著者
吹春 俊光
出版者
日本菌学会
雑誌
日本菌学会大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.45, 2008

"維管束植物は外側と内側が反転した地衣類である"といわれるように,陸上植物は菌類との共生の上で生存し,陸上生態系で菌の存在は無視できない.北半球では外生菌根性植物であるブナ科,マツ科,カバノキ科が主要な植物景観の構成要素であるが,従来,植生の変遷や景観の変遷が,菌根の側から説明されたことはなかった.提案する「菌根型からみた植生景観変遷モデル」は,菌根の立場で,植物景観や植生の変遷を説明するものである. 図の説明:a.有史以前:人為的な行為の無い森林.山の尾根から斜面にかけて外生菌根型の樹種(ブナ科,マツ科,カバノキ科)が優占する.VA型の樹種はその斜面にスポット的に混在する.b.里山(~1959):人は山のふもとに集落をつくり,集落の背後の谷筋にはVA型のスギなどを植えた.またその他の場所では,コナラ林やマツ林などの人為二次林である里山が成立した.景観としてはまだ外生菌根性樹種が多い.c.現在:尾根の上などの乾いた立地にまでVA型の樹種の植林がある.尾根や稜線にかろうじて外生菌根型の樹種が残された.かつては,北半球のほとんどを覆い尽くした外生菌根型の森は,この景観の中では消滅寸前である.

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