著者
嶽本 あゆみ 田邊 俊朗
出版者
宝石学会(日本)
雑誌
宝石学会(日本)講演会要旨
巻号頁・発行日
vol.41, pp.18, 2019

<p>【緒言】 液体原料からシリカガラスを合成するゾル-ゲル法は、加熱を経ず室温で実施できる簡易な実験である。試薬計量ならびに混合という単純な操作、触媒による生成物の比較、加水分解反応と脱水縮合反応の理解、遊色効果の観察に基づく光の干渉の理解、最終的な生成物からの収率計算と、一つの実験系を用いて学生の到達目標毎の課題を与えることができる。合成したシリカガラスが沈殿し確認できるまでにはやくとも二週間程度を要するが、連続した実験授業の中で長期休暇の前後に組み込む等、計画的な授業構成により対応可能である。</p><p>今回は高専本科一年の実験授業において触媒による生成物の比較を試みながら、宝石オパールの遊色効果や昆虫の翅の構造色などの解説を行った。</p><p>【方法】 沖縄工業高等専門学校生物資源工学科本科一年生の専門必修科目である「バイオテクノロジー基礎実験」において、オルトケイ酸エチル. エタノール, 精製水の混合[1]における加水分解反応(式1)の触媒として、アルカリ試薬(アンモニア、水酸化ナトリウム)ならびに酸試薬(酢酸、リン酸、塩酸)の中から班ごとに 1 種類を選び、混合操作を実施した。6 週後の同授業において、生成物の観察ならびに収率計算を行った。なお、本実験の反応式は下記の通りである。</p><p>(式 1) Si(C<sub>2</sub>H<sub>5</sub>O)<sub>4</sub>+4H<sub>2</sub>O→Si(OH)<sub>4</sub>+4C<sub>2</sub>H<sub>5</sub>OH</p><p>(式 2) Si(OH)<sub>4</sub>→SiO<sub>2</sub>+2H<sub>2</sub>O</p><p>【結果ならびに考察】 アンモニア触媒では生成物から遊色効果が確認されたがゲル化は進んでいなかった。水酸化ナトリウム触媒では透明なゲルが生成され沈殿していた。酸触媒は 3 種類ともに 6 週後時点ではゲルが生成されていなかったが、17 週後に酢酸触媒を用いた 2 班の片方の液全体がゲル化していることが確認された。アルカリ条件下ではコロイダルなゾルが、酸性条件下ではポリメリックなゾルが生成され、これらは加水分解時の水の量にも影響を受ける[2]。今回の結果に基づき、アルカリ触媒と酸触媒とで混合比が異なるプロトコルの準備、酸触媒での触媒量と合成期間について、今後検討が必要である。</p>

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