著者
池田 新介
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学
巻号頁・発行日
vol.12, pp.62-74, 2019

<p>本稿の目的は,セルフコントロール(自制)と意志決定の関係についての研究を展望することによって,行動経済学を含めた経済学の今後の研究の発展に資するところにある.二重処理理論の観点からセルフコントロールを定義し,意思決定や行動への含意を実証と理論の両面から総括する.実証知見については,行動上のさまざまなアウトカムへの影響やセルフコントロールによる消耗について,経済学では馴染みの薄い心理学等隣接分野の知見を含めて整理する.セルフコントロールの理論的含意については,誘惑理論に基づいた二重自己モデルを取り上げ,意志力の限界を考慮した新しい消費理論の可能性について考える.セルフコントロールコストの凸性とセルフコントロールの異時点間代替という定型的事実が,意志力を内生化することでうまく記述される.</p>

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