントや家族の前で感情をコントロールできない」,「専門用語を使いすぎる」,「特別指示書に変えたがる」の7グループが抽出された。こうした訪問看護師に対するケアマネジャーの本音は, 病院から地域・在宅に医療の重心がシフトしていく中で, 病院外における看護師の在り方を考える上で重要な情報である。一方, ケアマネジャーにとっても訪問看護師の行動傾向を知ることでマネジメントのノウハウを蓄積しやすくなるものと期待される。
著者
比嘉 照夫
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.784-789, 1996-03-30 (Released:2011-08-11)
参考文献数
9

Chemical fertilizers, pesticides and large-size machinery characterize present-day intensive agricultural operations. Technological advances in the application of those chemicals and machinery have made a large contribution toward solving the food problem, to be sure, but with detriment to the earth's environment and endangering man's health. Such untoward consequences were also observable not in agriculture and the manufacturing industry alone but in medicine and many other branches of science as well. In 1972, I was diagnosed with pesticide poisoning. With this as a turning point, I washed my hands of modern agriculture, which had been in my line for many years, and decided to do research in microbiology in earnest with my sights set on establishing farming of the sort that is friendly to the natural environment and compatible with the laws of nature. So far, I have harvested well over 2, 000 varieties of microbes. At least two years would be required for the study of one variety thoroughly if conventional methods were employed. So, I gave up all the old ways and resorted to my own method of eliminating harmful bugs and unpleasant odors using pH values and activated water. As a result, a symbiotic group of colonies made up of more than 80 kinds of “effective microorganisms”(EMs) has been formed.Without reliance on chemical fertilizers and pesticides, it has become possible to produce more than twice as much crops of high quality only by dint of EMs. Not only that, those microscopic organisms have proved to be surprisingly helpful in the improvement as well as conservation of the environment. Agricultural, livestock and fishery products produced through the use of EMs are rated high as healthy foods today. Now that it has been made clear that the favorable effects of EMs are due to the antioxidizing substances synthesized by EMs, the scope of their application is being expanded from the above-mentioned sectors to medicine, manufacturing industry, environmental protection, energy resource development and so on. Thus, the EM technology is hailed as something that will bring about a new industrial revolution.The principle of the technology is very simple: Oxidation breaks down everything on earth, but is prevented by the work of antioxidizing substances formed in EMs. The application of this principle could not have been thought of no matter how much the knowledge of modern science as based on the law of entropy was extended. A good idea occurs when you get your thinking on a different track, see the natural phenomena as they are and study them multidimensionally.
著者
佐々木 一希 新明 美佳
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.487-493, 2017-11-30 (Released:2017-12-20)
参考文献数
4

右変形性股関節症の治療のため入院となった81歳の女性に,人工股関節置換術(Total Hip Arthroplasty:以下THA)が施行された。術後は順調に回復し,T 字杖歩行が可能となった。術後9 病日で地域包括ケア病床へ転棟し,午前と午後の2 回(計4 単位)のリハビリテーション(以下リハ)を実施。術後22病日に右膝鵞足部痛が出現。リハビリテーション栄養(以下リハ栄養)アセスメントを実施し,加齢と摂取エネルギー不足によるサルコペニアを認めた。栄養管理と体重増加後のレジスタンストレーニング(以下RT)を実施し,鵞足部痛消失とT 字杖歩行を再獲得することができた。患者の病棟内の活動量,体重,食事摂取量などの栄養管理を含め,多職種との関わりを密にすることは,患者のADL の拡大や生活の質(Quality of Life:以下QOL)の向上に必要だと考える。
著者
岩月 奈都 久保田 勝俊 山本 喜之 中根 久美子 粕谷 法仁 植田 祐介 鈴木 和人 花之内 基夫
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.41-44, 2015 (Released:2015-07-10)
参考文献数
3

近年, HBs抗原陰性, HBs抗体もしくはHBc抗体陽性者のB型肝炎ウイルスが, 再活性化されることにより引き起こされるdenovoB型肝炎の重症化の報告がなされている。免疫抑制・化学療法患者が発症するdenovoB型肝炎は, 医療訴訟にまで発展することもあり, その対策として, 2009年1月に厚生労働省より『免疫抑制・化学療法により発症するB型肝炎対策ガイドライン』が公表され, 2013年には日本肝臓病学会より『免疫抑制・化学療法により発症するB型肝炎対策ガイドライン (改定版)』(以下ガイドライン) が公表され, 各施設での対応が急務とされている。当院でも, 化学療法委員会で協議され, 医療の安心・安全及び迅速化を提供するためHBc抗体の院内測定を実施することとなった。 調査期間中, HBc抗体が測定された理由は, 化学療法対象患者並びに免疫抑制剤使用患者, 輸血前感染症検査, ウイルス性肝炎検査であった。当院においても, ガイドラインに適応する症例は218例中15例あり, 通常の感染症スクリーニングでは見つけることの出来ないHBs抗原陰性かつHBc抗体陽性の患者は決して少なくない結果となった。 今後も免疫抑制・化学療法の対象患者は増加することが予想されるなか, 安心・安全な医療の提供の為にもガイドライン遵守の必要性が示唆された。
著者
小長谷 好江 村井 京子 笠井 倫世 岸山 眞理 高羽 ゆかり 豊永 真穂 吉井 理恵子 諸星 浩美 玉内 登志雄
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.114-120, 2016

