著者
山岸 好子 立屋敷 かおる 今泉 和彦
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.15, pp.115, 2003

<B>【目的】</B>小・中学生の箸の持ち方は、個人差が大きいこと、多様性があること、伝統的に正しいとされる持ち方(くの字持ち)が少ないこと、が知られている。一方、箸の持ち方と類似している字を書く際の鉛筆の持ち方にも多様性のあることが知られているが、それらの実態については十分明確にされていない。そこで、私達は現在の小・中学生における箸と鉛筆の各々の持ち方をしらべ、さらにそれらの持ち方の関連性を明らかにするため検討した。<BR><B>【方法】</B>公立の小学校2年生(小2)、5年生(小5)および中学校2年生(中2)の計160名を対象とし、給食時の箸の持ち方、平仮名をなぞる時の鉛筆の持ち方をDigital video cameraで撮影した。対象者の各動作を分析した後、各自の箸と鉛筆の各持ち方を類型化した。箸と鉛筆の各持ち方のパターンの人数とその割合を学年別、性別および対象者全体で比較・検討した。さらに、箸の持ち方と鉛筆の持ち方との関連性をしらべた。<BR><B>【結果】</B>箸がくの字持ちと判定された割合は、小2で約11%、小5で約26%、中2で約35%であり、学年が高くなると共に明らかに増加した。一方、鉛筆の正しいとされる持ち方(普通持ち)は学年に関係なく約42%であった。また、各学年共に鉛筆の普通持ちと判定された割合は箸のくの字持ちの割合より高く、全対象者における正しいとされる持ち方は箸が鉛筆の約1/2であった。また、箸と鉛筆が共に正しいとされる持ち方と判定された割合は、中2が小2および小5に比べて約3倍高かった。以上の結果から、箸の持ち方は鉛筆の持ち方より遅れて確立される可能性、および箸の持ち方がくの字持ちへと変化するのは小学校高学年から中学生であることが示唆された。

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