著者
廣岡 裕吏 小林 享夫
出版者
日本菌学会
雑誌
日本菌学会大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.51, pp.69, 2007

<I>Cosmospora</I>属菌は,<I>Nectria</I>属<I>Dialonectria</I>亜属(Samuels et al. 1991)を1999年にRossmanらが属へ昇格させたHypocrea目,Nectria科の1属である.現在,本属菌のアナモルフは,5属が知られておりアナモルフとテレオモルフの一元化には至っていない.演者らは,日本で未記録の<I>Fusarium</I>アナモルフを持つ<I>Cosmospora</I>属菌2種を確認したので報告する.1. <I>Cosmospora</I> sp. (アナモルフ: <I>Fusarium</I> sp.): 東京都西多摩郡奥多摩町および宮城県宮城郡利府町の枯れ枝より採集,子のう殻は孔口部に短い付属糸を持ち薄いオレンジ色で,子のう胞子は表面に小疣があり,大きさ8-12 × 4-5μmである.アナモルフはSNA(暗黒下)上でポリフィアリディックの分生子形成細胞から鎌形で末端に脚胞があり,1-3隔壁を持つ大きさ22-46 × 2.5-3μmの分生子(大分生子)を豊富に形成した.無隔壁で紡錘形などの特徴を持つ小型の分生子(小分生子)は形成されない.本菌は両世代ともこれまで記録が無く新種と考えられる.2. <I>Cosmospora</I> <I>pseudoflavoviridis</I> (Lowen & Samuels) Rossman & Samuels (アナモルフ: <I>Fusarium</I> sp.): 宮城県宮城郡利府町の落枝より採集,子のう殻は孔口部に付属糸を持ち赤色で,子のう胞子は表面に疣があり,大きさ10-20 × 5-8μmである.アナモルフはSNA(BLB照射下)上でモノフィアリディックの分生子形成細胞から鎌形で末端に脚胞があり,1-5隔壁を持つ大きさ10-57 × 2.5-5μmの大分生子と短い棍棒形から楕円形で大きさ3-20 × 2-4μmの小分生子を豊富に形成した.また,長さ52-135μmの分生子柄を立ち上げた.本菌のアナモルフは,これまで<I>Fusarium</I> cf. <I>melanochlorum</I> Casp. と記録されていたが,極端に長い分生子柄を立ち上げるため新種と考えられる.

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