著者
坪井 直
出版者
Journal of Radiation Research 編集委員会
雑誌
日本放射線影響学会大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.49, 2009

1. 仰天の原爆に遭遇 ―過去―<br>当時私は20歳の学生で、爆心地から約1kmの街路上で被爆した。その瞬間10mも吹き飛ばされて気を失った。意識が蘇ったとき、周囲は真っ暗だった。ほとんど全身を火傷し、僅かに残った衣服もボロボロのまま、家屋の全壊や火の海となった街中をさまよい続けた。阿鼻叫喚、死臭漂う「この世の地獄」を見た。広島はその時死んだ。私は1週間後、仮の避難所で意識不明となり、その後約40日間の出来事は一切記憶にない。<br>今まで11回の入退院を繰り返し、危篤状態も3度あり死を待つばかりだった。病歴は、慢性再生不良貧血症(現在)、虚血性心疾患(現在)、大腸がん、ヘルペス、白内障、前立腺がん(現在)など。毎日6種類の薬剤と2週間に1度の点滴治療をしている。精神的な不安・苦しみが深く潜行している被爆者も多い。<br>2. かけがえのない命 ―現在―<br>各分野の医師の方々や、識者、先輩、知人、友人、家族の配慮と支えを受け、体調を考えながら国の内外で「核兵器廃絶」を基調にしながら平和活動を行っている。北海道を始め、各地での集会に招待され、主催者も自治体、学校、労組、協同組合、若者グループ、女性グループなどで老若男女さまざまな交流をする。<br>また、海外での活動にも微力を尽くしている。NGO、国際会議、平和市民団体集会、核実験抗議等に参加、原爆展とともに交流を広めている。<br>3. 恒久平和確立の悲願 ―未来―<br>世界の核被害者の心身にわたる諸問題解決に貢献している放影研の研究がなお一層期待される。<br>核兵器の廃棄か、核兵器拡大か。地球は繁栄か、滅亡か、まさに岐路に立っている。<br>私たちは、歴史や文化、民族などの違いを認め合い、政治、経済、教育、宗教、国境など乗り越えて真の平和を保障しなければならない。<br>わたしたちはあきらめません! Never give up!

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こんな論文どうですか? 死線をさまよいながら(坪井 直),2009 https://t.co/sgZWArOwxh 1. 仰天の原爆に遭遇 ―過去―<br>当時私は20歳の学生で、爆心地から約1kmの街路上で被爆した。その瞬間10mも吹き飛ばされ…
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