- 著者
-
江森 健太郎
- 出版者
- 宝石学会(日本)
- 雑誌
- 宝石学会(日本)講演会要旨
- 巻号頁・発行日
- vol.27, pp.5, 2005
<br> 最近市場でペリステライト、ハイアロフェン等の長石が見かけられるようになった。それらの長石についての特徴と鑑別に際する注意点について、通常見られる長石類と比較しつつ述べる。<br> ペリステライトは約2~19mol%のアノーサイト成分を持つ低温型斜長石でありイリデッセンスを放つラブラドーライトと同じように100nmオーダーのラメラ構造を呈している鉱物である。ムーンストーンと非常によく似た外観を持ち、屈折率、比重だけでは区別することが難しい。また、ムーンストーンと類似した外観をもつラブラドーライトについても述べる。<br> ハイアロフェンはバリウム長石であるセルシアン(celsian;BaAl<sub>2</sub>Si<sub>2</sub>O<sub>8</sub>)と正長石(orthoclase;KAlSi<sub>3</sub>O<sub>8</sub>)の中間組成を持つ長石である。屈折率が斜長石系列の中間程度を示し、誤鑑別を生む原因となる。<br> これらの長石は赤外分光法(FT-IR)で簡易的に鑑別することが可能であるが、正確な鑑別には蛍光X線分析装置(EDS)を用いて組成を直接分析することが望ましい。