著者
福田 千紘
出版者
宝石学会(日本)
雑誌
宝石学会(日本)講演会要旨 平成30年度 宝石学会(日本)講演論文要旨
巻号頁・発行日
pp.21, 2018 (Released:2018-06-24)

ガラスは古代より装飾品として使用されており各所の遺跡の出土品からも様々な形態の装飾品が報告されている。現在は天然素材を用いた宝飾品が高く評価されるためガラスを用いた装飾品は主にアクセサリーとして流通している場合が多い。 19 世紀頃からは装飾品にするために様々な工夫を凝らした特殊なガラスが製造されていた。本研究では主に 19 世紀から 20 世紀中ごろまでに製造されたいくつかの特殊な外観を呈するガラスについて主に化学組成と特徴を報告する。今回入手した試料はそれぞれサフィレット、アイリスグラス、ドラゴンブレスと呼ばれ流通しているガラスである。サフィレットは19世紀にチェコで製造され、その後製法が途絶えてしまったが 20 世紀に入ってから旧西ドイツで復刻生産されたと報告されている。主に青色透明で背面に反射膜を有するものと無い物が存在する。強い自然光や人工光下で褐色に見え一見すると変色性のような特徴を持つ。アイリスグラスはアイリスクォーツを模して造られたガラスで無色のガラスに赤、青、緑系の各色ガラスが混入されている。背面には反射膜を有する物と無い物が存在する。ドラゴンブレスは主に赤~オレンジ色を呈するガラス中に不規則な青色の干渉色を呈する事を特徴とし背面には反射膜を有する。EDXRF にて組成を分析した結果、主要成分はいずれも Pb、 Si、 K に富み B に乏しく、一般的に”クリスタルガラス ”と 呼ばれるガラスであった。また着色原因と考えられる元素としてサフィレットからは Fe、 Cu、アイリスグラスからは Cu、ドラゴンブレスからは Se がそれぞれ微量検出された。アイリスグラスの赤色部は紫がかった色調から金コロイドによる着色が考えられるが Au はXRFでは検出出来なかった。そこで可視分光分析を行い現在生産されている金コロイドの赤色鉛ガラスと比較した。また、サフィレットはその外観から何らかの金属コロイドの存在が考えられこれの検出を試みた。ドラゴンブレスは 2 層の異なる組成のガラスから構成されておりガラス組成の差と境界面の構造から青色の干渉の原因を考察した。
著者
福田 千紘 宮﨑 智彦 Lee Bo-Hyun
出版者
宝石学会(日本)
雑誌
宝石学会(日本)講演会要旨 平成26年度 宝石学会(日本)講演論文要旨
巻号頁・発行日
pp.6, 2014 (Released:2014-10-01)

エチオピアからは 1994 年ごろにオパール の 産 出 が 報 告 さ れ て い る (KoivulaJ.I.,et al 1994).2008 年前半には Wollo地区において豊穣な鉱床がみつかり,多量のカット石が市場に供給されている(Rondeu.,et al 2010).また 2013年初め頃に原石のままでの輸出が禁止されたと報じられた(Addis Fortune Jan. 2013).これらは主に色調が無色∼白色から淡黄色∼褐色を呈し,半透明∼不透明まである.オーストラリア産オパールにみられる強い青白色の紫外線蛍光や燐光はほとんど認められず弱い青白色の蛍光が認められる.ほかの産地のオパールに比べて多孔質で日常の取り扱いで重量が変化しやすい個体が多く見受けられる. 2013年初めごろから暗黒色不透明なエチオピア産オパールとされるブラックオパールに似たオパールが流通し始めた.これらは売り手の情報によると処理を施してあり,酸と有機物を用いて黒色化しているとのことである.価格も処理を施されていない同産地のオパールよりも割高で明らかにブラックオパールを模して製造されていると推定される.外観はオーストラリア産ブラックオパールとは異なる独特の鮮やかな遊色とわずかに褐色を帯びた漆黒の地色を呈し,従来から知られている砂糖液処理やスモーク処理の処理オパールとも異なる.またあまり小さなカット石は存在せず数カラット以上の比較的大きく厚みのあるルースのみ存在する点も特徴的と思われる.透過光では暗赤色を呈する試料が多く,拡大検査にてスクラッチ状または斑点状の黒色の色だまりがみられる個体が多い.試料を切断したところ内部まで黒色で外形に沿った色の濃淡が認められた.これは内部まで処理の効果が及んでいることと原石のまま処理するのではなくカットして完成品に近い形状に仕上げた後に処理を施し表面を再研磨していることを示唆すると考えられる.色の起源に関してはアモルファスカーボンが原因との報告があり(Williams 2012),本研究でもアモルファスカーボンの存在を追認した. さらに今年に入ってから様々な色調に着色されたエチオピア産とされるオパールが流通し始めた.これらはファイアオパールに似せた黄色∼オレンジ色系のものと天然には存在しない地色が青色系,ピンク色系を確認した.これらは有色樹脂の含浸が疑われたが近赤外分光分析の結果,樹脂は検出されず色素を用いた着色処理であることが判明した. 本研究では黒色の処理オパールとそのほかの色の着色オパールの鑑別上の諸特徴を報告するとともに処理の再現実験の途中経過と暫定的な結果も報告する.
著者
乙竹 宏
出版者
宝石学会(日本)
雑誌
宝石学会誌 (ISSN:03855090)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.23-25, 1978-03-15 (Released:2017-01-16)

