著者
加藤 宏 青木 和子 永井 伸幸 近藤 邦夫
出版者
筑波技術短期大学学術・社会貢献推進委員会
雑誌
筑波技術短期大学テクノレポート (ISSN:13417142)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.7-13, 2005

重度視覚障害者に対する学力判定試験として音声による試験の可能性を検討するために英語と国語問題の試行試験を行った.点字触読技能を十分に習得していない重度視覚障害学生のためのリスニングによる試験方法を検討するためである.問題はコンピュータの合成音声,デジタル・ボイスレコーダで録音した肉声をパソコン再生,DAISY レコーダの3方式で提示された.科目は英語の語彙力テスト,英語読解問題と国語の読解問題であった.いずれの形式でも視覚障害者は音声のみで回答可能であり,試験における特別措置の方法としての可能性が示唆された.解答所要時間は問題録音時間の1.1 倍から2.6 倍要した.点字や墨字試験との比較を行い特別措置としての標準化研究が必要である.
著者
永井 伸幸
出版者
日本ロービジョン学会
雑誌
日本ロービジョン学会学術総会プログラム・抄録集
巻号頁・発行日
vol.7, pp.59, 2006

目的<BR>筆者は以前、弱視者が主観的に選択する文字サイズと客観的評価から推定される適した文字サイズの違いについて研究を行った。その結果、主観的に選択された文字サイズが、客観的評価の結果と比べて大きくなる傾向にあった<SUP>1)</SUP>。しかし、その後、臨界文字サイズに近い文字サイズを選ぶ者もみられたため、さらに詳細な検討を進めることとした。そこでまず、この研究を更に推進するにあたり、文字サイズの主観的選択方法について検討した。<BR>方法<BR>被験者:以前の研究にも参加した弱視者2名であった。手続き:被験者の眼前30 cmに設置されたCRTディスプレイ上に、1行10文字3行の文章(文の一部を含む)を提示した。文字サイズは、前回の研究で把握した好みの文字サイズの5倍以上(80ポイント前後)あるいは1/2以下(7ポイント前後)の大きさで提示された。被験者はキーボードの上下カーソルキーあるいは画面上の上下ボタンをマウスでクリックすることで、文字サイズを自分が読みやすいと思う文字サイズに調整した。<BR>結果<BR>1名の被験者は、前回の研究とほぼ同じ文字サイズ(約1.0logMAR)を選択したが、もう1名は、約1.0logMARから約1.4logMARへと選択文字サイズが大きくなった。この結果は、同一の目的のための測定でも方法によって被験者内にも差異が生じるおそれがあることを意味している。このことについては、さらに分析を進めたい。また、両被験者とも、選択する文字サイズに一定の範囲があることが示された。<BR><SUP>1)</SUP>Nagai, N(2005)Difference of reading performance in subject selected condition and in reading chart, VISION2005 International Conference on Low Vision abstract CD.
著者
永井 伸幸
出版者
宮城教育大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、画面表示と印刷物における弱視者の読書の特徴について調べ、電子教科書を弱視児が使うという観点から考察することを目的とした。画面では顔を近づけても読む面が暗くならないことの影響について検討し、また、印刷物とタブレット端末の読書における視距離や頭、眼や手の動き、動かし方について比較検討した。その結果、弱視児者のタブレット端末による読書行動は、印刷物の場合と変わらないこと、つまり電子教科書でも従来の教科書同じように読書を行えると考えられた。さらに、読む面が暗くならないことにより、負担感無くより小さな文字サイズで読書を行えること、簡単に白黒反転できることの利点が考えられた。
著者
青木 成美 中野 泰志 永井 伸幸 猪平 真理
出版者
宮城教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

成人弱視者の視覚補助具の活用経験について、質問紙調査と面接調査を行った。その結果、弱視レンズを活用してきた者が最も多く、拡大読書器を活用してきた者が次に多いことがわかった。また、必要に応じて活用する補助具を変更した弱視者もおり、その際に専門家だけでなく弱視当事者の意見を参考にしていた。3 年間の調査研究の結果、 弱視者が自らの視覚補助具活用経験を生かし、他の弱視者を支援するためのプログラム作成の基礎データが収集できた。
著者
中野 泰志 佐島 毅 小林 秀之 氏間 和仁 永井 伸幸
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

拡大教科書を選定するための評価方法は確立されておらず、適切な教科書の選択がなされていない。そこで、拡大教科書を利用する際の諸条件が読書の効率に及ぼす影響を明らかにした上で、拡大教科書選定支援のための検査バッテリーを試作した。また、試作した検査バッテリーの有効性を検討するために、試用調査を実施した。さらに、本検査バッテリーを非専門家が簡便に利用できるようにするためのマニュアルを作成し、拡大教科書を利用している弱視児童生徒の担任教員に配布した。