著者
中尾 善明 高田橋 篤史 鎗田 勝 藤元 登四郎 田村 俊世
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.805-814, 2011-12-10 (Released:2012-04-10)
参考文献数
19

Remarkable progress in cognitive neuroscience has revealed the involvement of the prefrontal cortex and the orbitofrontal cortex in human working memory, but the orbitofrontal cortex is still one of the least understood regions in the human brain. To elucidate the contribution of the orbitofrontal cortex to human working memory, we studied EEG P300 activity in n-back task. We elicited early P3 around 300 ms and late P3 around 360 ms of P300 components in n-back ERP. The amplitudes of the respective peaks changed depending on the working memory load (0-back, 1-back, 2-back, 3-back). We used source analysis to evaluate the orbitofrontal cortex in P3 components. A source model was constructed with the sources seeded from fMRI meta-analysis of n-back task and additional sources in the orbitofrontal cortex and the visual cortex estimated with P100 and late P3 components in the n-back ERP. This source model had more than 99% of GOF (goodness of fit) in n-back ERP. It gave us an insight of brain activity at the positions where sources existed. Early P3 was mainly produced by the dorsolateral prefrontal cortex, the ventrolateral prefrontal cortex, the inferior parietal lobule, the medial posterior parietal and the visual cortex. Late P3 was mainly produced by the medial premotor, the lateral premotor, the frontal pole and the orbitofrontal cortex. The contribution of the frontal pole and the orbitofrontal cortex had peaks around 390 ms which were later than late P3 component. In this study, the method to evaluate the orbitofrontal cortex activity in n-back ERP was provided. Our results elicited the involvement of the orbitofrontal cortex in late P3 component of n-back ERP.
著者
小嶋 亜美 四本 伸成 薬師寺 京子 永山 弓子 芝 圭一郎 松崎 裕史 手島 茉李 東 祐二 藤元 登四郎
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.31, 2009

【はじめに】<BR> 当院では精神科医療に関わる多くの専門職がそれぞれの専門分野で対象者と接し,退院支援を行なっている.今回,多職種が関わる精神科医療の中で,それぞれの専門性を最大限に尊重した医療チームを形成し,作業療法士(以下OT)としてどのような役割を担っていくかを検討する為にアンケート調査を実施し,他部門がOTに求める退院支援の取り組みの把握と今後の課題について報告する.<BR>【対象と方法】<BR> 当院に勤める医師3名,看護師39名,精神保健福祉士6名,臨床心理士3名,薬剤師2名,管理栄養士3名,OT7名にアンケートを依頼し,回答を得た63名を調査対象とした.アンケート用紙を直接配布し,目的と内容に説明を加えた上で記入をしてもらい,後日回収した.質問項目は1.スムーズな連携の為に必要な事を記述式で行った.2.他部門からOTに求める退院支援,連携を強めたい退院支援について30項目の選択肢を設け,チェック式で行った.また,30項目はICFのカテゴリーに分けて分類した.<BR>【結果】<BR> アンケートの結果,1.スムーズな連携の為に必要な事として1.情報共有,2.スタッフ間の信頼関係,3. 方向性の統一の順で多く挙げられていた.2.OTに求められている退院支援として,ICFの活動と参加の項目が中心となっていた.その中でも,身辺処理(排泄,入浴,食事,身だしなみ,服装など),基本的交流(挨拶,常識的なマナー),言語的交流(表現,主張,断り方,聞き方など),社会資源(交通機関,公共施設)の利用,作業能力(集中力,持続力など)について,特に期待されていた.また,それらの項目は,OTを含め,看護師,精神保健福祉士も,重要視して支援を行なっている部分であった.<BR>【考察】<BR> 結果より,スムーズな連携の為に必要な項目が挙げられたが,その為には連携の鍵となるカンファレンスやマネジメントする役割が重要である.当院では,退院支援の中で看護師を中心とした多職種との合同カンファレンスが行なわれている.そのような場において,OTとして他部門から期待されている項目である身辺処理,基本的交流,言語的交流,社会資源の利用,作業能力についての情報を積極的に提供,共有していかなければならないと考えた.多職種がお互いに重要視している項目を把握し,専門家として情報を提供することにより,マネジメントを担っている看護師のサポートとなり得ると考えられる.今回のアンケート調査の結果を踏まえ,実際に退院支援を行なっていく中で出てくる問題点や課題を見つけていき,地域へ移行する対象者へのよりよい支援を提供できればと考える.
著者
濱尾 玲早 四本 伸成 薬師寺 京子 玉島 亜希子 永山 弓子 芝 圭一郎 東 祐二 藤元 登四郎
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.113, 2007