The cultured pearl industry in Japan developed rapidly, both in expanding pearl fishery fields from Mie Prefecture to Nagasaki Prefecture and along the Seto Inland Sea, and in expanding trade market in the world. Although during the Meiji era (〜1912), Mikimoto monopolizd the cultured pearl industry, strong competations against Mikimoto's monopoly appeared gradually in the Taisho era. In the Showa era, two groups started to co-operate and self-controlled the production. It seems that the cultured pearl industry in Japan was developing in harmony during these days, in spite of the fact that the production increased in a reciprocal relation with the decrease in sales and prices. However, outbreak of the 2nd World War stopped this harmonic development and gave the most severe damage to the Japanese cultured pearl industry. The production of cultured pearl was entirely forced to cease during the war.
著者
林 政彦 民谷 晴亮 小松 睦美 堤 貞夫 山崎 淳司
出版者
宝石学会(日本)
雑誌
宝石学会(日本)講演会要旨 平成19年度 宝石学会(日本)講演論文要旨
巻号頁・発行日
pp.4, 2007 (Released:2008-06-01)

アメシストを加熱することによりシトリンの色調に変化させることはよく知られている。そこで、次の4つの産地の天然アメシストと1つの合成アメシストをそれぞれ加熱実験し、色調の変化を追ってみた。 (1)ブラジル、リオ・グランデ産:Iai, Rio Grande do Sul, Brazil (2)ウルグアイ産:North Cantera mine, Artigas, Uruguay (3)メキシコ産:Ras Begas mine, Mexico (4)ロシア製合成アメシスト:Synthetic amethyst, Russian Academy これら加熱実験結果から、ブラジルのリオ・グランデ産、ウルグアイ産及び合成アメシストは、420~450度で脱色し、その後に黄色あるいは黄褐色のシトリン(黄水晶)の色調を呈するようになった。 今回の加熱実験結果で着目すべき点は、メキシコ産アメシストについては、脱色はするがその後の色調の変化は見られず、最終的に白色(不透明な無色)になったことである。 以上の結果をふまえて、加熱によるアメシストのシトリンへの変化について、CL像の観察・化学分析・IR吸収スペクトル測定などを行った結果から、次のような結論を得た。 ・カラーセンターによって生じた可視領域の吸収(550nm付近)が、420~500度の加熱によって消滅した結果、紫色は消失した。 ・黄色に変化するというのは、分光特性において可視部から紫外部にかけて徐々に吸収が大きくなることを示している。 ・黄色に変化しないものは、カラーセンターによって生じた可視領域の吸収(550nm付近)が、加熱によって消滅した後、さらに加熱温度を上昇しつづけても、その他の吸収の変化が可視領域になかったことを示している。 ・アメシストを加熱することによりシトリンの色調に変化させるには、H2O分子の存在と450~500度という温度が必要である。
著者
川崎 雅之
出版者
宝石学会(日本)
雑誌
宝石学会(日本)講演会要旨 平成24年度 宝石学会(日本)講演論文要旨
巻号頁・発行日
pp.7, 2012 (Released:2012-09-30)

