著者
辻 広生 福水 洋平 道関 隆国 山内 寛紀
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会誌 (ISSN:02859831)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.510-521, 2017

防犯カメラにより撮影された顕著な照明光成分の偏りを有する複合劣化ナンバープレート画像の文字認識精度を改善し,かつ人の視覚特性にも適合する輝度値補正手法が求められている.この要求に沿った輝度値補正を行うため,サポートベクター回帰をRetinexモデルにおいて適用する手法を提案する.提案手法は,顕著な照明光成分の偏りに対応するためサポートベクター回帰を用いて従来のRetinex処理よりも正確に照明光成分を推定し輝度値補正精度を改善する.提案手法の有効性を確認するため,実写画像に複合劣化を付与した画像を実験用画像とし,正規化相互相関による劣化文字認識精度実験を行った結果,提案手法における正答率は従来のRetinex処理における正答率よりも最大で約39パーセント高い値となった.また提案手法を適用した画像は従来のRetinex処理を適用した画像よりもHalo が低減し,提案手法は,少なくともHalo の観点で従来のRetinex処理よりも視覚的に自然な画像を復元した.さらに実環境で撮影された防犯カメラ画像を対象とした場合においても提案手法は従来のRetinex処理よりも優位性があることを確認した.また輝度値補正手法を畳み込みニューラルネットワークによる文字認識に応用した場合においても提案手法は従来のRetinex処理よりも有効であることがわかった.

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