- 著者
-
西島 真美
吉原 崇恵
- 出版者
- 日本家庭科教育学会
- 雑誌
- 日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
- 巻号頁・発行日
- vol.49, pp.45, 2006
<br><b>【目的】</b><br> 現代の子どもたちは高度に発達した文明社会に生まれ、便利で快適な生活をしている。しかしその反面、生活感が乏しく、依存性が強く自己中心的な生活をしているとも言われており、このような生活をしている生徒たちに家庭科を通してどのようなことを伝えていくのか、どのような力を育成していくのか、様々な方向から家庭科教育の学習について見つめ直したいと考えていた。生徒の日常生活は、様々な選択の連続である。無意識的に選択していることも多いのではないだろうか。この選択の連続は生き方やライフスタイルを決めることにつながっていく。生徒が主体的に生きていく生活者として育っていくためには選択の仕方を通して、情報の必要性や自分の価値観の見直しが求められていると考えた。つまり、意思決定プロセスについて学習する必要性があると考えた。そこで本研究は、意思決定プロセスの3つの方法と3つの課題を設定して中学生にとって効果的な方法を検討すること、中学生が学びうるものは何かを明らかにすること、意思決定プロセスを導入した授業計画の提案を行うことを目的とした。<br><b>【方法】</b><br> 2005(平成17年)年11月15日~28日に三島市Y中学校1,2,3年生から1クラスずつ抽出して95名を対象に調査した。それぞれ異なる3つの課題を設定し、方法1・方法2・方法3の3種類の方法を用いた。生徒は、3つの方法でそれぞれ異なる3つの課題について、価値項目、資源、選択方法、メリットやデメリットを考え課題解決に取り組んだ。そのプロセスについて、生徒一人ひとりのカルテを作成し、追跡調査を行った。なお、方法1は自由記述の形、方法2は価値や資源との照合ができる形、方法3はデシジョンツリーの形である。<br><b>【結果と考察】</b><br> 各学年ごとの集計結果から、分かりやすい方法は方法2,3であると評価され、課題の違いには関係がなかった。また、生徒一人ひとりのカルテを追跡調査した結果、方法2は、どの学年においても価値項目や資源について考え合わせた問題解決を行っている生徒が多いことがわかった。方法3は、多くの選択方法を考えることはしやすいが、価値項目や資源を考え合わせるという点についてはできない生徒もみられた。方法1は、1つの選択方法について詳しく考えることはできるが、それ以外の選択方法については考えが広がりにくいことがわかった。生徒の感想にも多く書かれていたが、新たな選択方法に気づいたり、今までの生活を見直したり、親のありがたさや、お金の大切さなど、わかっていたつもりであったことを改めて感じ、考えるきっかけとなったようだ。<br> 方法1,2,3についてそれぞれ3学年のカルテを見てきたが、これからの生徒の生活や学習に生きる可能性を見つけることができた。<br><b>【課題】</b><br> 今回の研究では、決定した内容を生徒自身が診断するプロセスについては実践できていない。教師側から、よりよい問題解決ができたという診断を行った。この点はこれからの課題としている。これからは、意思決定プロセスを組み入れた単元構想をもとに「食分野」「消費生活分野」での授業実践を行い、授業後意思決定プロセスの実践が生徒の生活にどのように生きるのか追跡する。単元構想では、1時間の授業や単元のまとめなど様々な場面を使い、生徒自身が自分の決定内容の見直しや診断を行っていくよう計画した。そこまでを意思決定プロセスであると考えている。<br> また、カルテからは生徒の生活実態についての間題点も浮き彫りになった。この点についても授業では、個人の生活と社会との関連が学べるように実践したい。