地球表層には大量のシリカ鉱物、特に石英(水晶)が存在しているが、地球外物質(隕石、月、火星など)には極めて少ないことが既に知られている。実際、隕石中に含まれている鉱物は珪酸塩鉱物(かんらん石、輝石、長石)と鉄ニッケル合金が中心であり、シリカ鉱物は一部の隕石に少量報告されている程度である。 太陽系形成の初期において、惑星は高温の溶融状態にあり、その後の冷却過程で核・マントル・地殻に分化している。核には主に鉄(+ニッケル)が、マントルにはかんらん石や輝石が濃集し、地殻には玄武岩が形成された。月の地殻は斜長岩と玄武岩である。水星・金星・火星では地形と分光分析により、その地殻は玄武岩質と推定されている。一方、地球の地殻は海洋地殻と大陸地殻に分けられ、海洋地殻及び大陸地殻下部は玄武岩質であるが、大陸地殻上部は花崗岩質である。 シリカ(SiO2)はNa、Mg、Ca、Alなどと共に容易に珪酸塩鉱物を形成するので、シリカ鉱物が存在するためには、それらの元素以上に過剰なSiO2が必要である。玄武岩中のSiO2量は少なく、シリカ鉱物とは共存しない。一般的にシリカが単独で存在し得る火成岩はSiO2量の多い花崗岩である。月物質の一部に石英を含む花崗岩が確認されているが、量は少なく、他天体を含めても、水晶の存在は希である。分化によってできる地殻を構成するのは主に玄武岩ないし斜長岩であり、量的に花崗岩はできにくい。マントルのかんらん岩が部分溶融してできるマグマも玄武岩質である。他天体の地殻が花崗岩よりSiO2量の乏しい岩石で構成されていれば、そもそも水晶が存在しにくい。むしろ、地球の地殻において水晶が多い理由は大量の花崗岩が存在することにあると言える。 では、花崗岩はどのようにしてできたのか? 実験から水の存在下で玄武岩が部分溶融すると、できたマグマはSiO2量に富む安山岩~花崗岩質マグマであることがわかっている。玄武岩質の海洋地殻は中央海嶺で生成され、プレートの沈み込み帯で地球内部に入り込み、大量の水をスラブ(沈み込んだ海洋プレート)上側のマントルに放出する。その水が地殻下部を部分溶融させ、SiO2量の多い安山岩質~花崗岩質マグマを形成している。 元々、地球は金星、火星や月に比べて、水に富んだ星である。惑星の分化が進んだ時点で、海洋が存在し、プレートの動きに従い、地球内部と地表との間で水の循環が成立している。その結果、地殻下部への水の連続的な供給が安山岩~花崗岩質マグマの形成を促進し、大陸の成長につながったといえる。他の天体ではプレートの動き(プレートテクトニクス)は無かったか、あるいは限定的であったと考えられている。 地球表層の豊富な水は地殻上部でも循環し、熱水作用により、SiO2の単結晶、すなわち水晶を大量に形成した。地球が他天体(月や地球型惑星)に比較して、水が豊富であったこと、プレートテクトニクスにより水の循環が容易に行なわれたことが、地殻上部における水晶の形成につながった。 大昔、水晶を見た人々は「水晶は透明な硬い氷である」と考えた。今日、我々は水晶が氷ではなく、SiO2の結晶であることを知っている。しかし、水晶の形成過程を見れば、「水晶こそ水が作った結晶である」と言えるのである。 もちろん、これは水晶だけに当てはまるのではない。花崗岩に伴う鉱物、水から晶出した鉱物はすべて水の賜物である。2008年、アメリカのHazen et al.は鉱物進化論を唱えた(Amer. Mineral., 93, 1693;日経サイエンス2010年6月号)。地球の進化(起源、分化、大陸の形成、生命との共進化)の過程に応じて、新たな鉱物形成プロセスが生まれ、鉱物の種類が増えてきた。特に生命の発生が地球大気を酸化的にしたことの影響が大きいという。大陸の形成、生命の発生・進化に水が必須であることから、水の存在こそが鉱物の多様性を生み出した原動力と言えるだろう。水晶の普遍性はその結果の一つである。 (地球惑星科学連合2012年大会で発表)
著者
下村 道子
出版者
宝石学会(日本)
雑誌
宝石学会(日本)講演会要旨
巻号頁・発行日
vol.34, 2012