【目的】<BR> 本研究の目的は、当院デイケア・外来作業療法利用者に対しアンケートを作成し、同意の得られた利用者に回答を頂く。アンケート結果より、利用者側のニーズを明らかにすることにある。<BR>【対象】<BR> 当院デイケア・外来作業療法利用者を対象として実施した。内訳はデイケア利用者男性18名、女性8名計26名(平均年齢44.5±10.1歳)と外来作業療法利用者男性3名、女性1名計4名(平均年齢46.5±9.5歳)である。<BR>【方法】<BR> アンケートは「(デイケア・外来作業療法)にどのような目的を持って参加していますか」という質問に対し、同意の得られた対象者のみ無記名にて回答してもらった。利用者の言葉で答えられるよう、自由記載の形とした。実施期間は、平成19年2月6日~4月10日で、利用者の参加日に記載してもらった。結果からいくつかのカテゴリーを抽出した。<BR>【結果】<BR> アンケートの回答より、得られた結果を意見の多かったものより記載する。<BR> デイケア利用者の意見として、最も多かったものは、人と仲良くなるため(26.9%)、次いで、規則正しい生活を送るため・生活リズムを作るため(11.5%)、友達を作るため・手工芸(活動)のため(7.7%)、という回答が得られ、対人関係また、生活リズムに対するニーズを持った利用者が多い結果となった。同時にこの他にも、自分に自信をつける・悩み事により気分や調子を大きく崩さないようにするため・目標を立てるためなど個人個人違った様々な回答を得ることが出来た。<BR> 外来作業療法利用者の意見としては、最も多かったものが、作品が出来る楽しみのため(33.3%)、次いで、活動がしたいから・気分転換のため・暇だから・人に会うため(16.7%)という回答となり、主に作業活動に対するニーズを持っているとの結果であった。<BR>【考察】<BR> 今回、デイケア利用者の回答より抽出されたカテゴリーとして対人関係に対するニーズが最も多いことが明らかとなり、デイケアが利用者にとって他者との交流の場であると認識されていることが示された。デイケアは、設定された6時間という時間を他者と共有することとなり、集団での活動もあるため、集団を意識する機会が多かったことがこのような結果につながったと考えられる。加えて、交流の中で、他者からの承認と自己確認・模倣修正による自己確立などの作用が働いていることも大きいと考える。変わって、外来作業療法利用者は、作業活動に対するニーズが多いことが分かった。この結果より、利用者にとって活動の場として認識されていることが示された。外来作業療法はパラレルな場であり、場における普遍的体験をともなう安心・安全感の保障、自我を脅かされず自己愛を満たす機会となるなどの効用も結果につながったと考える。加えて、その中で、作業活動に伴う発散や達成感、有能感の充足などの作用が結果に関係していると考えられる。
著者
廣岡 佳苗 徳留 武史 津曲 優子 緒方 匡 藤元 登四郎
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.205, 2016

