著者
橋本 優子
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.151, 2011

【はじめに】<BR> 元来,デイケアとデイサービスの役割はリハ機能の有無によって違いがあった.しかし平成18年4月の介護報酬の改定後,デイサービスに理学療法士などの配置による運動機能向上加算が算定出来るようになったことによってデイサービスにおける理学療法士の職域が拡大されることとなった.<BR> 一方,デイサービスにおける理学療法士の業務や役割は一般的に知られていないことが多く,理学療法以外の業務も多くあることから就職後理想とのギャップを感じることも少なくない.そのため,デイサービスにおける理学療法士の役割を示すことで,やりがいや目的を持つための参考となるべく報告する.<BR>【PTの主な業務内容】<BR> 1送迎,2車の昇降や歩行介助,3バイタル測定,4お茶出し,5体操,6個別機能訓練,7食事評価・指導,8入浴指導,9排泄介助,10レクリエーション,11ケアマネへの状態連絡・経過報告,12ご家族への介護・生活指導,13介助方法の評価と他スタッフへの指導<BR>【デイサービスの特徴】<BR> 特徴は三つ挙げられる.一つ目はご利用者のニーズが様々である.社会交流・閉じこもり防止,入浴,食事,機能訓練,家族のレスパイトなどである.<BR> 二つ目は,各施設によって特徴が異なることである.レクリエーション,入浴,食事,機能訓練など特化しているサービスが各施設で異なるため,ご利用者が自分のニーズに合った施設を選択出来る.<BR> 三つ目は,医師や常勤看護師不在という医療機関と異なる環境であり,セラピストの人数も少数である.<BR>【考察】<BR> デイサービスでは医療機関と異なった環境であり理学療法士に求められるものも当然違ってくる.デイサービスではご利用者のニーズが様々であり,身体機能に留まらずADLなどの幅広い視点が必要である.理学療法のみに固執しない生活全般やデイサービスでの過ごし方をトータルで考える視点が求められる.<BR> 医師や常勤看護師不在という医療機関と大きく違う環境であるため,高齢者特有の疾患や病態を踏まえた医学的管理の視点を持つことが必要である.心身の状態変化を評価できケアマネ・医療機関へ迅速に連携する必要がある.<BR> また,各施設で特徴が異なりセラピストの人数も少数であるため,何を特徴としセラピストに何を求めているかを確認してから就職する必要がある.<BR>【まとめ】<BR> デイサービスにおける理学療法士の役割は,ご利用者だけでなくその家族や他のスタッフへの働きかけなど様々である.そのため,専門職として身体機能に限らず生活全体を評価しマネジメントを行い,本人や家族の意向を尊重しながら関連職種と連携を図り生活を支援していくということが必要である.このことを充分に理解していれば,デイサービスでも理学療法士は能力を発揮し,職域拡大へと繋がっていくと思われる.

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