美しく輝く宝石は古代から人々を魅了し続けている。古代ギリシアの哲学者は宝石の成因や性質の違いについて思索したが、1世紀のプリニウスは『博物誌』のなかで宝石の色や性質や産地のほかに、様々な伝説や効能や神秘的な力を記述した。その後、中世ヨーロッパでは宝石の美しさよりも神秘的な力や効能が増幅され、魔力や薬効を列挙した「鉱物誌」と呼ばれる文学のジャンルの書物が広く流布した。16世紀になると、現在では「鉱物学の父」と呼ばれているドイツのゲオルグ・アグリコラが、科学的な観察に基いて『鉱物の性質について』を著わした。しかし「鉱物誌」の神秘的な力や薬効が完全に払拭されたわけではなかった。そしてその後、科学の発展によって18世紀ころから近代的な鉱物や宝石に関する著作が次々に出版されるようになり、19世紀末にイギリスで宝石学の教育が始まった。<br>こうした宝石学の歴史のなかで、16世紀のイギリスのエリザベス1世の宮廷肖像画家の一人であり金細工師でもあった画家ニコラス・ヒリヤード(1546/7-1619)が著わした文書は注目に値する。彼は宝石の熱処理、各種宝石の色変種、ダイヤモンドの輝きとカット、ダイヤモンドと類似石の識別方法など現代の宝石学に通ずる情報を自分の経験に基いて詳細に記述しているのである。また16世紀のイタリアの彫刻家であり金細工師であったチェッリーニや、17世紀初期のイギリスの金細工師による著述と比較・検討することも興味深い。
著者
林 政彦 安藤 康行 安井 万奈 山崎 淳司
出版者
宝石学会(日本)
雑誌
宝石学会(日本)講演会要旨 平成24年度 宝石学会(日本)講演論文要旨
巻号頁・発行日
pp.6, 2012 (Released:2012-09-30)

ブルー・オパールは大変綺麗な色調であり,人気のある宝石の一つである。その中に変色するものがあったので、その原因について報告する。 この変色は、標本ケースに入れた状態で生じており、ケース内部が青色になってしまっていることから、オパールから染み出てきたことによることは明らかである。そこで、変色した標本について、X線粉末回析実験とエルギー分散型EPMA により化学組成の分析を試みたので、それらの結果を報告する。 (1)X線粉末回折実験 装 置 ・リガク製X線ディフラクトメータ RINT ULTIMA3 条 件 ・X線源:Cu Kα ・電圧/電流:40kV / 20mA 結 果 非晶質のシリカの回折パターンを示す。いわゆるOpal-CTである. (2)エルギー分散型EPMA 装 置 ・日本電子製JSM-6360 + OXFORD製INCA EDS 条 件 ・加速電圧:15 kV ・測定範囲:20 mm ・積算時間:60 sec 結 果 銅と塩素が検出された. 以上の結果から,青緑色を呈する塩化銅(Ⅱ)のニ水和物によって着色されたオパールと思われる。 なお、無水の塩化銅(Ⅱ)は黄褐色である。 流通しているブルー・オパールのネックレスで、身に着けている間に黄色に変色した報告もある。これは,塩化銅(Ⅱ)のニ水和物が脱水して無水になったためと考えられる。塩化銅が人為的に含浸させたものかどうかは不明であるが、流通しているブルー・オパールの取扱いには注意が必要である。
著者
岡本 信一 平岡 英一 辻井 幸雄 古田 純一郎
出版者
宝石学会(日本)
雑誌
宝石学会誌 (ISSN:03855090)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.59-65, 1983-12-15 (Released:2017-01-16)

Neutron radiography was used for examination of the inner parts of a pearl as one of non-destructive methods. The neutron radiography is similar to the radiography by X-rays and gamma-rays from the radio-isotopes such as Co-60, Ir-192, and Yb-169. Thermal neutrons are used for neutron radiography. The mass absorption coefficients of water and organic materials for thermal neutrons are extremely larger than those of other pearl materials (CaCO_3, MnCO_3, ……). The neutron radiographs of blue and black pearls are compared with their X-rays and gamma-rays radiographs. The former are better and sharper than the latters. The exposure methods for photographic detection of neutron imaging are described in this paper.
著者
中島 彩乃 古屋 正貴
出版者
宝石学会(日本)
雑誌
宝石学会(日本)講演会要旨 平成23年度 宝石学会(日本)講演論文要旨
巻号頁・発行日
pp.2, 2011 (Released:2012-03-01)
参考文献数
8

