1 0 0 0 B細胞

著者
田中 良哉
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会総会抄録集
巻号頁・発行日
vol.35, pp.17, 2007

関節リウマチ(RA)や全身性エリテマトーデス(SLE)などの自己免疫疾患では、B細胞は活性化されて自己抗体やサイトカインを産生すると同時に、抗原提示細胞としてT細胞を活性化し、病態形成過程で中心的な役割を担う。したがって、B細胞は治療標的として注目され、B細胞抗原CD20分子に対するキメラ抗体リツキシマブは、米国ではTNF阻害療法抵抗性RAに承認されている。SLEに対してもリツキシマブを用いた臨床試験が各国で展開される。本邦でも、リツキシマブは神経精神ループスやループス腎炎を呈した治療抵抗性SLE 19例に対して奏功し、14例で寛解導入を齎したとのパイロットスタディに引き続き、第2/3相試験を実施中である。一方、一定の割合でリツキシマブ無効例が存在すること、抗キメラ抗体、血栓症併発、進行性多発性白質脳症やB型肝炎再燃などの問題点も明らかになった。斯様な点をクリアするため、ヒト化CD20抗体オクレリズマブやヒト型CD20抗体オファツズマブがRAに、抗CD22抗体エプラツズマブがSLEを対象に臨床試験が実施される。さらに、B-T細胞相互作用の制御を目的としたCTLA4-Ig複合蛋白アバタセプトは米国でRAに承認され、抗BLyS抗体ベリムマブやTACI-Ig融合蛋白アタシセプトも、欧米で自己免疫疾患に対する試験が進行する。また、CD20抗体療法は、血管炎症候群、皮膚筋炎、シェーグレン症候群でも有効性が高く評価されが、その作用機序としては、B細胞分化を制御してナイーブB細胞の再構築を生じたと同時に、共刺激分子を発現するメモリーB細胞を優先的に除去して、B-T細胞間相互作用を制御した可能性が示唆される。以上、B細胞を標的とした生物学的製剤が好成績を挙げるに従い、B細胞の基礎的、病態的意義を再考する契機にもなり、病態解明や治療にブレークスルーを齎すものと期待される。

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B細胞のことを調べてたら、エプラツズマブがでてきたんだが、これ2007年か。ちなみにこれも臨床試験失敗してます。念のため。 「抗CD22抗体エプラツズマブがSLEを対象に臨床試験が実施される」 https://t.co/SOVCe0YAHD

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