著者
加藤 朗
出版者
日本公共政策学会
雑誌
公共政策研究 (ISSN:21865868)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.42-58, 2008

<p>「新しい戦争」であるテロには3つの越境性がある。第1は航空機の発達,国境管理,国境線の変化に伴う越境性。第2はメディアの発達やインターネット革命による物理的空間と心理的空間の境界を越える越境性。第3はグローバル権力圏とグローバル親密圏双方の圏域を越え,両者を架橋するグローバル公共圏へ越境する越境性。</p><p>こうした越境するテロに対応するために,越境するガバナンスに基づく安全保障が必要不可欠である。それには2つある。1つは国家安全保障として,国家中心の多国間協調ガバナンスに基づくテロ対策。具体的にはテロの3つの越境性に即して国境管理の強化,メディアの管理そして国際法および国内法の法整備を多国間か協力して実施する。今1つは人間の安全保障として,国家のみならす非国家体も含めた類的存在としての人間中心の多主体間協調ガバナンスに基づくテロ対策。国家や地域を超えてグローバル社会に拡大するグローバル公共圏の非市民的公共圏のサバルタンと市民的公共圏の市民との間の人間の発展格差の解消をめざす。具体的には国家に代わる主権主体が国家間の古典的国際法に代わるコスモポリタン法を制定して国家の軍隊や警察に代わる武装民間組織が法を執行する。このテロ対策が実現するにはなお年月を要するが,現実にはその萌芽は国連の権威化,国際刑事裁判所の設置,民間軍事会社の出現等に垣間見ることができる。</p>

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テロリズムの越境拡散 論文のリンク先も貼っとく https://t.co/FVClrcfD4a 昨今のマスコミ報道・SNSでの情報操作は非情かつ暴力的なのでは

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