- 著者
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菊地 勝弘
- 出版者
- 公益社団法人 日本気象学会
- 雑誌
- 気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
- 巻号頁・発行日
- vol.42, no.6, pp.341-353, 1964
- 被引用文献数
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2
北海道石狩湾々上,特に沿岸付近に冬期間早朝しばしば雲頂20~30mめ層状の雲が発生した。これ等の雲を手稲山頂から35ミリカメラおよび16ミリムービーカメラで一定時間毎に撮影し,観測した。その結果,はじめ層状に発生したこれ等の雲は日の出後時間と共に上昇し,雲頂200m位でセル状となり,規則正しい列状に配列し,10時前後にいずれも消滅した。解析の結果,これ等の雲は夜間の強い輻射冷却により石狩平野上にできた寒気が,比較的暖かい石狩湾上に吹出し,垂直混合により湾上の暖気が凝結してできたものと考えられる。日の出後寒気の吹出しが弱まり,逆転層の上昇とともに,これ等の雲は上昇し,セル状となりその高度のwind shearによって列状に配列したものであろう。この論文ではこの雲を"Coastal Cloud"と名付けた。<br>観測されたCoastal Cloudsはsmall scaleのもので降水現象を伴わなかったが,もし同様な過程でlarge scaleに生ずるならば,前線や山岳効果がなくても降水をもたらすことが十分期待される。