- 著者
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工藤 伸一
長沢 栄史
- 出版者
- 日本菌学会
- 雑誌
- 日本菌学会大会講演要旨集
- 巻号頁・発行日
- vol.50, pp.33, 2006
青森市郊外のスギ植林地内草地で採集された2種のきのこを調査した結果,それぞれアカヤマタケ属のアカヤマタケ節(sect. <I>Hygrocybe</I>)およびベニヤマタケ節(sect. <I>Coccineae</I>)に所属する新種と考えられたので報告する. 1)<I>Hygrocybe niveoconica</I> (sp. nov.)_-_トガリユキヤマタケ(新称):子実体は中形で,全体が淡クリーム白色_から_白色.傘は平滑,湿時弱い粘性あり,初め円錐状鐘形,のち開くが中央突出する.ひだは柄に湾生し狭幅,やや密.柄は細長く,基部で多少細まり,中空.表面は平滑.胞子は楕円形,7_-_10×5_-_7μm.担子器は通常4胞子性,ときに2胞子性.アカヤマタケ節に所属し,アケボノタケ <I>H. calyptriformis</I> (Berk.& Br.) Fayodに最も近縁と考えられる.しかし,同種は傘がライラック色を帯び,胞子が6.5_-_7.5×4_-_5μmと小形,また側および縁シスチジアをもつなどの点で異なる.外観的には北アメリカの <I>H. pura</I> (Peck) Murrill(ナナイロヌメリタケ節 sect. <I>Subglutinosae</I>)にも多少似るが,同種は柄に強い粘性があり,また傘および柄の傷んだところがピンク色を帯びると言われている (Hesler & Smith, 1963).2)<I>Hygrocybe ramentacea</I> (sp.nov.)_-_クロゲヤマタケ(新称):子実体は中形.傘は黄色の地に暗褐色の顕著な繊維状小鱗片を生じ,初めやや円錐状丸山形,のち開いて中高の平らとなる.ひだは直生_から_上生あるいは多少垂生し,広幅,疎,淡黄色.柄は下方で多少太まり,中空.表面は黄色,基部で淡黄白色,繊維状.胞子は楕円形_から_長楕円形,8_-_11(_-_13)×5.5_-_7(_-_8)μm.担子器は4胞子性.側および縁シスチジアをもつ.ベニヤマタケ節に所属し,小笠原の母島から報告のあるクロゲキヤマタケ <I>H. hahashimensis</I> (Hongo) Hongoに極めて近縁な種と考えられる.しかし,同種は胞子が7_-_9.5×4.5_-_6.5μmと小形,縁および側シスチジアを欠くと言われている(本郷, 1987).