近年ベトナムなどから産出するブルースピネルに、以前のブルースピネルのような暗い青ではなく、変成岩起源のサファイアのように鮮やかな明るい青のものが見られるようになった。市場では、その色の濃いものはコバルトスピネルや、パステルカラーから薄いカラーチェンジスピネルの名称で販売されているようである。(ツーソン2011) 青い天然のスピネルは、1980年代に一部コバルト着色であるものが含まれることが発見され、それまでのコバルトは天然石の色原因とはならないという常識から外れるもので驚きを持って受け入れられた。(Fryer, 1982) これらいわゆるコバルトブルースピネルの着色原因とその色について調査を行った。 分光器を使う伝統的な宝石学としてGem Testingを見ると、ブルースピネルはコバルト着色のものと、鉄着色のものがあることが示され、その違いは基本的にコバルト着色のものはベルヌイの合成石の特徴であり、鉄着色は天然石の特徴として示され、鉄着色の天然石は459nmの強く大きな吸収バンドの他、555nm、592nm、632nmの3つの吸収を特徴とし、コバルト着色の合成石は540nm、580nm、635nmの3つの吸収バンドがあるとされている。また、分光光度計を用いた研究では先のものに加え、天然の鉄+コバルトで着色されたものの吸収ピークが示され、429.5nm、434nm、460nm、510nm、552nm、559nmが鉄による吸収、575nm、595nm、622nmがコバルトが影響したものとして示された。(Shigley, 1984) また黄色~赤色の3つの吸収については、鉄による555nm、590nm、635nmの吸収は、コバルトによる550nm、580nm、625nmと非常に似ているとした研究もあった。(Kitawaki, 2002)ブルースピネルの分光パターンにはこのような詳細な研究が行われてきた。 このようにこれまでも研究されてきた吸収のパターンを踏まえて、タンザニア、スリランカ、ベトナム、およびベルヌイ法合成のブルースピネル、44石の分光スペクトル、蛍光X線成分分析、およびLA-ICP-MSによる成分分析の着色元素の含有率と比較・調査し、分光スペクトルの特徴と着色原因の特徴との関係を調べた。
著者
宮田 雄史 茂手木 浩
出版者
宝石学会(日本)
雑誌
宝石学会誌 (ISSN:03855090)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1-2, pp.24-34, 1991-07-30 (Released:2017-01-16)

Colourimetric investigations were made on Au-Ag-Cu ternary alloys by spectrophotometry. Test pieces of alloy are prepared at 5 wt% intervals in compositions.Chromaticity coordinates of test pieces are calculated by weighted ordinate method from spectral reflection factor. Results are represented on either Munsel renotation system or CIE standared colourimetric system. In the eutectic region, colours of the alloy can be explained on the basis of additive mixture of the colours at end-members.
著者
森 孝仁 奥田 薫
出版者
宝石学会(日本)
雑誌
宝石学会(日本)講演会要旨
巻号頁・発行日
vol.29, pp.2, 2007

面積678,330平方キロメートル(日本の1.8倍)、人口約52,000千人のミャンマー連邦(The Union of Myanmar)は、宝石の産出国として世界でも類を見ない国です。<BR>西洋・東洋において、それぞれ最も人気のあるといわれるルビー・ジェイダイトの最高品質は、いずれもミャンマーで産出されます。両者の生成には、全く異なる地質条件が必要であり、それを満たす土壌が同じ国内に共存するということは、大変不思議なことです。また、ミャンマーでは、それ以外にも、ブルーサファイア、レッドスピネル、ペリドット、アイオライト、ジルコン、アクアマリン、シリマナイト、カイヤナイト、ブルーアパタイト、イエローダンビュライト等、様々な宝石が産出し、いずれも品質の高いものが見られます。また、宝石質のダイヤモンドもわずかに産出します。それぞれの宝石の簡単な特徴について紹介するとともに、このような多種の宝石を産出するミャンマーの土壌に関して、ミャンマー現地に宝石研究所を有する当社が得た情報を報告します。<BR>また、同研究所では、過去5年間に持ち込まれた全てのルビーについて、採掘された地域、外観特徴、拡大検査、可視分光吸収および成分分析のデータを蓄積しています。今回、今まで得られたデータを整理することで、ミャンマー産ルビーの特徴を明らかに、他の産地におけるルビーとの判別方法について報告します。
著者
北脇 裕士 堀川 洋一 小豆川 勝見 野川 憲夫
出版者
宝石学会(日本)
雑誌
宝石学会誌 (ISSN:03855090)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.17-19, 2014

