著者
角田 史雄
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.3, 2006

1.荒川地震帯 寄居以南の荒川下流域では、流路ぞいに1649年」(慶安)、1855年(江戸)、1931年(西埼玉)、1968年(東松山)の被害地震(M;マグニチュード=7_から_6)が、ほぼ直線的に配列し、これを荒川地震帯と呼称する。この地震帯の南東延長には、東京湾北部断層と中部千葉の6つの被害地震の震央が分布する。 2.首都圏東部と同西部における被害地震の交互発生 上に述べた被害地震(浅発_から_中深発地震群)の発生深度は50_から_90kmであるが、首都圏西部の富士火山帯ぞいの被害地震(極浅発地震群)の発生深度は30km以浅である。過去400年間では、これら2つの群の被害地震が、交互に発生するケースがめだつ。 3.富士火山帯でのマグマ活動と被害地震の活動との関係 一般に、現在における地変エネルギーの主な放出様式を噴火と地震とすれば、1回あたりの地震の最大Meは、噴火のMv=5_から_6ていどにあたるエネルギーを放出するといわれる。これに基づいて、過去100年間における富士火山帯_から_首都圏での噴火・鳴動・被害地震などの時系列でまとめると、伊豆諸島で噴火の北上(最長20年で、おおよその周期が15_から_6年)→三宅島または大島での噴火の1_から_2ねんごの東関東における極浅発地震の発生→その1_から_2んえごの東関東における浅発_から_中深発地震の発生、という規則性が認められる。 4.震害には、地盤破壊をともなわない強震動震害と、ともなう液状化震害とがある。このうち前者は、被害地震の震央域と、平野の基盤面の断層・段差構造の直上に現れやすい。埼玉県では、過去に、荒川地震帯ぞいの区域、東部の中川流域(とくに清水・堀口(1981)による素荒川構造帯の活断層ゾーン)、関東山地北縁の活断層分布域などに発現した。 5.埼玉県の液状化震害 液状化は、地盤の構成物、地下水の水位レベル、揺れによる地下水圧の急上昇などの条件にしたがって発現する。過去の液状化事例は、利根川中流低地_から_中川流域でよく知られる。 6.震害予測 強震動震害は4.で述べた事例の再発を予測しておく必要がある。液状化震害は、じょうじゅつしたもの以外、神戸の震災例などから、台地区域において地下水面下にある人口地盤の液状化、河川近傍の傾斜した地下水面をもつ区域にpける、地盤の側方移動などを考慮した予測を確立する必要がある。

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