- 著者
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永田 麻里子
- 出版者
- 一般社団法人 日本家政学会
- 雑誌
- 一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
- 巻号頁・発行日
- vol.58, pp.245, 2006
【目的】実業之日本社から明治39年に創刊され28年の歴史をもつ『婦人世界』と、明治41年に創刊され48年の歴史をもつ『少女の友』は、かねてから読者の一貫化を目的に編集された姉妹誌として位置付けられている。『婦人世界』は家庭婦人向けの実用記事と大衆読物でその後の婦人雑誌の原型を築き、『少女の友』は"抒情"と呼ばれる小説や絵画によって女学生を中心とする1つの少女文化を築いた。本研究では、両誌における服飾表現について比較・検討する。<BR>【方法】発行期間を共にする昭和初期までを中心に、表紙絵に描かれた人物の服飾における流行と洋装の受容形態を考察する。<BR>【結果】大正末期は、両誌において和装から洋装への転換期であった。『少女の友』は明治期より運動に関わる場面や用具と共にわずかながら洋装を描いており、『婦人世界』に比べて積極的に洋装を取り入れる傾向が見られた。又、頭頂に幅広リボンや着物にエプロン、ワンピースや耳隠し、断髪に帽子など、各誌が読者層に見合った流行を取り入れていく過程より、社会の一員としての意識が見てとれた。時に『婦人世界』は割烹着姿や花嫁姿を描いており、家庭内を活動の場とした上で外部の情報を取捨選択している様子が推察された。