Two slightly orangy pink morganites with residual radioactivity were studied. The dose rate of the samples, measured by a scintillation survey meter, ranged from 0.15 to 0.35 μSv/h. Although this radioactivity was likely not hazardous, it was above the recommended exposure limit set forth in 1990 by the International Commission on Radiological Protection. To identify the radionuclides, gamma rays from the samples were measured using a Ge(Li) semiconductor detector. The activation products ^<134>Cs, ^<54>Mn, and ^<65>Zn were detected, proving that the samples had been artificially irradiated with neutrons.
著者
福田 千紘
出版者
宝石学会(日本)
雑誌
宝石学会(日本)講演会要旨
巻号頁・発行日
vol.40, pp.21, 2018

<p>ガラスは古代より装飾品として使用されており各所の遺跡の出土品からも様々な形態の装飾品が報告されている。現在は天然素材を用いた宝飾品が高く評価されるためガラスを用いた装飾品は主にアクセサリーとして流通している場合が多い。 19 世紀頃からは装飾品にするために様々な工夫を凝らした特殊なガラスが製造されていた。本研究では主に 19 世紀から 20 世紀中ごろまでに製造されたいくつかの特殊な外観を呈するガラスについて主に化学組成と特徴を報告する。</p><p>今回入手した試料はそれぞれサフィレット、アイリスグラス、ドラゴンブレスと呼ばれ流通しているガラスである。</p><p>サフィレットは19世紀にチェコで製造され、その後製法が途絶えてしまったが 20 世紀に入ってから旧西ドイツで復刻生産されたと報告されている。主に青色透明で背面に反射膜を有するものと無い物が存在する。強い自然光や人工光下で褐色に見え一見すると変色性のような特徴を持つ。アイリスグラスはアイリスクォーツを模して造られたガラスで無色のガラスに赤、青、緑系の各色ガラスが混入されている。背面には反射膜を有する物と無い物が存在する。ドラゴンブレスは主に赤~オレンジ色を呈するガラス中に不規則な青色の干渉色を呈する事を特徴とし背面には反射膜を有する。</p><p>EDXRF にて組成を分析した結果、主要成分はいずれも Pb、 Si、 K に富み B に乏しく、一般的に"クリスタルガラス "と 呼ばれるガラスであった。また着色原因と考えられる元素としてサフィレットからは Fe、 Cu、アイリスグラスからは Cu、ドラゴンブレスからは Se がそれぞれ微量検出された。アイリスグラスの赤色部は紫がかった色調から金コロイドによる着色が考えられるが Au はXRFでは検出出来なかった。そこで可視分光分析を行い現在生産されている金コロイドの赤色鉛ガラスと比較した。また、サフィレットはその外観から何らかの金属コロイドの存在が考えられこれの検出を試みた。ドラゴンブレスは 2 層の異なる組成のガラスから構成されておりガラス組成の差と境界面の構造から青色の干渉の原因を考察した。</p>
著者
阿依 アヒマディ 郷津 知太郎 蜷川 隆
出版者
宝石学会(日本)
雑誌
宝石学会(日本)講演会要旨 平成22年度 宝石学会(日本)講演論文要旨
巻号頁・発行日
pp.12, 2010 (Released:2011-03-03)