<p>【はじめに】</p><p>今回、心原性脳塞栓症を発症し、軽度右片麻痺と失語の影響でPC操作や電話応対が困難となった症例を担当した。職場との連携により、スムーズな復職が可能となったため報告する。</p><p>【事例紹介】</p><p>40歳代男性。妻、子供3人との5人暮らし。看護師副主任としてPCでの薬の管理、電話応対などを行っていた。心原性脳塞栓症を発症し、急性期病院にて保存的に加療され、リハ目的にて当院に転院となった。初期評価時は発症後18日、右片麻痺、失語を呈していた。WAIS-Rは動作性IQ 82、言語性IQ は評価困難、SLTAは聴理解で仮名4割、複雑文0割、視理解は仮名10割、複雑文8割、音読は仮名、単語0割で喚語困難を認めた。デマンドは「家族のために早く復職したい」であった。右のBrunnstrom stage(以下Br. stage)は上肢Ⅵ、手指Ⅴ、下肢Ⅵ、STEFは右87/100点、左91点、FIMは123/126点であった。</p><p>【作業療法計画】</p><p>復職には、日常の会話、PC操作、電話応対が必要であるが、失語や右手指の巧緻性の低下により困難な状況であった。回復期であるため、機能訓練として促通反復療法、動作訓練としてPC操作、電話応対訓練を実施した。</p><p>【結果及び考察】</p><p>訓練開始から1カ月は上肢機能訓練を中心に実施した。その結果、Br. stageは右手指Ⅵ、STEFは両側100点と巧緻性はPC操作に問題ないレベルとなった。日常会話は単語や短文であれば発話にて可能となった。この頃、本人からは「今でも仕事はできる、早く復職したい」との発言があり、休職の長期化が復職を困難にするという不安が生じていることが考えられた。2カ月後、職場の上司と情報交換し、以前の仕事が部分的に行えれば復職可能との情報を得た。視理解と上肢機能が良好であること、メモの使用が可能であることや簡単な日常会話は口頭で可能になったことから、PC操作と電話応対訓練を開始した。PC操作は、処方箋にある薬の選択を音読して確認する方法で模擬的に行った。訓練初期には、3/5の選択課題で時間を要していた。この頃、SLTAでの音読は0割で、喚語困難が影響していたことが考えられる。2カ月後、10/25の選択を5分以内で実施することが可能となった。SLTAの音読は10割と改善を認め、喚語困難の改善と反復による動作学習により時間短縮が可能となったことが考えられる。電話応対では、「ついたち」など日にちの読み方の理解が困難であったため、電話応対課題は日付を中心に実施した。その際、本人にとって理解可能な単語に変換して確認することとし、その都度フィードバックを行った。6カ月後、WAIS-Rは年齢平均値まで改善、SLTAは聴理解で仮名9割、複雑文6割、視理解は複雑文9割、音読は仮名、単語10割に改善した。電話応対は模擬的な面会日程のやりとりが可能となり、この頃、「自分でも仕事で問題となるところが分かってきた」との発言があった。このことから、フィードバックにより、気づきを促したことと、理解困難な単語については、本人が理解可能なものに変換して復唱することを提案したことで電話応対が可能になったと考える。訓練開始から6カ月後、外来リハへ移行した。本人や関連職種と話し合い、まずは半日出勤で電話応対、簡単な書類記載をする形で復職することとなった。以上のことから、復職をよりスムーズにするためには、早期から職場と情報交換し、対象者の状況について職場の理解を深めること、職場の意向を確認すること、復職に必要な条件に対して集中的にアプローチすることが重要であることが示唆された。</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>本報告について本人に説明し同意を得た。</p>
著者
貴嶋 芳文 木山 良二 大重 匡 前田 哲男 湯地 忠彦 東 祐二 藤元 登四郎 関根 正樹 田村 俊世
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.41 Suppl. No.2 (第49回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1505, 2014 (Released:2014-05-09)

