著者
末吉 修三
出版者
森林総合研究所
雑誌
森林総合研究所研究報告 (ISSN:09164405)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.209-216, 2018

本研究の目的は、事務所の内装写真を用いた聞き取り調査で得られたテキストデータの解析における対応分析活用の有用性を確かめることである。このテキストデータはすでに公表されているが、次のようにして得られた。被験者に対して20枚の事務所内装写真を提示し、類似の印象を持つグループに分けさせた。その後、グループごとに、事務所内装写真から想像できる会社およびそこで働く人々の印象を答えさせた。このテキストデータの形態素解析によって、「木材」、「柱」、「天井」、「家具」、「机」、「椅子」、「絵画」および「植物」が使用頻度の高い名詞として抽出された。これらは、事務所内装写真の印象を決定づける被写体と考えられる。また、写真から受ける印象を表現する形容詞として、「あたたかい」、「静か」、「快適」、「友好的」、「明るい」、「暗い」、「冷たい」および「堅苦しい」の使用頻度が高いことがわかった。これら使用頻度の高い語と写真番号について対応分析を行うとともに、聞き取り調査で用いた写真の色分析を行った。対応分析によって、内装写真の印象を区別することができた。さらに、対応分析と内装写真の色分析を組み合わせることによって、被験者が「木材」の黄赤系の鮮やかな色彩に注目して、事務所内装写真を分類していることがわかった。これらの結果は、対応分析がテキストデータに基づく木質内装の視覚的影響の評価に有用であることを示唆するものである。

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