- 著者
-
大島 堅一
除本 理史
- 出版者
- 日本公共政策学会
- 雑誌
- 公共政策研究 (ISSN:21865868)
- 巻号頁・発行日
- vol.14, pp.65-77, 2014
<p>電カシステム改革とは,小売り・発電の全面自由化(電力自由化)による競争的な電力市場形成,発送電分離と広域的な系統運用を進めることである。2016年以降,電カの小売りと発電は完全に自由化され,2018~20年をめどに規制料金が撤廃される。電力会社の経営を安定させてきた規制料金がなくなれば,原子力にかかわる事業リスクを,事業者たる電カ会社自身が引き受けるのは,ますます困難になるであろう。</p><p>そこで政府は,3つの柱からなる「事業環境整備論」を打ち出している。この目的は,電力システム改革が完全に実施された後も原子力を維持できるよう,事業者のリスクとコストを軽減し,同民・電力消費者(そして将来の事故被害者)にそれらを負担させるための政策的措置を構築することにある。木稿では,その全体像を素描するとともに,問題点を検討する。</p>