著者
高橋 優樹
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.47, 2008

<BR>1.はじめに<BR> 本研究は,詳細な空間スケールにおける,世帯あたり自動車保有台数と車種別自動車数の分布の地域的な差異を明らかにすることを目的としている.本研究の対象地域としては,埼玉県南部地域(旧浦和・旧与野・旧大宮・戸田・蕨・鳩ヶ谷・川口)を取り上げた.本地域は東京のベッドタウンとして発展してきた経緯から,現在では東京大都市圏の北部を成しており,人口分布や交通・就業機会などの多くの側面において東京へ向かう鉄道網に大きく影響を受けている地域である(高阪・関根,2005).<BR> 自動車台数のデータとして,(財)自動車検査登録情報協会が発行する『町字別自動車保有車両数統計』を用いた.これには,メーカー別・車種別(通称名)・初度登録年別の台数が町字単位で記載されている.<BR>2.世帯あたり自動車保有台数の分析<BR> 国勢調査小地域統計を用いて,世帯あたりの自動車保有台数を求め,第1図に分布を示した.研究地域における平均世帯あたり自動車保有台数は0.91台/世帯であった.世帯あたり自動車保有台数が高い町字は,旧浦和市東部・川口市東部・旧大宮市西部など,郊外に分布がみられる.最高値は,埼玉高速鉄道線 浦和美園駅に近い,旧浦和市東部に位置する旧浦和市大字高畑(2.52台/世帯)であった.世帯あたり自動車保有台数が低い町字は,都市部に分布がみられ,川口市南西部から旧大宮市に向かうJR京浜東北線に沿っておよそ2kmの範囲内に特に密集して分布がみられる.最低値は,JR京浜東北線 蕨駅に近い川口市芝園町(0.31台/世帯)であった.よって,世帯あたり自動車保有台数の分布には「郊外で高く都市部で低い」という傾向が見られ,最高で8.1倍の地域差がみられることが明らかになった.<BR>3.車種グループ別構成割合の分析<BR> 車種別にみた自動車保有台数の地域的差異を明らかにするため,町字別自動車保有車両数統計に含まれる559車種を,価格帯を考慮して3つのグループに分類し,3グループ12車種を研究対象車種とした.<BR> 安価な価格帯(90~150万円)の車種を「普及車グループ」,高価な価格帯(300~450万円)の車種を「国産高級車グループ」,輸入車の車種を「輸入高級車グループ」として,この3グループの分布を第2図に表した.図中の円チャートのサイズは研究対象車種の台数に比例し,チャート内の割合は各車種グループが台数に占める割合を示している.<BR> 研究地域全体でみた各車種グループの構成割合は,普及車グループが48.2%,国産高級車グループが24.6%,輸入高級車グループが27.2%となっている.普及車グループの割合が48.2%より高い町字は,研究地域北部の旧大宮市に多くみられる.国産高級車グループの割合が24.6%より高い町字は,川口市の北東部や戸田市の西部などに多くみられる.輸入高級車グループの割合が27.2%より高い町字は,旧浦和市中心部や蕨市・川口市南西部など,京浜東北線や埼京線に沿った都市部に多くみられる.<BR> 以上のことから,自動車分布を車種別にみると,都市部では輸入高級車が占めるシェアが平均よりも高くなり,郊外では安価な普及車のシェアが高く,川口市東部などの都市部と郊外の中間地域では国産高級車のシェアが高いことが明らかになった.

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こんな論文どうですか? 自動車保有の地域的差異の研究:埼玉県南部地域を事例として(高橋 優樹),2008 https://t.co/r1uVWDda1j <BR>1.はじめに<BR> 本研究は,詳細な空間スケールにおける,世帯あたり自動車保有台数と…
こんな論文どうですか? 自動車保有の地域的差異の研究:埼玉県南部地域を事例として(高橋 優樹),2008 https://t.co/r1uVWDda1j <BR>1.はじめに<BR> 本研究は,詳細な空間スケールにおける,世帯あたり自動車保有台数と…
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