著者
高野 麻理子 服部 力 根田 仁
出版者
国立研究開発法人森林研究・整備機構 森林総合研究所
雑誌
森林総合研究所研究報告 (ISSN:09164405)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.133-140, 2018

パルプ漂白菌の選抜に色素の脱色を利用するため、30 株の木材腐朽菌を、パルプとRBBR, Poly R-478, Poly S-119, Azure B の各色素を含む寒天培地で培養した。その結果、20 株がRBBR 脱色を示し、そのうちの15 株がPoly R-478 の脱色を示した。さらに、Poly R-478 脱色株のうちの6 株がPoly S-119 の脱色を示し、そのうちの 3 株が Azure B の脱色を示した。試験管中で、ラッカーゼ( Lac)、マンガンペルオキシダーゼ( MnP)、リグニンペルオキシダーゼ( LiP) の各酵素による RBBR、Poly R-478、Poly S-119、Azure B の脱色試験を行った。RBBR は、Lac、MnP、LiP の全酵素に対し、高い脱色性を示した。Poly R-478 は、Lac では脱色せず、MnP とLiP による脱色を示した。Poly S-119 とAzure B は、Lac とMnP による脱色性が低く、LiP による脱色性が高かった。これらの結果は、RBBR 脱色は、Lac のみを生産する株やリグニン分解酵素活性の低い株をも検出する可能性のあること、Poly S-119 およびAzure B の脱色は、LiP 生産株の検出に適することを示した。一方、Poly R-478 の脱色は、RBBR、Poly S-119、Azure B の脱色と比較して、MnP 生産株の選択的な選抜に適すると考えられた。MnP は、未晒しクラフトパルプの漂白に高い効果を示すことが報告されており、パルプ漂白菌の選抜には、Poly R-478 が最も適した色素であると結論した。

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こんな論文どうですか? 木材腐朽菌30株による4色素、レマゾールブリリアントブルーR、 Poly R-478、Poly S-119、Azure B の脱色試験(高野 麻理子ほか),2018 https://t.co/5DfJEc9Zwf

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