- 著者
-
山崎 淳司
- 出版者
- 宝石学会(日本)
- 雑誌
- 宝石学会(日本)講演会要旨
- 巻号頁・発行日
- vol.27, pp.1, 2005
<Br> コランダム(corundum)は、α-Al<sub>2</sub>O<sub>3</sub>の主化学組成と構造型をもつ鉱物種名であり、微量のクロム、チタン、鉄が固溶することによって発色したルビー、サファイアなどは変種名である。コランダムが宝石として用いられるには、透明性とある程度の大きさが求められる。しかし、生成条件の関係から乳白色で産出するいわゆる「ギウダ」や、生成過程で混入した不純物種によって色の質が落ちるコランダムを加熱処理して、透明度や色調を向上させたものが、一部で流通している様である。この加熱処理は、宝石としてのコランダムの流通量が増えるなどの利点はあるが、加熱処理物と非加熱処理物とが流通過程で混在していることが問題にもなっている。<Br> 今回の講演では、コランダム型構造を有する物質の結晶化学的特徴を紹介し、コランダムに各種遷移金属元素をドープし、加熱処理した場合の発色機構について、主に顕微ラマン分光、カソードルミネッセンス スペクトルなど分光学的測定法を用いて得られる知見について紹介する。