当院看護職の離職率は全国平均と比べ高い。看護師確保・離職率の低下を目指し,2012年度日本看護協会主催WLB(ワークライフバランス)推進の取り組みに参加した。当院ではスタディを加えWLSB(ワークライフスタディバランス)として取り組んだ2年間の活動を評価した。WLSB推進委員は①業務改善チーム,②PNS(パートナーシップ看護体制)チーム,③労務管理チームで活動に取り組み,各チームの進捗管理,インデックス調査・満足度調査を実施して不満層の変化を調査した。またリーダー格スタッフを対象に,「WLSB研修コース」を企画運営した。 2か月周期のPDCAサイクルをまわした結果,業務改善目標を達成でき,「ノー残業デイ」の実施率は0%から70~80%へ大幅に改善した。またバースデイ休暇・長期休暇の計画的取得,半日有給の導入で有給休暇取得率も向上した。「WLSB研修コース」の研修生からは,研修を通してやりがいや変革に取り組む面白さを実感できたとの意見もあった。PNSも導入できた。これらの成果は成功体験としてスタッフに認知され,変革に積極的に取り組む風土ができた事を示唆している。WLSB推進活動は,不満要因の減少と満足度の向上により,看護職にとって働きやすい職場環境の構築につながり,ひいては看護職定着の促進に寄与する可能性があると思われる。
著者
尾臺 珠美 市川 麻以子 宮坂 尚幸 高木 香織 西田 慈子 塗師 由紀子 中村 玲子 服部 早苗 遠藤 誠一 坂本 雅恵 島袋 剛二
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.215-221, 2016-07-31 (Released:2016-09-24)
参考文献数
9

2009年から2014年の6年間に当院で妊娠22週以降に分娩した6,236件のうち,死産であった35症例(0.56%)を対象とし,周産期背景と子宮内胎児死亡(IUFD ; intra uterine fetal death)の原因について後方視的に検討した。35例の年齢中央値は34歳で,高年妊娠は17例(48.6%),初産婦18例,経産婦17例,高年初産は7例(20%),不妊治療後は5例(14.3%)であった。IUFD診断時の妊娠週数の中央値は30週で,飛び込み受診のため週数不明例が4例あった。6,236件のうち高年分娩は1,790例で,35歳未満のIUFDの割合0.40%に比し,0.95%と有意に高かった(p<0.05)。また,全飛び込み分娩例は109例あり,IUFDの割合は3.7%と有意に高かった(p<0.05)。受診契機はIUFDのため他院からの紹介6例,母体搬送3例,救急搬送5例,自己来院15例,入院中6例であった。IUFDの原因は臍帯因子10例,胎盤因子9例,胎児因子4例,外傷1例,原因不明11例であった。飛び込み受診例・高年妊娠でのIUFDの割合は高く,妊婦健診受診への啓発活動とより慎重な妊娠管理が求められる。約30%は原因不明であり,死因究明に対して積極的な姿勢が望ましい。
著者
木坂 恭子 上野 智美 芦田 真由美 石川 佳代子 小川 千鶴 奥本 真史 片山 博恵 金永 千恵子 向井 恵子
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.35-40, 2006 (Released:2006-07-11)
参考文献数
3

近年,早期母子接触の有効性が見直される中,母と子の双方に対する効果を期待し,出生直後の正常新生児にカンガルーケアを導入している。そこで,カンガルーケアが母親にどんな良い影響を与えるのかをあきらかにするためにこの研究に取り組んだ。 当院で分娩した母親への郵送アンケート調査や今回の出産で初めてカンガルーケアを行なった経産婦の感想を述べてもらった。その結果より,産んだ実感や感動は,より大きく,しかもカンガルーケアを始めてからは,分娩後早い時期から,また長い時間わが子とともにいたいと希望する母親が増えている。親子の相互作用により,安心感や信頼感が確立されると考えられる。今回の研究から,出生直後のカンガルーケアは母親の感情・行動に良い結果を与えることが分かった。
著者
福島 哲仁 守山 正樹
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.209-216, 2003-07-30 (Released:2011-08-11)
参考文献数
15

日本の食生活などの生活習慣と健康との関わりを明らかにする目的で, 日本へUターン移住した日系ブラジル人21人を対象に健康状態の変化を調査し, 移住者から見た日本の生活習慣から, その関連を分析した. 日本の生活環境に適応できた者は2人に過ぎず, 10人が十分適応できず, 9人は不適応の状態であった. 適応できない理由として, 読み書きができない, 対人関係, 仕事環境などが挙げられた. 現在の悩みや不安では, 将来16人, 人間関係12人, 日本語9人, 仕事8人, 子供の教育6人などが上位を占め, 海外からの移住者に対して地域社会の受け入れに問題のあるケースが多いことがわかった. 一方, 来日後の食物摂取量の変化では, 塩分, 肉, 果実摂取量が減少し, 魚の摂取量が増加した者が多かった. 日本とブラジルの食生活に共通するもので, サラダや米食は, 健康によいと感じている反面, コーヒーは悪いと感じている者が多かった. 相違点では, 日本の食習慣で, 魚介類を多く食べることは健康によいと感じているが, 果物と豆料理が少ない点は悪いと感じている者が多かった. 現在の健康状態は, 何らかの問題を抱えている者が半数以上であった. 体重の変化と食生活の変化との関連を見ると, 砂糖の摂取量増加と体重増加との間に関連が認められた. 日本の生活習慣が健康に与える影響について, ブラジルと日本の食習慣などの共通点と相違点を元に, 引き続き追跡していく必要がある.