オリンピック・サンストーンと称されている赤色アンデシンの色の起源に世界から関心が寄せられている中で、多くのジェモロジストは当該色が銅による拡散加熱処理によるものではないかと疑っている。その真偽を突き止める為に、中国のチベットと内モンゴル自治区の鉱山を調査した。その結果、チベットでは赤色(稀に緑色)のアンデシンが実際に産出され、内モンゴル自治区の固阳県の鉱山では淡黄色のみのアンデシンしか産出されていないことが確認できた。また、大量に生産された内モンゴル産アンデシンは拡散加熱処理(人為的な着色)の原材に利用されているこという確かな情報が得られた。 採集した両産地のアンデシン試料と中国国内で銅による拡散処理が施されたことが確実な赤色アンデシンを比較してみると、それらの宝石学的特性値や化学組成値はほとんど同じであり、斜長石の一種であるラブラドライトとアンデシン組成境界付近に分布するCaを富んだアンデシンであることが分かった。しかし、内部組織の観察では、チベット産赤色アンデシンと拡散処理した赤色アンデシンに明瞭な差異がなく、両者の識別は非常に困難である。また、LA-ICP-MS法で分析した微量元素であるBa/SrとBa/Liによる化学フィンガープリントから、多くのチベット産天然試料は拡散処理試料と異なる分布領域を示すが、一部に重複が見られ、完全な識別法の確立は今後の重要な課題として残されている。本研究では、熱ルミネセンス分析法を用いて、試料からの発光量を測定し、天然と処理したアンデシンの区別を試みた。 主に鉱物の周囲に分布する放射性元素起源の放射線(α線,β線,γ線)によって、結晶中の電子が励起される。この電子が格子欠陥等からなる捕獲中心に捕らえられた場合、これを捕獲電子と呼ぶ。この様な結晶を加熱した場合、格子の熱振動によって捕獲電子は再度伝導帯に励起され、結晶中を移動した後、発光中心の正孔と再結合する。この際に発光する光を熱ルミネッセンス(Thermoluminescence : TL)という。 鉱物がある程度の期間(環境中の線量に依存するが、およそ数千年、またはそれ以上)天然の環境におかれている場合、自然放射線により鉱物中に捕獲電子が蓄積され、加熱により熱ルミネッセンス(natural TL)が観測される。一方で、天然から採集した鉱物に人為的な加熱を加えた場合(およそ500℃前後で数分程度)、捕獲電子は正孔と再結合するために熱ルミネッセンスは観測されなくなる。 今回の研究に、チベット産天然赤色試料7点、内モンゴル産天然淡黄色試料2点、中国から提供されたCuによる拡散加熱処理試料3点、GIAによるCu拡散加熱実験試料1点を分析の対象とした。岡山理科大学理学部に設置された熱ルミネッセンス測定装置(浜松ホトニクス製光電子増倍管R762,フィルター:Corning 4-69,Corning 7-59)を使用した。試料の一部を粉末にし、加熱試料板に載せ、常温から450°までの熱ルミネッセンスのグロー曲線を測定した。 分析の結果、チベット産と内モンゴル産アンデシン試料に、300~450℃の間に極大な発光ピークを示した。Cuによる拡散加熱処理の試料には、このような強い発光強度がなく、弱いかまたは発光しないグロー曲線が確認できた。この減少することに着目すれば人為的に加熱の有無を判断することができると推定される。しかし、加熱処理をしたにも関わらず発光するのはこの発光が自然放射線の照射によって生じた発光ではなく、酸素等の吸着による発光である可能性がある。今後、測定波長領域を広げたり、人工的に放射線を照射したりして、天然及び拡散処理アンデシンの識別に対する熱ルミネッセンス法の有効性について更に検証していく予定である。
著者
三木 かおり 高橋 泰
出版者
宝石学会(日本)
雑誌
宝石学会誌 (ISSN:03855090)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1-4, pp.3-12, 2004-03-30 (Released:2017-01-16)
参考文献数
13

On color of gemstone, Sensitive colors and insensitive colors exist in visual sensitives to color difference. the green and light color of yellow, orange, pink, blue, violet belong to sensitive colors, while dark color of red, blue, bluish violet are classified into insensitive colors. These results indicate that general color sensation fit in with color of gemstones. Though faceted gemstones displayed several colors in own complex appearance many facets show bright colors to shadow colors, detail color sensation is analyzed by the visual test to three color difference. The result suggest that the human color sensation recognized a medium bright volume color as a gemstone color.

2 0 0 0 OA 富山県の鉱物

著者
清水 正明
出版者
宝石学会(日本)
雑誌
宝石学会(日本)講演会要旨 平成30年度 宝石学会(日本)講演論文要旨
巻号頁・発行日
pp.4-5, 2018 (Released:2018-06-24)

