- 著者
-
永井 伸幸
- 出版者
- 日本ロービジョン学会
- 雑誌
- 日本ロービジョン学会学術総会プログラム・抄録集
- 巻号頁・発行日
- vol.7, pp.59, 2006
目的<BR>筆者は以前、弱視者が主観的に選択する文字サイズと客観的評価から推定される適した文字サイズの違いについて研究を行った。その結果、主観的に選択された文字サイズが、客観的評価の結果と比べて大きくなる傾向にあった<SUP>1)</SUP>。しかし、その後、臨界文字サイズに近い文字サイズを選ぶ者もみられたため、さらに詳細な検討を進めることとした。そこでまず、この研究を更に推進するにあたり、文字サイズの主観的選択方法について検討した。<BR>方法<BR>被験者:以前の研究にも参加した弱視者2名であった。手続き:被験者の眼前30 cmに設置されたCRTディスプレイ上に、1行10文字3行の文章(文の一部を含む)を提示した。文字サイズは、前回の研究で把握した好みの文字サイズの5倍以上(80ポイント前後)あるいは1/2以下(7ポイント前後)の大きさで提示された。被験者はキーボードの上下カーソルキーあるいは画面上の上下ボタンをマウスでクリックすることで、文字サイズを自分が読みやすいと思う文字サイズに調整した。<BR>結果<BR>1名の被験者は、前回の研究とほぼ同じ文字サイズ(約1.0logMAR)を選択したが、もう1名は、約1.0logMARから約1.4logMARへと選択文字サイズが大きくなった。この結果は、同一の目的のための測定でも方法によって被験者内にも差異が生じるおそれがあることを意味している。このことについては、さらに分析を進めたい。また、両被験者とも、選択する文字サイズに一定の範囲があることが示された。<BR><SUP>1)</SUP>Nagai, N(2005)Difference of reading performance in subject selected condition and in reading chart, VISION2005 International Conference on Low Vision abstract CD.