著者
濱尾 玲早 四本 伸成 薬師寺 京子 玉島 亜希子 永山 弓子 芝 圭一郎 東 祐二 藤元 登四郎
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.113, 2007

【目的】<BR> 本研究の目的は、当院デイケア・外来作業療法利用者に対しアンケートを作成し、同意の得られた利用者に回答を頂く。アンケート結果より、利用者側のニーズを明らかにすることにある。<BR>【対象】<BR> 当院デイケア・外来作業療法利用者を対象として実施した。内訳はデイケア利用者男性18名、女性8名計26名(平均年齢44.5±10.1歳)と外来作業療法利用者男性3名、女性1名計4名(平均年齢46.5±9.5歳)である。<BR>【方法】<BR> アンケートは「(デイケア・外来作業療法)にどのような目的を持って参加していますか」という質問に対し、同意の得られた対象者のみ無記名にて回答してもらった。利用者の言葉で答えられるよう、自由記載の形とした。実施期間は、平成19年2月6日~4月10日で、利用者の参加日に記載してもらった。結果からいくつかのカテゴリーを抽出した。<BR>【結果】<BR> アンケートの回答より、得られた結果を意見の多かったものより記載する。<BR> デイケア利用者の意見として、最も多かったものは、人と仲良くなるため(26.9%)、次いで、規則正しい生活を送るため・生活リズムを作るため(11.5%)、友達を作るため・手工芸(活動)のため(7.7%)、という回答が得られ、対人関係また、生活リズムに対するニーズを持った利用者が多い結果となった。同時にこの他にも、自分に自信をつける・悩み事により気分や調子を大きく崩さないようにするため・目標を立てるためなど個人個人違った様々な回答を得ることが出来た。<BR> 外来作業療法利用者の意見としては、最も多かったものが、作品が出来る楽しみのため(33.3%)、次いで、活動がしたいから・気分転換のため・暇だから・人に会うため(16.7%)という回答となり、主に作業活動に対するニーズを持っているとの結果であった。<BR>【考察】<BR> 今回、デイケア利用者の回答より抽出されたカテゴリーとして対人関係に対するニーズが最も多いことが明らかとなり、デイケアが利用者にとって他者との交流の場であると認識されていることが示された。デイケアは、設定された6時間という時間を他者と共有することとなり、集団での活動もあるため、集団を意識する機会が多かったことがこのような結果につながったと考えられる。加えて、交流の中で、他者からの承認と自己確認・模倣修正による自己確立などの作用が働いていることも大きいと考える。変わって、外来作業療法利用者は、作業活動に対するニーズが多いことが分かった。この結果より、利用者にとって活動の場として認識されていることが示された。外来作業療法はパラレルな場であり、場における普遍的体験をともなう安心・安全感の保障、自我を脅かされず自己愛を満たす機会となるなどの効用も結果につながったと考える。加えて、その中で、作業活動に伴う発散や達成感、有能感の充足などの作用が結果に関係していると考えられる。

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