富山県に産出する代表的な鉱物及びその産地について,産状別にまとめ,報告する。合わせて,「越中七金山」について,紹介する。I. 産状別にまとめた富山県の代表的鉱物産地(1) スカルン鉱床(1-1) Pb-Zn-Cu 型1. 富山市池ノ山 神岡鉱山清五郎谷坑,播磨谷,銅平谷アダム鉱,異極鉱,灰鉄輝石,灰礬ざくろ石,孔雀石,珪灰鉄鉱,青鉛鉱,チタン石,デクルワゾー石,透輝石,バーネス鉱,白鉛鉱,ブロシャン鉱,硫カドミウム鉱,緑鉛鉱,緑閃石,緑簾石など2. 富山市亀谷(かめがい) 亀谷鉱山 アダム鉱,霰石,異極鉱,灰鉄輝石,水亜鉛鉱,水亜鉛銅鉱,透輝石, 菱亜鉛鉱,ロードン石など3. 富山市長棟(ながと) 長棟鉱山 黄鉄鉱,黄銅鉱,絹雲母,閃亜鉛鉱,白鉛鉱,方鉛鉱など(1-2) Fe 型4. 富山市水晶岳 黒岳鉱山 磁鉄鉱,灰鉄ざくろ石,水晶,鉄バスタム石など5. 上新川郡加賀沢村 加賀沢鉱山 磁鉄鉱,磁硫鉄鉱,珪灰石,ざくろ石など(2) 鉱脈鉱床(2-1) Au-Ag-Cu 型6. 魚津市松倉(虎谷) 松倉鉱山 黄銅鉱,輝銅鉱,エレクトラム,石英,閃亜鉛鉱,方鉛鉱,7. 魚津市鉢金山(かなやま) 鉢鉱山 輝銅鉱,石英,閃亜鉛鉱,方鉛鉱,エレクトラム8. 魚津市河原波(かわらなみ) 河原波金山 輝銅鉱,石英,閃亜鉛鉱,方鉛鉱,エレクトラム9. 中新川郡上市町下田(げた) 下田鉱山(白萩鉱山) 黄鉄鉱,黄銅鉱,エレクトラム,石英,閃亜鉛鉱,方鉛鉱10. 富山市庵谷 庵谷鉱山,片掛鉱山, 吉野鉱山 黄鉄鉱,含銀四面鉄鉱,輝銀鉱,閃亜鉛鉱,磁硫鉄鉱(2-2) Mo 型11. 黒部市宇奈月町池の平山東斜面 小黒部鉱山 輝水鉛鉱,水鉛華,石英,ポウエル石12. 富山市岩苔小谷 大東鉱山 輝水鉛鉱,鉄水鉛華(2-3) その他13. 南砺市福光刀利下小屋(とうりしもごや) 刀利鉱山 黄鉄鉱,輝銀鉱,石英,方鉛鉱,硫砒鉄鉱14. 黒部市宇奈月町餓鬼谷 大黒鉱山 銅鉱(3) その他15. 富山市小原(おはら) 千野谷鉱山 石墨,絹雲母,ぶどう石,方解石,緑泥石16. 富山市蟹寺 蟹寺鉱山 石墨17. 中新川郡立山町室堂 地獄谷鍛冶屋地獄(かじやじごく) 硫黄18. 下新川郡朝日町宮崎—境 ひすい海岸 ひすい輝石,オンファス輝石,コランダム,透閃石19. 黒部市宇奈月町明日(あけび)谷,深谷(ふかたん), イシワ谷など 十字石20. 南砺市利賀村高沼(たかぬま) コランダム, 珪線石,石墨21. 南砺市祖山(そやま) 祖山珪石 褐簾石,サマルスキー石,ジルコン,石英,正長石,微斜長石,ポリクレース,ユークセン石22. 中新川郡立山町 新湯温泉 魚卵状珪石,貴蛋白石(珪華、蛋白石)23. 南砺市福光 玉随,碧玉,めのう24. 中新川郡上市町白萩村 鉄隕石(白萩 1 号:明治 23.4. 発見,白萩 2 号)II. 「越中七金山(ななつかねやま)」越中は,かつてエル・ドラード(黄金郷)であった。富山藩分藩の際,加賀藩が手放さなかった(富山藩領地内に加賀藩の飛び地があった。)。一時期佐渡金山より産金量が多かったという記録があり, 17 世紀後半まで加賀藩の財政の要を担ったドル箱的存在であった。ゴールドラッシュに沸き返ったこれら「加袮山」は,戦国時代から江戸時代初期を中心に,「越中七加袮山」と呼ばれ,松倉,河原波,下田,虎谷,吉野,亀谷,長棟の 7 つの鉱山のことであった。