【はじめに,目的】脳卒中片麻痺者の自立歩行獲得は,リハビリテーションにおける目標の一つであり,早期の自立歩行獲得は歩行機会を増加させ,さらなる身体機能の向上や生活空間の拡大に繋がると考えられる。諸家により,歩行能力の客観的な評価として,加速度センサを用いた検討が報告されている。我々はこれまでの横断的な研究で,加速度センサを用いた評価が,脳卒中片麻痺者の歩行自立度の判定に有用であること,麻痺の程度により歩行自立度に関与する要因が異なることを報告した。しかし,脳卒中片麻痺者の回復に伴う,歩行中の加速度の変化を縦断的に検討した報告は少ない。そこで本研究では,歩行非自立時(要監視)と歩行自立時における,歩行中の腰部および大腿部の加速度の差を比較し,歩行自立度の変化に伴う,歩行中の加速度の変化を明らかにすることを目的とした。【方法】対象は,脳卒中片麻痺者18名(Br. Stage IV8名,V10名,右片麻痺10名,左片麻痺8名,男性12名,女性6名,平均年齢68±7歳)であった。加速度センサは,対象者の腰部と両大腿部にそれぞれベルクロを用いて装着した。対象者は,室内16mの直進路を快適速度で2回歩行し,中央10mを解析対象区間とした。10m解析区間から定常状態である中央の3歩行周期を抽出し,得られた加速度のデータより,腰部と両大腿部のRoot Mean Square(RMS),自己相関係数(定常性)を算出した。また,10m歩行速度,Berg Balance Scale(BBS),Fugl-Meyer Assessment(FMA)を測定した。計測は,上肢による支持なしで16mの歩行が可能となった時期(歩行非自立時)と,病棟での歩行が許可された時期(歩行自立時)の2回行った。歩行自立時と非自立時の各指標を,対応のあるt検定を用い比較した。また,加速度のセンサから得られた指標については,Br. Stage毎に比較した。すべての統計解析は,統計ソフトR(2.8.1)を用い,統計学的な有意水準は5%とした。【倫理的配慮,説明と同意】本計測の際には,当該施設の倫理委員会の承認並びに対象者自身からのインフォームドコンセントを得た後,実施した。【結果】歩行速度(P=000),BBS(P=000),FMA(P=000)は非自立時に比べ,自立時で有意に高値を示した。自己相関係数も同様に,非自立時に比べ自立時に高い値を示し,歩行の定常性が改善していることが示された。有意な差の認められた項目は,Br. Stage IVでは腰部の前後(P=000)・上下成分(P=000),麻痺側大腿部の左右成分(P=000),非麻痺側大腿部の前後(P=000)・上下成分(P=000)において有意な差を認め,Br. Stage Vでは腰部の上下成分のみ有意な差を認めた(P=000)。またRMSにも有意な増加を認め,Br. StageIVでは腰部前後成分(P=000),麻痺側大腿部前後(P=000)・左右(P=000)・上下成分(P=000),非麻痺側大腿部左右成分(P=000)で有意に高い値を示した。Br. Stage Vでは非麻痺側大腿部左右成分を除くすべてにおいて有意な差を認めた(P<000)。【考察】今回の結果では,バランス能力や麻痺の改善に伴い,歩行自立度,歩行速度が向上し,それに伴い,歩行中の加速度のRMSおよび,自己相関係数が改善していた。しかし,麻痺の程度により,差がある指標が異なり,歩行自立度に関与する要因が異なることが示唆された。麻痺が重度であるBr. Stage IVでは,非自立時と自立時の比較において,腰部・両大腿部の自己相関係数が増加した指標が多く,歩行の定常性が,歩行の自立に大きな影響を与えることが示唆された。一方で,Br. Stage Vでは,非麻痺側大腿部左右成分を除くすべてのRMSで有意な増加を示したのに対し,自己相関係数の増加は腰部の上下成分のみであり,歩行の定常性が歩行自立度に与える影響は小さいと考えられた。【理学療法学研究としての意義】先行研究による歩行分析は,腰部加速度センサのみを使用したものや横断研究が多く報告されているが,本研究により回復過程における被験者内の腰部・大腿部加速度変化を調査することで,自立歩行獲得時にどのような加速度成分に変化があったかを把握することができ,Br. Stageに応じた歩行評価や治療効果判定指標となる可能性がある。
著者
桑江 豊 三好 寿顕 関根 正樹 辻 美和 藤元 登四郎 田村 俊世
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.535-542, 2012-12-10 (Released:2013-07-31)
参考文献数
17

This study was performed to examine the effects of weekly exercise in subjects classified as support_1 according to the Japanese health care insurance system. We evaluated the ability of eight elderly subjects to walk using wireless inertia sensors with an embedded triaxial accelerometer and angular velocity sensor. The subjects participated in training once a week and were evaluated once a month over a study period of 3 months. Wearable motion sensors were attached to the lower back and both thighs of each subject. The subjects performed high-performance walking over a distance of 10 m. The speed, cadence, gait cycle, thigh pitch angle, and autocorrelation function on the lower back were determined. The subjects attained high-performance walking sooner after 3 months. Although most of the subjects showed an improvement in walking ability, there were no significant improvements in the cadence gait cycle or autocorrelation function. Exercise once a week can significantly improve the ability of elderly subjects to walk. Thus, home exercise is recommended to improve walking ability in the elderly.
著者
中島 一樹 南部 雅幸 辻 美和 秋廣 みどり 東 祐二 藤元 登四郎 田村 俊世 佐々木 和男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.81, pp.59-64, 2003-05-16

看護学校学生(36名)、民間病院の医療従事者(30名)および民間病院の外来患者とその家族(28名)に対し、コンピュータシステムの利用に関する意識調査を行った。さらに60歳から70歳までの高齢者に対して延べ20回の絵文字パスワードと数字の組み合わせによる暗証番号とによりログインの試行を行い、認証の成功率、および使用感の聞き取り調査を行った。これらの結果、数値よりも絵文字によるパスワードの成功率が高かったが、数値入力の方がわかりやすいとの意見が聞かれた。また、若年者と高齢者の双方で同等のパスワードの成功率が得られた。絵文字を個人に関係のある写真に変更した場合、パスワードとしての成功率は向上したが、他人によるなりすましも容易であることが確認された。