著者
須田 将吉 清水 逸平 南野 徹
出版者
一般社団法人 日本血栓止血学会
雑誌
日本血栓止血学会誌 (ISSN:09157441)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.521-528, 2019

<p><b>要約:</b>老化は様々な疾患のリスク因子である.動脈硬化巣に老化細胞が蓄積していることがわかり,血管細胞の老化がこれらの疾患に関与していることが示された.血管内皮細胞特異的に老化を抑制すると血管機能が保たれ,反対に老化を促進すると血管機能が悪化することも報告されている.さらに血管内皮細胞の老化抑制は,脳血管・心血管疾患だけでなく,肥満や糖尿病も改善させることが明らかとなり,血管内皮細胞の老化抑制は加齢関連疾患の包括的治療につながる可能性が示唆されている.さらに近年では,老化細胞除去(senolytic)治療という新しいストラテジーに注目が集まっている.老化した血管内皮細胞を選択的に除去する薬剤を投与したマウスでは,認知症や加齢による筋力低下などの老化の表現型が改善し,さらには寿命が延長するという結果も出てきている.血管内皮細胞老化は,血管疾患だけでなく様々な疾患の発症や個体老化にも重要であり,新しい治療標的となりつつある.</p>

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